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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

173冊目:「勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの『仕事術』」

2020-02-29 22:20:52 | 
総評:★★★★★ まさかの一冊。
面白い度:★★★★★ ウメハラの圧倒的な魅力が満載。
読みやすい度:★★★★★ とても読みやすい。
ためになる度:★★★★★ めっちゃためになる。
また読みたい度:★★★★☆ また見返したい。



初めて電子書籍の感想を書く。

きっかけは電子書籍アプリで、無料のポイントがもらえたため、何か面白そうなものはないかなと探していた所、この本を見つけ、プロゲーマーのウメハラは名前だけは知っていたので、どういう人となりの方なんだろうとちょっと気になったので購入して読んでみることにした。

が、これが予想以上に超面白かった。
プロゲーマーという、一般的には今まで考えられなかったことをしているウメハラの考え方、今までの人生はやはり普通の人ではなく、とてもドラマチックであった。

ちなみにウメハラの本名は梅原大吾と言い、世界的に有名な日本人初のプロゲーマーで、「ストリートファイター」シリーズを始めとした格ゲーを世界にまたにかけてプレイし、何年にも渡って世界の頂点であり続けるという、格ゲー界では知らない者はいない人で、まさに生きながらのレジェント的な人物なのであった。

この人が世界レベルで知名度を上げることになった代名詞的な事件、「背水の逆転劇」もとてもドラマチックである。
ちなみにこの時の動画は何回見てもテンションが上がる。


それよりも何よりも惹かれたのは、この人の人間性であった。
自分と同じくらいの歳で、何かしら達観したような考え方。そして、思考は非常にロジカルであった。
いつもクールで物事を俯瞰しているように見え、そして実際のゲームでは、実に捉えどころが無く、そして入力ミスがなく、バリエーション豊かな最善手を次々と決め、そして勝っても負けても淡々としている。

なんか人物的にも格ゲーのプレイスタイルも、実に「底が知れない」ような人物なのであった。
将棋界でいうと、「羽生善治」のポジションである。
そんな人が、なんと自分と同じ足立区出身!正確には多感な青春時代を足立区で過ごしているのだが、そういった所にシンパシーも感じる。
でも自分の若いころにはこの人のことは何も知らなかった所がまた不思議であった。


そんなんで、この本を見た後は、この人のプレイ動画を見るようになり、そして「ストⅣ」「ストⅤ」についても調べるようになり、さらにはメルカリで安売りしていたのでストⅣを買って現在自分もプレイしているという、自分の最近の人生にかなりの影響を与えているきっかけとなっている本なのであった。


そういう点では本当にウメハラはすごい。
てかウメハラの凄さはここでは語りつくせないし言語化できないが、非常に引き付けられたエピソードを二つだけ書く。

一つは、ウメハラvs同じ格ゲープレイヤーのInfiltration(インフィルトレーション)の10番勝負であった。
「ストリートファイターⅣ」で10回ラウンドを取ったほうが勝ちという勝負だったのだが、前回ウメハラはInfiltrationにボロ負けしていたらしい。
その後に行われたこの10番勝負だが、ウメハラはInfiltrationを全く寄せ付けず10対2というスコアでボロ勝ちしていたのだった。

このウメハラのリベンジについて、ウメハラは今回の対戦に向けてどのような対策をしていたのかをインタビューで記者が聞いている動画があった。
その際、ウメハラはとてもロジカルに考え解析し、対策を立てているのであった。
例としては、ウメハラはリュウ、Infiltrationは豪鬼というキャラを使っているのだが、一般的にはキャラ性能の差で豪鬼有利の評価であった。

しかし、一般的にはそういわれているが、本当にそうなのだろうか?とウメハラはそこから疑問を投げかけている。豪鬼は本当に有利なのか?リュウは本当に不利なのか?から始まり、検証。そしてこの部分だったらリュウは有利だし、豪鬼は不利という結論に達しており、その過程で場面場面での対策、そして、リュウはこの時に不利だからこの場面にもっていかないようにするにはどうするか。。。

と一つ一つ、細かい所まで検証と行い、最終的にはこういうプレイをすれば勝てる!という所まで結論を持っていき、さらにそれを実際にプレイで見せ実際に勝っているのだった。
細かい所は以下の動画でやっているので、そちらを参照のこと。
https://www.youtube.com/watch?v=1XV-BG-0njE

てかそこまでの非常にロジカルな考え方と思考力がとても具体的過ぎてすごかった。
また質問に対しての回答がとても的確で分かりやすく、ウメハラの人間性もこの動画を通して伝わってくるのであった。(もちろんインタビュアーのスキルもすごいのだが)
まさにウメハラを世界一たらしめる要因がこのインタビューを通して体現されているような動画であった。


二つ目は、ウメハラのギャップ?というか捉えどころの無さである。
ウメハラは格ゲー中はとても冷静である。まったく感情を表に出さない。そしてゲームプレイでも全く感情を表に出さない。
ゲームプレイではいつもそうなのであるが、自分が出演する自身の動画はとても無邪気にテンションが高く生き生きとしているのである。

このギャップは何なんだろうか?どっちが本当のウメハラなのか分からないが、なんか人間性がとても人間味があり、引き付けられるのだ、他に有名なゲーマーで言うと「ときど」というゲーマーがいるが、こちらは非常にゲームでは自分が出ている。
負けたら泣いているし、勝負所での顔は非常に怖い。

このときどもとても人間味があり、面白いのだが、なんか底が知れないというミステリアスが部分をウメハラは持っているのであった。
そういった部分もウメハラの魅力として伝わってくるのであった。

そんな自分がやっている仕事や自分の日常からかけ離れた格ゲーの世界、またウメハラからこれほど色々なことを学べたのはとても面白かったし、格ゲーがとても魅力的に映るように見え、そのきっかけをくれたこの本はとても予想外だったし、とても奇跡的な出会いとなった一冊なのであった。

格ゲーに時間をつぶしてしまっている今となってはそれが結果的に良かったのかは分からないが・・・


そんなんでテンションのままに書きまくってしまったが、非常に興味深かった箇所を抜粋する。

・そもそもの勝負の本質は、その人の好みやスタイルとは関係のないところある。かつために最善の行動を探ること。それこそが重要なのであって、趣味嗜好は瑣末で個人的な願望に過ぎない。

・スピードや反射神経に頼るのではなく、戦術や戦略を重視し、応用力を見につければ年齢は少しも怖くない。自分の得意なものを捨てて、いかに勝つか、そこを追求する。

・勝ち続けるためには、勝って天狗にならず、負けてもなお卑屈にならないというよ絶妙な精神状態を保つことで、バランスを崩さず真摯にゲームと向き合い続ける必要がある。
 バランスを保つ方法は人それぞれだと思うが、僕は、自分も人間だし相手も人間であるという事実を忘れないようにすることが、バランスを崩さないことだと考えている。つまり、自分にも相手にも特別なことは何もないということだ。
 自分が勝てたのは知識、技術の正確さ、経験、練習量といった当たり前の積み重ねがあったからで、得体の知れない自分という存在が相手を圧倒して手にした勝利などでは決してないのだということ。~(中略)~
 だから、勝ち続けたり、負け続けたりすると、そのバランスが崩れてしまう。自分はすごいと勘違いしたり、どうしようもなくダメなヤツなのだと落ち込んでしまう。しかし、そうではない。
 どれだけ勝とうが負けようが、結局は誰もがひとりの人間に過ぎず、結果はそのときだけのものだ。勝敗には必ず原因があり、結果は原因に対する反応でしかない。刹那的な結果に左右されず、勝てるようになるための努力を怠っていいはずはない。そう考えることができれば、バランスが崩れるようなことはない。

・何も考えずに、自分のセンスと運だけを頼りに歩いてきた人間と対峙すると、相手の動きがチャラチャラを軽く見える。性根が定まっていないこと、さらには綿密な分析に基づいた動きでないことに、すぐに気がつくのだ。

・自分の才能や長所に溺れてはいけない

・何かを成し遂げるのに楽な道があるなんて、それこそ空前絶後の才能を持つ稀人以外には語ることができない。

・ならば、自分だけのもので、永遠に自分を勝ち続けさせてくれるものとは何か?
 それは、新しい戦術(特許)を生み出す努力であり、発見に必要なノウハウだ。そのことに気づいてからは、真似されても何とも思わなくなった。

・試行錯誤を繰り返し、色々な戦いをテストし、成功と失敗を繰り返して初めて、ひとりの人間を倒すことができる。それが、本当の人間と人間の勝負だと思う。

・しかし、多くの人は、変わることと前に進むことは別だと思っているだろう。確かに、自分を変えることは不安だし、変化した先に勝利があるとは限らない。けれども、変わり続けていれば必ず前へ進める。
 変化したことで失敗したり、後ろに下がったりしたときは、もう一度変化すればいい。失敗に気づいて変化すれば、以前の自分よりも必ず高い位置に行ける。
 一歩後退しても、その後退には意味があり、それがきっかけて二歩進む方法が見えてくることもある。
 変化を続けていれば、きっと正しいことが見つかる。また、正しくないことか見つかれば、その反対が正しいことだと分かる。だから前へ進める。
 成長というのは、とにもかくにも同じ場所にいないことで促進される。

・だから、気になったことは必ずメモするようにしている。そのときに時間があるわけではないので、あとで絶対に解決しないといけないと心に決め、直感的に「問題になるかも」と感じたことはすべて分かりやすく箇条書きにしておく。

・人の目を気にしないことで、もうひとついいことがある。それは、絶対的な集中力が身につくということだ。自分を持っている人は、「俺はこれでいい」と確信できている人なので、圧倒的な集中力がある。

・すなわち集中力とは、他人の目をいかに排斥し、自分自身とどれだけ向き合うかにおいて養えるものかもしれない。

・何かを身に着けたいと思うのであれば、丁寧に、慎重に、基本を学ぶべきだ。下手なうちから独自の取り組み方をしたり、自由に伸び伸び練習したりすると、最終的に底の浅い仕上がりになってしまう。

・それよりも自分のペースで生きて、毎日少しずつ成長して、その結果、自然に称賛を受ける方が、無理が無いし継続できるだろうと僕は思う。

・それよりも頭を使って考えるべきだ。殴って壊れない壁なら、別の方法を探せばいい。考えれば、もしかしたら壁を超える必要すらなくて、迂回する道を作る方が早いかもしれない。才能を超える努力とはそういう突拍子もないコペルニクス的な発想の転換も必要だ。
 考えることを放棄して、ただ時間と数をこなすのは努力ではない。それはある意味、楽をしているとさえ言える。頭を使って考えることの方が苦しいから、それを放棄してガムシャラに突き進んでいるのだ。


抜粋としては以上。
そんなんで、大きなインパクトを受けた予想外の一冊でした。
コメント
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