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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

122冊目:「影響力の武器」

2014-01-16 20:27:41 | 
総評:★★★★★ 難しい内容も多いが面白い!
面白い度:★★★★★ 星6つ分くらい。
読みやすい度:★★☆☆☆ 読みやすくはない。
ためになる度:★★★★★ かなりタメになった。星7つ分くらい。
また読みたい度:★★★★☆ ちょいちょいまた見たい。


人に購買行動などの影響を与える要因というのはどういったものがあるかについて、研究、解説している本である。
これもとあるサイトからのオススメ本として書いてあったので、読んでみることにした。


自分もよくあるのだが、残り1個!だったり、タイムセールだったり、みんなが買っているから自分も買うなど、自分がものを買ったりするきっかけというのは、こういった動機で買っている場合も少なくない。
しかしこれはあまり賢明な買い物とは言えない。買おうとしているものの本質や価値をよく理解できないまま買ってしまうことがよくあったりする。考える時間がなかったりして、その場のノリで買ってしまうのだ。そしてその結果後悔することが多い。

逆に売り手は、そういった人間の心理をうまく利用してものを売っているのだ。
店によっては実は他にも商品が残ってたりするのに、残り1個!とか、このサイズはもうこれしかありませんよといった営業トークをしてものを買わせようとするだろう。
そういったものにだまされないように、その心理とか、手口などの具体例などが色々書いてあった。

よくあるのが、原価は結構安かったりするのに、最初に高めの値段を設定しておいて、交渉の間にどんどん値下げをしていって、安い!と思わせるやり方だったりがある。
これもうまく人の心理をついて買わせているのだ。
あと、結婚式場などで、オプション料金が結構高いのだが、これ一回きりですよ?といって、色々なオプションを買わせるというやり方も往々にして聞く。
これも結婚式料金に対してオプション料金がそこまで大きくないことを錯覚させていて買わせていたりする。

それ以外にも、本当に色々な買わせ方というのがある。この本ではそんなものを買ってしまう心理として、次の6つの要素があると書いてあった。


1、返報性
 人からものをもらったり、何かをしてもらったら、それを返さなくてはいけないのではないかと思ってしまう性質。
 これは人間社会の中で一番良く使われるものであるだろう。まさにギブアンドテイクのルールである。
 逆に人から何かをしてもらったら、何かで返さなければと思ってしまうため、そこをうまくつくことで何か高いものを買わせたりと言ったあまりよろしくない使い方ができてしまう。

 これは政治献金、無料試供品、試食、賄賂?とかなんか色々な所で使われていると思う。ていうかそこら辺すぐに思い出せなかったりするのだが。
 まさにタダほど高いものはないというものですね(笑)
 また、相手と値段交渉をしているとして、最初に互いの言い値が高い値段と低い値段で折り合いがつかないものとする。そこで、その間の値段をすりあわせていき、中間の値段で決まることが多いが、相手が値段について譲歩してくれたらこちらも譲歩するということで、これも実は返報性のルールだったりする。

 また最初に相手にかなり無理なお願いをして、拒否されたらそこからお願いの内容を引き下げていくと言った交渉テクニックもあったりする。これは、「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」といって、れっきとした名前のついている交渉術である。これも返報性のルールに従っている。


2、コミットメントと一貫性
 人があることを一回認める、または納得したら、その内容をずっと一貫して支持するという性質。
 ○○をいい、または悪いと思ったら、その思い込みを人は簡単には捨て去れない。例えばあるブランドを集めてしまうとか、一回集め出したら止まらない景品とか、そんななんか色々です。自分の意志で決めたことであればなおさら固執してしまうそうです。
 また小さな要請から初めて、関連する大きな要請を最終的に承諾させてしまうというやり方もよく使われるのだが、これは「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と呼ばれているらしい。

 例えば初めにタダでプレイできるソーシャルゲームとか、そのカードのコレクションとか、本当に際限ないものがあると思う。さっきの結婚式場のやつもこの性質に分類できるらしい。ちなみに最初に大きな値段を買わせて、それから比べて比較的安いオプションを色々つけさせるというのは、車を買う時にもよくあることで、これは「コントラスト」という原理を利用しているとのこと。

 あともう一つ、安く言い値を付けて買うことを承諾させ、契約間近まで手続きを進めさせておいて、最後に突然何かのミスのせいやなんだったりで、実はここから高くなってしまうということが発覚し、その高くなった値段で買わせてしまうというやり方もあり、これは「ローボール・テクニック」というらしい。
 自分はこれで見事スーツを買わされました(笑)まあそれはそれで安いし、今更めんどくさいし、いいやとなって買ってしまいました・・・

 そんなこんなで色々応用が効く性質だったりする。てかこれらのテクニックを知っているのと知らないので大違いだなと思う(^_^;)


3、社会的証明
 人は周りに左右されてしまうという性質。
 みんなが買っているもの、一番人気のものを自分も買ってしまうというのはよくあることだし、みんなが観ているテレビを自分も観なくてはいけないのではないかと思ったりもしてしまう。
 これは都会で顕著な性質らしい。
 
 誰かが腹痛でうずくまってたとしても、周りの誰かがそれを気にも留めなければ自分も気に留めないかもしれない。そんなちょっと怖い性質だったりもする。でもみんなが買っているもの、利用しているものなどは、やはりそれなりの信用力があるものと見なして買ってしまったりするだろう。

 この性質が使われているものとして、映画のレビューだったり、amazonの評価だったり、サクラを使った何かだったり、マスコミの情報操作だったりするのだろう。
 でもこの性質は人から認められているものは人気もあるし、一番売れているという基本的な原則にのっとれば怖くはないのだが、逆にこれが悪用されたりすると怖いと思う。


4、好意
 ある好意を持っている人から影響を受けて、勧められたものを買ってしまったりしてしまう性質。
 自分も友人とかから何か商品を勧められたりするとやはり買ってしまうことも多いと思う。
 しかしこの性質も詐欺や女性からの誘惑とかでなにかしら色々な悪いことに使われていると思う。占い師が壷を買わせる(笑)とかいった手口もこの性質を使っているし、前に読んだコールドリーディングも、すぐに好意を持ってもらうという点でこの性質を利用するために使うのだと思う。
 
 また外見や第一印象というのはやはり相手に早めに好意を持ってもらうという点でかなり有効だということが書いてあった。あとお世辞なども、相手から何かを引き出すために有効だということ、また接触したり、よく顔を合わせるというのも有効だと書いてあった。

 あと、人は食事中に関わりのあった人やものをより好きになるという傾向があるらしく、食事中に好意的な印象や返答をもらいたいものについて話すテクニックを「ランチョン・テクニック」というらしい。
 また自分と共通の趣味や応援しているチームなど共通点を持っている人については、好意を得やすいといったことも書いてあった。

 ということで、好意を持っている人やものについてはイエスといいやすいという性質だった。かわいい子はやはり色々得してるんだなと思った(笑)


5、権威
 人は権威をもったものについて服従してしまうという性質。
 これは組織の上のものからの命令だったり、表立った表面的な肩書きなどに対して正しいものだと思い込んでしまったりする。
 組織的な権威は仕方ないとは思うが、ある専門家の意見だったり、弁護士や医者、社長などの肩書きだったりにある程度の信用を得てしまう傾向にある。

 また服装でも大きな影響を持っているらしい。服装については警察官や消防の制服とか、またスーツを着ているだけでもある程度の信用力を得ることができていると思う。
 あとは装飾品。高級車にはあまり失礼なことが出来ないなどの例があったりする。
 詐欺などでよく使われる常套手段ですね。


6、希少性
 最後に希少性。残り一つとか、期間限定とか、少ないものや限定されているものに価値を感じてしまう性質。
 今年もデパートの福袋が残り○個とか、本当によく見られる性質だと思う。
 この時間内に決断をして下さいなどの制約事項などもあると、人は正常な判断が出来なくなってしまう傾向があるらしい。
 逆にこの性質は色々使われることが往々にしてあるので、こちらも防衛しやすいとは思う。
 肝心なのは、本当に価値があるものなのかという、正常な判断基準を見失わないようにすることだと思った。
 
 またこの男とつき合うななどと言われると、それに反抗して逆につき合いたくなるという、何か制約や禁止されることがあるとそれに反抗したくなってしまう思春期の少年みたいなこともこの性質に含まれるとのこと。
 また希少性は、人が目に見える状態でものが無くなっていくのを見せる方がさらに顕著に反応するとのこと。


以上、人に影響力を及ぼす6つの性質だった。
この6つの性質を人は巧みに操って、営業だったり、交渉だったり、何か悪いことに使ったりするんだろうなあと思った。
一番肝心なのは、そういった性質に影響されて、自動的にある行動を促されてしまったり、自分の正常な判断が出来ないような状況に陥らないようにすることが大事である。
しかしこの6つの性質について知っているのと知っていないとでは、これからの考え方や行動に大きく影響があると思う。
その点で、この本を読んでとても良かったなと思う。
まずは騙されないようにしないと・・・(笑)


そんなんで、最後に興味深かった部分について抜粋する。

・人間行動の原理としてよく知られているものの一つに、人に何か頼み事をするときには理由を添えた方が成功しやすくなる、というのがあります。人は単純に、自分がすることに対して理由を欲しがるものなのです。ランガーは図書館のコピー機の前にいる人に、「すみません・・・五枚だけなんですけど、急いでいるので先にコピーとらせてくれませんか?」という小さな頼み事をすることによって、このさして驚くべきことでもない事実をまず確かめました。この「要請+理由」の効果は完璧に近いものでした。九四%もの人が先にコピーを取らせてくれたのです。

・人間の近くにはコントラストの原理というのがありますが、これは、順番に提示されるものの差異を私たちがどのように認めるかに影響を与えます。簡単に言うと、二番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまう傾向があるのです。~(中略)~
 カクテルパーティで最初に魅力的な人と話をして、次に魅力的でない人に会うと、その人は実際以上にみすぼらしく見えてしまうものです。

・無料試供品がよく提供されるのはスーパー・マーケットですが、そこではよく買物客が製品を少量渡されて、試してみるようにと勧められます。多くの人にとって、笑みを絶やさない販売促進員から無料の試供品をもらって、いつも楊子と紙皿を返すだけで立ち去ってしまうわけにはいきません。むしろ試供品がそれほど気に入っていなくても、その製品を少しは買ってしまうことになります。

・他者の要請を受け入れるか否かの決定は、しばしば、返報性のルールによって影響を受ける。承諾誘導の専門家が好んで使う儲けの手口の一つに、最初に何かを与えておいて、相手からお返しを求めるという方法がある。このやり方が効を奏するのは、返報性のルールに含まれる三つの特徴による。第一に、このルールは、極端なまでに強力な力をもっており、普通は要求を受け入れるか否かを決めるはずの諸要因の影響力を凌駕してしまう。第二に、このルールは、望みもしない好意を最初に相手から受けた場合にも適用されるので、借りを作るなら誰にしたらよいかを、自分で選ぶことができなくなり、その選択を他者の手に委ねることになる。第三に、このルールによって不公平な交換が導かれることがある。恩義という不快な感情を取り除こうとするために、人は親切を施された相手から何か頼まれると、お返しにそれ以上の事をしてあげることが多い。

・返報性のルールで承諾を導くもう一つのやり方として、この基本的テーマの単純なヴァリエーションがある。最初に恩恵を与えてその見返りを期待する代わりに、最初に譲歩して、そのお返しとして相手の譲歩を引き出すのである。これが、「拒否したら譲歩」法あるいはドア・イン・ザ・フェイス・テクニックと呼ばれる手続きであり、相手の譲歩に返報しなければならないという圧力に依存するやり方である。確実に拒否される極端に大きな要請から始めて、次にそれより小さな要求(もともと目標としていた要求)に引き下げる。そうすると、要求の引き下げが譲歩に見られるため、小さな要求を受け入れる傾向が強まる。研究によると、「拒否したら譲歩」法を使うと、相手がイエスと言う傾向が強まるだけでなく、相手がその要求を実行し、将来の同じような要求にも同意する傾向が強まる。

・もっと巧妙なコミットメントテクニックを考え出したのは、電話による寄付依頼者です。何か望ましい慈善活動に寄付を依頼してくる人が、最近、まずはじめにあなたの気分や体調を訪ねてくることにお気づきでしょうか。「こんにちは、○○さん。今晩のご機嫌はいかがですか?」とか「今日の気分はいかがですか?」と言うのです。こうした挨拶の意図は、単に友好的に見せるだけではありません。このような丁寧なありきたりの挨拶をされれば通常は返すような、礼儀にかなったあなたのありきたりの返答、「うまくいっています」「大変いいです」「ありがとう、元気でやっています」というような返答を求めているのです。うまくいっているという返事をあなたが口に出してしまうと、依頼者は、まったくうまくいっていない人びとに対してあなたが援助をするように簡単に追いつめることができます。

・子どもが本心からやってほしい、そう願っていることを子どもたちにさせるときには、決して魅力的なごほうびで釣ったり、強く脅してはいけないということを教えているのです。そのような圧力によって、親が望んでいることを一時的に子どもにやらせることはできるでしょう。しかし、それにとどまらず、自分のやったことは正しいと子どもに信じてもらいたいのなら、また、自分がいなくて、外部からの圧力が加えられないところでもその望ましい行動をとり続けてもらいたいのなら、なんとかして、子どもにして欲しいと思う行動に対して、子ども自身に責任を感じてもらうようにしなくてはなりません。

・第一の合図は簡単にわかるものです。自分でやりたくないとわかっていることをやらせようとする要請をうっかり受け入れてしまいそうになっているのに気づくと、ちょうどみぞおちの辺りから合図が発せられます。

・ほとんどの人には、自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたい、あるいは、他の人にそう見られたいという欲求があることを、心理学者はずっと以前から認識していた。この欲求は、三つの要素によってもたらされる。第一に、一貫性を保つことによって、社会から高い評価を受ける。第二に、公的なイメージに及ぼす影響は別にしても、一貫性のある行為は、一般的に日常生活にとって有益である。第三に、一貫性を志向することで、複雑な現代社会をうまくすり抜ける貴重な簡便方略が得られる。

・承諾誘導の世界では、鍵となるのは、最初のコミットメントを確保することである。コミットメント(つまり、自分の意見を言ったり、立場を明確にすること)をしてしまうと、人はそのコミットメントに合致した要請に同意しやすくなる。したがって、多くの承諾誘導の専門家は、後で要請しようとしている行動と一貫するような立場を最初にとらせるように誘導するのである。

・承諾の決定に対して、一貫性への圧力が過度に影響することを認識し、それに抵抗するには、体の中の二つの部位―胃と、心の奥底―から送られる合図に耳を澄まさなくてはならない。胃からのサインは、コミットメントと一貫性圧力によって、やりたくないと思っている要請に同意させられそうになっていると気づいたときに現れる。~(中略)~
心の奥底のサインの場合は、これとは違う。最初のコミットメントが間違っているかどうか明確でないときに、最も効果的に用いることができる。その場合、「今知っていることはそのままにして時間を遡ることができたら、同じコミットメントをするだろうか」という厄介な質問を自分自身に問いかけなくてはならない。そのとき、役に立つ答えをもたらしてくれるのは、最初に沸き上がってきた感情である。

・オコナーは幼稚園でのさまざまな情景十一個から成る映画を作りました。これらの情景は、登場する子どもはそれぞれ異なっているのですが、一人ぼっちの子どもが他の子どもが何か社会的な活動をするのを眺めているところから始まり、やがて積極的にその活動に参加していき、最後にはみんなが楽しそうにしているというものでした。そして、ひきこもりが最も深刻な子どもを四つの幼稚園から選び出し、この映画を見せました。その影響は実に強烈でした。映画を見たすぐ後から、孤立していた子どもたちは、幼稚園の普通の子どもたちと同じくらいよく仲間と交わるようになったのです。

・都市環境のこうした三つの特徴―混乱していること、人が多いこと、交友関係が低調なこと―は、従来の研究が傍観者の援助を減少させるものとしてきた要因にとてもよく合致します。したがって、「都会の非人格化」とか「巨大都市の疎外」といった不吉な概念を一切持ち出さなくても、私たちは、なぜ傍観者が行動を起こさない事例が都市においてこれほど多く見られるかを説明することができるのです。

・誰かの自殺が一面記事で報じられた後、飛行機―自家用飛行機、法人のジェット機、定期旅客機のいずれも―が驚くべき率で墜落することです。
 たとえば、ある種の自殺が広く報じられた直後には、商業用飛行機の墜落で死亡する人の数が十倍にもなることが明らかにされているのです!さらに驚くべきことに、その増加は飛行機に限られるわけでありません。自動車事故による死亡も同じように急増するのです。

・新聞が若い人物の自殺を詳しく書き立てると、その後で、自動車を立木や柱や盛土に衝突させて死んでしまったのは若いドライバーたちでした。しかし、ニュースがお年寄りの自殺を報じた後には、お年寄りのドライバーたちがそうした衝突で死んでいたのです。

・いかなるリーダーでも、集団のすべてのメンバーを一人の力で完全に説得できるものではありません。しかし、強力なリーダーなら、集団のかなりの割合の人を説得できると考えてよいでしょう。そして、集団のかなりの数のメンバーが納得したという生の情報が、それ自体、他のメンバーを納得させるのです。したがって、最も影響力のあるリーダーというのは、社会的証明の原理が自分に有利に働くようにするためには集団の状況をどう整えればよいのかを知っている人なのです。

・千人の共同社会というのは、一人の人間のパーソナリティの力によって常に支配するには大き過ぎるものですが、そうした信者たちが群れに変えられてしまったのです。場の管理者が昔から気づいていたように、群れの心理を操るのは容易なことです。何人かのメンバーを自分が望む方向に向けておきさえすれば、残りの人びとは―動物がその先頭ではなく自分のすぐ周りにいる動物に反応するように―おとなしく、そして機械的に従うものです。

・第一に、多くの人びとが同じことをしていると、私たちは自分が知らない何かを彼らが知っているに違いないと思ってしまうのです。とくに自分で確信がもてないとき、群衆の集合的知識を過度に信用してしまいます。第二に、群衆のメンバーがなんらかの優れた情報に基づいて行動しているのではなく、彼ら自身も社会的証明の原理に反応しているために、群衆の示す行動は誤りであることが非常に多いのです。

・その他の研究でも、魅力的な人びとが必要なときに援助を受けやすく、聴衆の意見を変化させようとする際にも説得力があることが明らかにされています。ここでも、男性も女性も同じような反応を示しました。たとえば、援助に関するベンソンらの研究では、男性でも女性でも外見の良い人は援助されることが多く、この傾向は援助する人とされる人が同性同士でも認められました。もちろん、このルールにも例外が一つあるようです。その魅力的な人が直接的な競争相手、特に恋敵と見られている場合です。しかし、この例外を除けば、外見の良い人びとが私たちの文化のなかで、非常に多くの社会的利益を教授しているのは明らかです。

・一般的に言って、私たちには他者からの称賛を信じ、それを与えてくれる人を好む傾向があります。たとえ、その称賛が真実でないときでさえもです。

・学習におけるジグソー技法の要点は、間近に迫っているある試験のために、生徒たちが試験範囲を一緒に勉強するように仕向けることです。そのために、生徒たちをいくつかの協力チームに分け、それぞれの生徒には試験に合格するのに必要な情報の一部分(つまり、ジグソーパズルの一つのピース)しか与えません。このシステムのもとでは、生徒は交代で教えあい、お互いに助け合わなければなりません。良い成績をとるためには、一人ひとりが他のすべての人を必要とするのです。シェリフの研究では、協同して初めて成功できる課題に少年たちが取り組みましたが、ここでも生徒たちが敵ではなく味方同士になるのです。

・栄光の反映に浴したいとする気持ち(栄光浴)は誰にでも多かれ少なかれありますが、あまりにその傾向が強い人たちには、何か特別な理由があるように思われます。彼らは一体、どのような人たちなのでしょうか。私の推測が間違っていなければ、彼らは単なるスポーツ熱愛者ではなく、背後にパーソナリティの脆弱さが隠されている人たちです。つまり、否定的な自己概念をもっている人びとなのです。心の深層に、自分は価値が低い人間だと言う気持ちがあるため、自分自身の業績を高めて名声を得るのではなく、他社の業績との結びつきを形成し、それを強めることによって名声を得ようとしているのです。

・全体的な行為に影響する要因の一つとして、その人の身体的魅力があげられる。身体的な美しさが社会的相互作用のなかで有利に働くことは、ずっと以前から気付かれていたが、研究の結果によれば、その有利さはわれわれが想像している以上のものである。身体的魅力はハロー効果を生じさせ、才能や親切さや知性など他の特性についての評価を高める。その結果、魅力的な人の方が自分の要求を呑ませたり他者の態度を変化させる際の影響力が強い。

・好意と承諾に影響する第二の要因は類似性である。私たちは自分と似た人に好意を感じ、そのような人の要求に対してはあまり考えずにイエスと言う傾向が強い。好意を高めるもう一つの要因に称賛がある。あまり露骨だとかえって反感を買うが、お世辞は一般に好意を高め、承諾を引き出しやすい。

・人や事物と接触を繰り返すことによって親密性を高めることも、好意を促進する一つの要因である。この関係は、不快な環境よりも、快適な環境のなかで接触が起こる場合に主として当てはまる。

・権威者に対して自動的に反応する場合、その実体にではなく権威の単なるシンボルに反応してしまう傾向がある。この点に関して効果のあることが実験で明らかにされている三種類のシンボルは、肩書き、服装、そして装飾品である。これらのいくつかを所有している(そして、他の正当な資格をもっていない)個人は、実験場面において、相手から多くの承諾を得た。さらに、いずれの場面においても、服従した人は自分の行動に及ぼす権威者の影響力の効果を過小評価していた。

・人びとは、前から希少であったものよりも、新たに手に入りにくくなったものを望ましいと見なすようになります。

・この研究の結果からは、少ないクッキーはたくさんあるクッキーよりも高く評価され、また、新たに希少なものになったクッキーは一層高く評価されることが明らかになっています。ここで、新たに希少なものとなったクッキーに注目してみると、ある種のクッキーが最も高く評価されていることがわかります。それは、みんなが要望するために少なくなったクッキーです。

・セールスマンは、なかなか決断できない客に対しては、これと同じようなゲームを演じるように教えられています。たとえば、「柵に腰掛けて姿勢をうかがっている」ような煮えきらぬ客に家を売ろうとしている不動産屋は、その客に電話をして、家を見にきた別の客がいてこの物件が気に入り、翌日契約条件について話し合うことになっている、ということを知らせることがあります。

・承諾するかどうかを決めるとき、私たちは、お返し、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性という要因をあれほど頻繁に、そして自動的に採用するのです。それぞれの要因は、どのようなときにノーではなくイエスと言った方が得をするかについて、非常に信頼性の高い手掛かりを提供してくれます。
 状況を完全に分析しようとする気がなかったり、そうしようにも時間やエネルギー、認知的資源がない場合に、私たちはこれらの手掛かりだけを使う傾向が強まります。急いでいるとき、ストレスを感じているとき、確信がもてないとき、関心がもてないとき、注意がそらされているとき、あるいは疲れているとき、私たちは利用可能な情報にあまり注意をはらいません。これらの状況のもとで決定を下すとき、私たちはしばしば、「良い証拠で一つで十分」という、原始的ではありますがそうせざるを得ないやり方に逆戻りしてしまうのです。


えらく長くなってしまった・・・
でもとてもタメになる内容で、満足度としてはとても高いものがありました。そんなんで以上☆
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121冊目:「決断力」

2014-01-06 21:27:49 | 
総評:★★★☆☆ 総評としては普通。
面白い度:★★★☆☆ 普通。
読みやすい度:★★★★☆ 読みやすいほう。
ためになる度:★★★☆☆ 普通。
また読みたい度:★☆☆☆☆ 一通り見れたのでもういいかな。


あの将棋の天才、羽生善治さんが書いた本。
自分は将棋は打つことがあるが全然うまくはなく、でも一応羽生さんのファンではあるのでブックオフで安く見つけたので読んでみることにした。


内容としては羽生さんが将棋を打つ上で心がけていることとか、羽生さんか考えていることとかがつらつらと書いてあった。
この本を読んで分かったことは、将棋っていうのは、本当に極限まで集中力を研ぎすまし、一手一手がとても重いものであるということだ。
将棋のプロは実力がほぼ拮抗しているらしい。なので、そこで羽生さんのような大きな成果を残るには、やはり集中力や調子だったり、ひらめきや直感だったり、相手のミスを誘うような粘り強い打ち方だったり、たまには奇策をかけ相手の虚を衝くやり方だったりといった実力とはまた違った所で勝敗が決まるらしい。

一局一局が全て気の抜けない対局であり、将棋のプロ棋士たちはその世界のなかで生計を立てている。
それはただ単に将棋が好きというレベルではなく、将棋に身も心も捧げなければ生きていけない世界だと思う。
一週間将棋を打たないだけで周りの棋士との差が大きく開いてしまい、一週間以上の長い時間をかけなければ元の棋力に戻らないとのこと。
まさに狂気の世界だと思った。その中で生きている羽生さん、いや、プロ棋士の方々って本当に凄いなと思った。

羽生さんは一回の対局で2、3キロ体重が減ってしまうとのこと。
体重が減るほど頭を使うなんてどういうことだろうと思う。
また羽生さんの情報をネットで調べたりすると、「伝説の5二銀」とか、「打ち歩詰め反則は神のルール」といった何やら凄いワードを発見することができた。
またネットで検索できる画像の中に羽生さんがしわくちゃな顔をしながら悩んでいる様子や、頭を抱えて悩んでいる棋士の姿を見ることが出来る。
この狂気の世界の中でもがく人々の苦悩の姿を見て、棋士の方たちの将棋への恐ろしいほどの情熱を見ることが出来て、本当に心揺さぶられる。


そんな将棋界の一端を垣間見ることが出来た本。
またさらに羽生さんのファンになりました。
そんなんで最後に印象に残った部分について抜粋する。

・六局目ー
 私はこれが最終戦だと思った。これを落として三勝同士で七局目を迎えたら、名人戦という舞台にのみ込まれてしまうだろう。
 他のタイトルは勢いで手中にすることができる。けれど、名人戦には長い歴史によってつちかわれた人々の念がこもっている。

・楽観はしない。
 ましてや悲観もしない。
 ひたすら平常心で。
 プロ同士の場合はまず一気に挽回することは出来ない。相手のミスがあって、初めて形成は逆転する。

・私は、人間には二通りあると思っている。不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間だ。

・一般社会で、ごちゃごちゃ考えないということは、固定観念に縛られたり、昔からのやり方やいきさつにとらわれずに、物事を簡単に、単純に考えるということだ。私は、「キスで行け("Keep It Simple, Stupid")」、つまり、簡単に、単純に考えることは、複雑な局面に立ち向かったり、物事を推し進めるときの合い言葉になると思う。そう考えることから可能性が広がるのは、どの世界でも同じであろう。

・深く集中している状態では、雑念や邪念が一切消え去り、深い、森閑とした世界に身を置いた感覚である。周りを見ているが見ていなかったり、見えないものが見えたりする。時間の観念もなくなり。短時間に多くの手が読め、「これだ!」という最終決断も早い。そういう時は、集中力の持続も長い。

・ミスには面白い法則がある。たとえば、最初に相手がミスをする。そして次に自分がミスをする。ミスとミスで帳消しになると思いがちだが、あとからしたミスのほうが罪が重い。そのときの自分のミスは、相手のミスを足した分も加わって大きくなるのだ。すまりマイナスの度数が高いのだ。

・「オールラウンドプレイヤーでありたい」
 私が棋士として大事にしていることだ。一つの形にとらわれず、いろいろな形ができる、そんな棋士であり続けたいと思っている。どんな相手にも、どんな場面にも対応し、七番勝負なら、七番とも違った戦法で指したいと考えている。
 そのためにも、「自分の得意な形に逃げない」ということを心がけている。

・私が、将棋を上達するためにしてきた勉強法は、初心者のころも今も変わらない。基本のプロセスは、次の四つだ。
 ・アイデアを思い浮かべる。
 ・それがうまくいくか細かく調べる。
 ・実戦で実行する。
 ・検証、反省する。
 ~(中略)~この四つのプロセスをくり返していくことが、力をつけるポイントだと思っている。

他にも色々あったと思うが忘れてしまった・・・(笑)
まあネットにも色々でているし、こんなんで以上☆
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