asano.net

読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

140冊目:「オシムの戦術」

2015-07-26 23:34:44 | 
総評:★★★☆☆ やはりオシム。
面白い度:★★★☆☆ 面白さとしては普通。
読みやすい度:★★★☆☆ 普通。
ためになる度:★★★☆☆ ためになるかというと普通。
また読みたい度:★★★☆☆ 普通。


久しぶりのまたまたのオシム本。
いつもの通り通訳だった千田善さんの著、今度はオシムの練習方法だったり、オシムの取った戦術だったりなどが書かれている。

毎回だが、やはりオシムはなぜか惹かれる。
どこがどういう風にというのはあまり分からないのだが。人間的に非常に尊敬するのだ。
自分が尊敬する人物と行ったらオシムとベルセルクのガッツが2トップである。いや、他にも考えたらいると思うが。
でもオシムがあの後脳梗塞で倒れず、日本代表を率いていたらどうなっていたんだろうと、よく考えたりする。

オシムの人となりや人生は今までの本で色々読んできたりはしていたのだが、あの遠藤もオシムの元で練習したことで考え方が変わったり、現在の日本代表に多大な影響を与えてきたオシムが具体的にはどのような練習をしていたのか、本当に興味があったので是非ともと思い読んでみることにした。

オシムは実戦形式で練習を行い、必ずボールを使い、ゲームのように色々条件を変えながら変幻自在に練習をさせていたようだった。
例えば1タッチのみしかできないゲームだったり、時には3つのチームを作って1つのコートでゲームをさせたりとか、本当に色々な条件を考えて次々とその練習内容を変えているようだった。しかし条件がころころ変わるなかでもオシムの中でしっかりと目的があって綿密に考え出された練習であり、選手たちもいざ試合の中で、この練習はこんな意味があったんだと気付かされる内容であったらしい。

オシムは選手に練習を飽きさせないことを重視していたらしく、選手も楽しみながら練習をしていたので、楽しい練習が終わって気づいたらかなり疲れていたというのがよくあったようだ。


また試合では、「考えて走るサッカー」が心情となっていたが、それがどういう考え方の基盤がある上での戦術だったのかというのも知ることができた。
オシムはサイドバックの攻撃参加をかなり重要視しているようであった。
攻撃の駒が増えると点を取る確率は当たり前だが上がる。この攻撃の駒をある程度のリスクを負って増やすことができるのがサイドバックなのだ。

しかし、そのサイドバックが上がったことでやはりその選手が守っていたゾーンは手薄になってしまう。しかしそこをカバーするのがセンターバックだったり、ボランチだったりとしっかり、できる限りのリスクは埋める。
ただリスクを増やすのではなく、リスクを最小限にする努力も十分におこなうのだ。
そのために、センターバックだけではなくサイドバックもできる選手を使ったり、ボランチだけでなくセンターバックやサイドバックができる「ポリバレント」な選手が必要になる。だからオシムはそのポリバレントな選手を重要視していたのだった。

そしてポリバレントな選手がチームに入ることで、4バックであったり、3バックの戦術の変更が可能になるのだ。
オシムは基本的に相手FWの数+1人でバイタルエリアを守るのが基本であった。
そのため、相手FWが2人だったら3人のDFで守り、FWが1人だったら2人のセンターバックで守るなど、基本的な戦術は一貫していたらしい。

そしてその基本理念や原則を選手に浸透させた上で、試合で変化していく相手のフォーメーションなどには選手の間の話し合いで決めること推奨していたらしい。
常に戦況が変わっていくゲームの中で色々な状況に対応できるチームを作ろうとしていたのだった。

オシムがかなり重要視していた選手としては、阿部であった。
阿部はポリバレントな選手として素晴らしく、本当に色々なポジションができていたようであった。
他にも駒野、加地とかもよく使っていたようだった。あと中村憲剛など。
ちょっと最近でいうと今野や岡崎などがそれに当たるのだろうか?最近の日本代表をオシムが率いた場合、どんなフォーメーションになるのだろうと気になったりする。

そんなオシム、変幻自在のサッカーをして、選手に考えさせる。何よりも走ってリスクを最小限にしつつ、最大限に攻撃する、そんなスペクタクルなサッカーを目指していたらしい。
そんなオシムの戦術的な考え方の根拠を知ることができた、新しい本でした。


そんなんで最後に、面白かった箇所を抜粋する。

・ワールドカップで、たとえばブラジルやアルゼンチンやスペイン相手に、相手のお株を奪ってボールを回すサッカーができるかどうかは分からない。ただ、くどいようだがオシムだったら、どんな相手でも、”まず守りありき”のサッカーはしないだろう。

・「急がば回れ。前がつまったら、空いている逆サイドに振ればよい。ポイントはタイミングとスピードだ。各駅停車ではタクシーに追いつかれてしまう」

・「選手の育成分野では、未来のサッカーの発展方向を予測し、選手の伸びしろを見極める眼力がモノをいう。この分野では育成のスペシャリストが必要だ。選手の育成と同時に、指導者の育成も考えなければ。」

以上、そんな感じで、久しぶりにオシムの崇高さに触れた一冊でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする