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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

164冊目:「採用基準」

2018-02-03 20:48:57 | 
総評:★★★★★ リーダーシップについて、新しい知識を得ることができた。
面白い度:★★★★☆ いい感じに面白かった。
読みやすい度:★★★★★ とても読みやすく書かれてあった。
ためになる度:★★★★★ 結構ためになる部分が多かった。
また読みたい度:★★★☆☆ 読みたい度としては普通。



前に何やら結構売れて有名になった本。
著者の伊賀泰代さんは、かつてマッキンゼーに勤めており、公式とされてはいないが、人気ブロガー「ちきりん」として、本も何冊も書いている人らしい。
ちきりんの著書は「マーケット感覚を身につけよう」を以前読んでいて、このブログにも感想を書いている。

なかなかためになった本なので、やはりすごい経歴を持った人なんだなーと思った。


そんなんで、この本では、「リーダーシップ」というのを学ぶことができた。
「採用基準」という題名ではあったが、中身はほとんど「リーダーシップ」に関する本であった。
リーダーシップは、かなり重要な要素で、世界の人たちは、このリーダーシップというのを学校等で学んでいるようだ。
それに対して日本は、そこまで重要視されている能力とは思われておらず、国の経済産業省が発表している社会人に必要な能力にも、「リーダーシップ」という項目は存在しないらしい。

そのため、世界に比べて、日本でリーダーシップを身につけている人は少なく、それが世界との格差になっているようだ。
そういう点、日本人はリーダーシップを身につけるべきだとこの本で述べられている。
マッキンゼーで働いていると、自然に身についていくらしく、このリーダーシップというのは、先天的な能力ではなく、後から身につけることができる能力のようだ。

マッキンゼーは、激務もあり、社員の人は数年働いたら辞めていく人も多いらしいが、仕事が辛いというよりかは、やりたいことが見つかる、リーダーシップを身につけて、他でもやっていける自信がつくなどで辞めていくらしい。
リーダーシップを身につけると、自分に自信が付き、仕事だなんだのと思い煩うことなく、自分の意思で意欲的に進みたい道を選び、それに向かって進んで行くことができるようだ。

なので、自分もそういう自信、リーダーシップを身につけて、これからの人生に余計な不安などを抱えず、自発的にエネルギッシュに生きていきたいなあと思った。


そんなんでためになった部分を抜粋する。

・アメリカ人の学生も、最初は必ずしも、”グローバル人材”などではありません。世界のどこに行っても英語が通じるし、どの国でも慣れ親しんだハンバーガーが食べられます。国内市場も大きく、アメリカ以外のことを勉強しなければならない必然性や、海外で働かなければならない必要性は高くありません。一国の中にすべてが揃っているため、海外旅行をする人さえ多いわけでもないのです。
 それでもアメリカにマルチナショナルと呼ばれる多国籍企業が数多く生まれるのは、ビジネスパーソンに対して、常に「世界を見よ」と教える土壌と価値観があるからです。そしてその教育を行う中心的な場所が、ビジネススクールなのです。

・(マッキンゼーの)採用面接において重要なことは、思考スキルの高い人と低い人を見分けることではなく、「ものすごくよく考えてきた人と、あまり考えてきていない人」を見分けることです。思考力の高い人とは、考えることが好きで(=思考意欲が高く)、かつ、粘り強く考え続ける思考体力があるため、結果として「いくらでも考え続けることができる人」のことを言うのです。そして、そういう人は過去においても、ものすごくいろんなことを深く考えてきています。
 極端な例ですが、フレームワークを使い慣れていて、どんなケース問題でもサクサクと答えを出してしまうスマートな人の中にも、日常生活では何ひとつ深く考えたことのない人がおり、そういう人が「思考力が高い」と呼ばれることはないのです。

・「マッキンゼーは、なんでもできる万能人材を求めている」と思われていることも誤解です。日本社会は平均的にレベルが高いことをを重視します。優等生とは、数学も国語も英語も社会も理科もできる人、もしくは、数的処理能力もコミュニケーション能力も洞察力も文章力も全部一定レベル以上の、バランス型の人材のことです。
 実はマッキンゼーでは、バランスが崩れていても良いので、何かの点において突出して高い能力をもっている人が高く評価されます。ある一点において卓越したレベルにある人を「スパイク型人材」と称し、採用時も入社後も「彼・彼女のスパイクは何か」という視点で人材を評価しているのです。
 スパイク型人材は、難局においてリーダーシップを発揮する際に、とても有利です。困難な条件下で組織を率いるリーダーはしばしば、「この難局を何で勝負して乗り切るのか」と問われるからです。危機の時、ここぞという時に使える自分の勝負球や自分独自の勝ちパターンをもっていれば、それで難局を乗り切れます。
 一方「何でもそつなくこなせる」平均点の高い優等生型人材は、一定以上の難局を乗り切るための術を持っていません。

・日本人の多くは、「リーダーは、ひとつの組織に一人か二人いればいいもの」と考えています。その他の人はあまり強い主張をせず、リーダーの指示に従って粛々と動くほうが、組織全体としていい結果につながると考えているのです。さらに、リーダーが多すぎると、「船頭多くして船山に登る」ということわざに象徴されるようなトラブルが発生すると懸念する人もいます。
 このため、「組織においてはごく一部の人がリーダーシップをもっていればいいのに、なぜ外資系企業や欧米の大学では、採用面接や大学入試において、全員にリーダーシップを求めるのか」と不思議がられるのです。同様の趣旨で、「メンバー全員が強いリーダーシップを求めていたら、チーム全体としてはうまく動かないのではないか」といった質問もよく聞かれます。
 この質問に対する私の答えは極めてシンプルです。全員がリーダーシップを持つ組織は、一部の人だけがリーダーシップをもつ組織より、圧倒的に高い成果を出しやすいのです。だから、学校も企業も、欧米では(もしくは外資系企業では)全員にリーダーシップ体験を求めるのです。もちろんマッキンゼーがリーダーシップを、重要な採用基準と考えているのもそのためです。

・マッキンゼーではみんな、「全員がリーダーシップを発揮して問題解決を進める」という前提で、他者に対して遠慮なく自分の意見を伝えます。パートナーは、マネジャーやコンサルタントが、自分の意見通りに動くことを想定しておらず、だからこそ彼らは自由に意見が言えるのです。
 部下が自分の言ったとおりに動くと思えば、上にいる人はよくよく自分の影響力を考えてからでないと、発言ができなくなります。大企業のトップの中には、「自分が先に意見を言うと、みんなが黙ってしまい議論が起こらなくなってしまうし、反対意見も言いにくくなるから、会議では自分の意見は最後まで言わないようにしている」という人も存在します。
 けれどマッキンゼーではそんな気遣いは無用です。どんなに強くパートナーが意見を言っても、他のメンバーはそれを上司の指示とは受け取りません。その意見を尊重するべきか否かを、自分で考えて決めようとします。だからこそ、”上の人”も自由に自説を主張することができます。ヒエラルキーを議論に持ち込まずにすむのは、全員がリーダーシップをもっているからなのです。

・リーダーシップという概念がここまで理解されていない背景には、日本では社会において、さらに言えばビジネスの現場においてさえ「成果が最優先されない場合が多い」ことが挙げられます。実はリーダーシップを考える時、常にセットで考える必要があるのが「成果主義」なのです。成果主義とは、「努力でもプロセスでもなく、結果を問う」という考えであり、成果主義を原則とする環境でなければ、リーダーシップは必要とされません。

・ところが応募者の中には、それまで在籍していた企業で、成長に頭打ち感が出てきてから何年もたって、そこで初めて転職しようと考える人がいます。これは最も採用が難しいタイプです。
 成長の頭打ち感を感じながら働いている人は、その間、チャレンジングな仕事をしてきていません。必死に挑戦しなければ達成できない仕事ではなく、粛々とこなしていけばできるレベルの仕事をしてきています。こういう仕事を一定期間以上続けることは、さまざまな形でその人の可能性を減じてしまいます。
 人はチャレンジを続けていると、次々と新しいこと、より大きな仕事を手がけることが怖くなくなります。反対に簡単にできる仕事ばかりやっていると、できないかもしれない仕事が怖くなります。毎日やっていればなんということはない自動車の運転でも、数年ぶりとなれば怖く感じるのと同じです。

・リーダーは多くの場合、他のメンバーより圧倒的に大きな負担を背負い込んでいます。それでも成果を上げるために、最初の一人になろうとする人がリーダーなのです。
 ところで日本では、誰が先頭に立っているかわからない組織やチームも散見されます。海外企業と共同でプロジェクトを進める場合など、プロジェクトリーダーであるとと紹介された部長が、キックオフミーティングの席上で最初の挨拶以外は一切発言しない、などという事態に遭遇すると、海外のメンバーはみんな、びっくりしてしまいます。
 この、最初の挨拶しかしない部長は、日本語では、「このプロジェクトの責任者」と呼ばれており、中にはずっとチームの後ろに控えている人がいます。会議でも部下が交渉し議論するのを注視しているだけです。そして何か問題が起こった時だけ後ろから現れて判断をし、最後の責任を無条件に背負い、最終決戦のハンコを押すのです。
 では、このチームがどういった道を進むべきかは、いったい誰が決めているのでしょう?部下を前に立たせ、後ろでその仕事ぶりを見守っている責任者を、「部下を信頼して仕事を任せ、自律的に育てている」と評価する人がいますが、「何かの時には後ろから神の声が聞こえてきて判断が下される」などという経験を何度かすれば、前にいる部下は常に、後ろにいる責任者の顔色をうかがって仕事をするようになります。
 前に出て交渉をしているのは自分なのに、何かを決める際にはいつも「社に持ち帰って・・・」、責任者の意向を確かめなくてはなりません。リーダーというのは先頭を走る人であって、後ろに控えている人ではないのです。先頭を走る人が、一番前で最初に方向性を決めてこそ、メンバーは安心して走ることができるのです。

・このように、リーダーがなすべきことは①目標を掲げる、②先頭を走る、③決める、④伝える、の四つに収束します。シンプルに見えて、とても重要なことばかりです。


こんな感じでしょうか?
結構新しい知識や考え方をいろいろなことを得られた本でした。以上☆
コメント
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