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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

147冊目:「マーケット感覚を身につけよう」

2016-03-21 15:56:24 | 
総評:★★★★☆ いろいろ学びが多かった。
面白い度:★★★☆☆ 面白さとしては普通。
読みやすい度:★★★★☆ いい感じに読めた。
ためになる度:★★★★★ 結構ためになる部分が多かった。
また読みたい度:★★★★☆ 読み返して感想を書いたが結構いいなと思った。


マーケティングを学びたいと思っていて、厳密にはマーケティングではないがオススメ本として紹介されていたので読んでみた本。

この本の筆者のちきりんという方は有名なブロガーらしい。しかし本人の素性はよく分からないらしい。
前に一時期有名になった「きっこ」さんといい、ブロガーの方は素性がよく分からない方が多いなあと思った。

そんなんで、この本の感想をパパッと書く。

この本では、「市場」の考え方を学ぶことができた。
市場は、多くの人たちが物やサービスを持ち寄って、価値を交換する場所である。
「市場化」することで、公正な値段で物が売買されるようになったり、いろんな物が買えるようになったり、いろんなサービスを受けられるようになる。

「市場」は参入障壁の高い市場と低い市場があり、参入障壁の高い市場は法規制が敷かれている市場である。
例えば、電力や放送、通信網、鉄道などのインフラ(電力は今は参入障壁は低くなったか)などがある。
低い市場はそれ以外のいろんな物である。例えば、人材サービスや車や飲食店など本当に諸々である。

今後世界は「市場化」に向かっていくだろうとのこと。
市場化というのは一つの価値が日本だけでなく世界のいろんな所で売買されるようになることである。
ネットの登場で、本当に色々な物が市場化されることになった。

人材業界や旅行業界などはネットの登場で以前から市場化が盛んになり淘汰が激しくなってきたと思う。
市場は価値のマッチングなので、技術者などのマッチングサイト、人材のマッチングサイトがネットで本当に色々出てきて、そう言った意味では一つの会社にずっと務めることなく、こう言ったサービスを活用してフリーランスで生きるという選択肢も普通に身近になっていると思う。
他にも専門的なスキルを持った人たちのマッチングサイトなどがこれからどんどん出てくるだろう。
そう言ったことで人々の生活も変わるし価値観も変わる。またそういった世界のスピードに合わせていかなければ自分のスキルなども淘汰されていくので、そこは危機感が必要になると思う。

他にも例えばamazonが物流の市場を開拓し、appleが音楽業界を開拓し、今まで物流や音楽などでその業界でトップを走っていた会社が新しい波にのまれるのも時間の問題である。新しい市場もこれから出てくるし、市場化することで世の中がどんどん変わっていくし、本当に淘汰が激しくなっているのだ。
自分はシステムエンジニアであるが、自分のスキルも今後世界の人たちが同じ土俵に立ってくることになるので、プログラムが書けるだけではメシを食べていくことは難しいんじゃないかと思う。ちなみにプログラムを書くだけだったら日本以外の中国やベトナムに出したほうが本当に早く品質もよく安く仕上がることが最近業務を通じて分かった。そこら辺は本当に脅威だと思う。
でもシステムは市場自体が今後もかなり広がると思うので、そこはまだ他の業界よりかは大丈夫かなとは思う。

そんな世界が市場化に向かっていくに当たり、そう言った先を見通す力が必要になるんだなあということが分かった。
自分はこれしかできないからこれで行く、ではなく、広い世界を見て柔軟に発想をしていけるようなスキルが必要になっていくんだなあと思う。


あと、洋服の価値の変化についても書いてあったのだが、これも面白い学びだった。
自分は洋服の値段(ユナイテッドアロースやビームスなど)は高いと思っている、パーカーやTシャツが5000円も1万円もするのだが、それ程大金を出して買うような物ではないと思っている。
しかし、洋服は一般的に普通にそんな高い価格を定価として売っている。

それは、洋服はまずはその値段で買う人に対して、その高い値段で売るために、その価格を設定しているということだった。
別にその時はその値段で売れたらいいし売れなくても構わない。それで売れなかった服は徐々に値段を下げていくのだ。
そしてその服はその値段でいいと思った人にどんどんその値段で買われていき、最終的にはバーゲンやファミリーセールなどで人々が考えるそれ相応の価値で売れていくのだ。

だからバーゲンなどで何%OFFとなっている服を見るが、それはその服の本当の価値から何%OFFになっている訳ではなく、その当初の値段では誰も買わないから、なるべくしてなった何%OFFなのだ。なので、その今売られている値段がその服の今の価値ということなのだ。
だから服も良い物は高く売れるし、よくない物はそれ相応の値段に下がっていく。服はそういった売り方が出来る物なんだな~とこの本を見て初めて知ることができた。
確かに服は賞味期限もないしずっと置いておけるから、そういった売り方が可能なんだと思う。


そんなちょっと新しい価値観を得ることができた本でした。
そんなんで、最後に面白かった内容を抜粋する。

・独占状態なら何でも高く売れるはずと考えている人は、市場で取引されている価値について、突き詰めて考える習慣がついていません。先日起業した知人が、「教育サービスを提供する会社を作った」というので、「誰に何の価値を提供するの?」と聞いてみました。ところが、「質のいい教育サービスを提供します!」以上の答えが返ってきません。
 これでは「米を提供する会社を作った」「質のいい米を提供します」と言っているのと変わりません。教育サービスという言葉は、米やスイカと同様、商品名(サービス名)であって、顧客への提供価値ではないからです。このように、自分が売っている商品名は言えても、売っているものの価値を正しく認識できていない人はたくさんいるのです。

・一般的には職業の供給数は市場によって決まります。たとえば自動車業界の景気がよければ、自動車メーカーが大量の技術系学生を採用し、結果として、自動車関連のエンジニアが増えます。市場での需要増に連動して、技術者の供給も増えるのです。
 反対に雑誌が売れなくなれば、出版社は雑誌部門への採用や配属を控えるので、雑誌編集者という職業の供給も減っていきます。こうして、職業の需要と供給は市場によって調整されるのが普通です。
 ところが、博士、弁護士、医師のように、国や業界全体が政策的に供給数を決める職業の場合、それを決める人に市場を読む能力(マーケット感覚!)が欠けていると、一気に需給バランスが崩れます。その結果、その職業を選んだ人たちが、大変な目に合っているというわけです。

 つまりここでもゲームのルールが変化しつつあるのです。これまでの日本は国家資格が必要な職業はほぼ自動的に「いい職業」だと思われてきました。特に合格率の低い難関資格を要する職業ほど、「高級で安定している」と考えられていたのです。
 でもこれからは、お上が国家資格で保証してくれる職業ではなく、市場で強く求められる職業こそが、いい職業です。昔は政府が「すべての都道府県に国立大学をつくる!」と決めれば、大学の先生という職業の数(ポスト数)が、それに合わせて増えました。しかし市場の力が大きくなった現在では、政府の思い通りに需要や供給をコントロールすることはできません。地方大学をいくらつくっても、地方の若者が都会の大学に進学することを選ぶなら、地方大学で教職員のポストが増えるなんてことは起こらないのです。

 市場化する社会では、政府が認定した資格を無思考に目指すのではなく、その資格を必要とする職業がおかれた市場の状況について、正しく理解するためのマーケット感覚が不可欠です。

・ところが今、日本を含め高度に発達した資本主義国では、従来は価値があると認められていなかった(テレビの前の一言コメントのような)ものにも、価値が生まれつつあります。マーケット感覚を鍛えることのメリットは、こういった「非伝統的な価値」についても、「これなら、お金を払ってでも手に入れたいと考える人がきっといる。これは大きな価値だ!」と早々に気がつけることです。

 ただし、ここでの「価値」とは「儲かること」と同義ではありません。ネットビジネスではよくマネタイズという言葉が使われますが、これは、無料で提供されている価値が有料化される(課金される)ことを意味します。つまり、価値の創造(認知)と、価値への課金は別の話だということです。
 たとえば、グーグルのGmailというメールサービスは今のところ無料ですが、その事業に大きな価値があることは明白です。新しいビジネスアイデアについて、すぐに「それでは儲からない」という人がいますが、ここでの「儲からない」とは、たいていの場合、マネタイズが難しいという意味です。ですが私は、マネタイズにはあまりこだわらないほうがよいと思っています。重要なのは儲かるかどうかではなく、「価値があるかどうか」なのです。

・成功しているビジネスパーソンはみんあ、自分の欲望にとても正直だし、かつ、ストレートにそれを表現します。「アレがやりたい!」「コレを表現したい!」と、突拍子もない希望を次々と表明します。
 こうして自分の欲望に素直に向きあうと、自分の中にある欲望センサーの感度が高まり、他者の欲望や、人間全体に共通するインセンティブシステムについても、理解が進みます。そうすると、市場で人がどう動くかもわかるようになり(=マーケット感覚が鍛えられ)、結果としてビジネスも成功するのです。
 だから、たとえ手に入る可能性が低くても、欲しいものを「欲しい!」と強く意識し、自分の欲望に真正面から向きあることが、これからはとても大事になります。日本では学校でも家庭でも、「我慢すること」に価値があるのかのように教えますが、我慢するよりも「自分は何が不満なのか→自分が求めている理想的な状態とは、どのような状態なのか→自分が欲しいものは何なのか」と考えるほうが、よほど建設的です。

・人間も、今までは組織に選ばれ(=組織に雇ってもらい)、組織から評価されることを目指す人が多かったけれど、今後は市場に選ばれ、市場から評価されることを目指す人が増えるでしょう。しかし、組織に評価される方法と、市場から評価される方法は、大きく異なります。マーケット感覚を身につけるためには、この違いをよく理解し、市場に選ばれる方法に、より敏感になる必要があるのです。

・もうひとつの組織と市場の意思決定方法の違いは、組織が「決めてから→やる」のに対し、市場は「やってみてから→決める」という点にあります。
 テレビCMや雑誌広告は高額なギャラのタレントやカメラマンを起用し、手間暇をかけて作りこみます。このため、試しに複数のCMを作ってみて、実験的にすべてをテレビで流してみる、などということはできません。
 ところがサイトのデザインを変更するコストが安いネットビジネスでは、複数の広告デザイン案を実際に使ってみた上で、最も消費者に支持されたデザインを残すという手法がよく使われます。アマゾンドットコムのサイトでも、買い物をするたびに、価格の表示方法やお勧め商品写真の配置など、画面のあちこちが微妙にかわります。おそらく、どのデザインが最も多くの購買につながるのか、テストしているのでしょう。これが「やってみて決める」方式です。(ただしこの方式は、何でもかんでもやってみる方法ではありません。最終段階に残った複数の有望な案の評価を、市場に委ねるという方法です。)

・マーケット感覚を鍛えるための4つめのポイントは、成功と失敗の関係を正しく理解することです。日本人はよく、「シリコンバレーは失敗に寛容だが、日本社会は失敗した人を許さない」と言いますが、この理解は完全に間違っています。シリコンバレーは失敗に寛容なのではなく、「失敗経験のない人など、全く評価しない」のです。
 なぜなら、「失敗経験がない」ということは、「これまでの人生において、チャレンジをしてきていない」と見なされるからです。「できる範囲のことしかやってこなかったのでは?」「高い目標を掲げた経験がないのでは?」と疑われるのです。
 また、失敗経験のない人は「成功するのに必要な学びを得ていない」とも思われます。失敗から得られる学びは非常に大きく、成功のために不可欠な経験と考えられているため、一流大学を出ていても失敗経験のない人は、学びの量や質が足りていないと判断されてしまいます。
 このためしばしば若者は、「早く失敗しろ」と急かされます。「できるとわかっていることばかりに時間を使わず、できないかもしれない大きな目標に早くチャレンジしろ。もちろん失敗するだろうが、話はそれからだ」というわけです。

・このように市場化の波は、その変化によって得られるインパクトができるだけ大きな分野を狙い撃ちしてきます。分相応な利益が温存され、そこを突破すれば大きな利益が得られると思うからこそ、海外企業も含め、さまざまな人や企業がその分野に参入しようとするのです。研究者や技術者も、技術によって、今までバカ高かったモノが格安になる分野に、(その技術があってもなくても大して価格が変わらない分野より)強い興味を持ちます。だから規制に守られた、市場的でない分野ほど、大変革に見舞われる可能性が高いのです。

たとえば過去の数十年の間に、市場化によって大きく変わった分野、そしてこれからの数十年、大きな変化が起こると考えられるのは、次のような状況にある業界です。
1、規制によって、消費者が妥当と感じる価値と大きいくかけ離れた価格付けが行われている
2、規制によって、新規参入が意図的に低く抑えられている
3、流通経路が複雑で、付加価値を生んでいない中間業者が多数存在する
4、経営者の怠慢により、人材を含む貴重な資源が活用されていない
5、関係者の怠慢と安定志向のため新技術が導入されておらず、生産性が低い
6、規模の小さな企業が多く、運営が非効率で大きな投資もできていない
7、時代に合わなくなったものが、淘汰の仕組みがないために温存されている

見方によれば1は「超高収益な分野」に、2は「競争の少ないラクな業界」に見えるのかもしれません。3は「付加価値を生まなくても給与のもらえる業界」だし、4は「プレッシャーのない気楽な会社」です。5は「新しい技術を覚える必要のないのんびりした職場」で、6は家庭的で和気あいあいとした会社、7は変化なんてしなくても潰れる可能性のない安泰な業界です。これらら安定したすばらしい業界に見えるのか、それとも、今後大きな変化に見舞われる可能性の高い、極めて不安定な分野に見えるのかは、まさにマーケット感覚の違いと言えるでしょう。


以上、そんな感じでした。書いてみるとそれなりに学ぶことは多かったなあと思える本でした。
久しぶりの本の感想はこんな感じで以上⭐︎
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