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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

56冊目:「カラマーゾフの兄弟(上)」

2011-08-30 00:46:01 | 
総評:★★★☆☆ 最後はすごかった
面白い度:★★☆☆☆ とにかく分かりにくい
読みやすい度:★☆☆☆☆ かなり読みにくい
ためになる度:★★★☆☆ 最後に面白いくだりがあった
また読みたい度:★★☆☆☆ 今のところは微妙


日本文学の最高峰の次は、世界文学の名作にトライしてみました。
このカラマーゾフの兄弟は、東大生が薦める本1位になっていて、その他いろいろな書評でも名作の評価となっており、本当に歴史的にも世界的にも読んでおけっていう本らしいです。
そんなんでチャレンジしてみました。

そしたら。。。
やはり外国文学の翻訳なので、読みにくい・・・
登場人物の心情があまり分からなかったりする。

とりあえず大まかなあらすじとしては、ヒョードル・カラマーゾフの3人の息子である、ドミートリィ、イワン、そして主人公であるアリョーシャの物語で、さらにヒョードルの私生児であるスメルジャコフっていうのが基本となる登場人物である。

んでヒョードル・カラマーゾフってのが破天荒な人物で、何やら大騒ぎしたり、物欲だったり性欲が強かったりで、なんか変な人である。
んでその血を濃く受けついだ長男のドミートリィ、冷静沈着で現実主義なイワン、そして心優しい修道僧のアリョーシャ、そして何やら不気味なスメルジャコフが織りなす群像劇。らしい。


ただでさえ読みにくい上、登場人物が多く、名前を覚えるのに一苦労だった。
アデライーダ、グリゴーリィ、ミウーソフ、カテリーナ、グルーシェニカ、ホフラコワ、リーズ・・・
なんか早口言葉かってな名前がどんどん出てきます。

そして登場する女性がほぼヒステリー?なのかどうなのか、言っていることがあまり分からない。。。


あとキリスト教の話がよく出てきており、引用も多かった。
そんなこんなで昔聖書を読んでおいたので、それはそれで分かりやすいところもあって良かった。

最初はいろいろ分からない所が多かったが、最後のアリョーシャとイワンの二人の会話で、「反逆」「大審問官」なる章があるのだが、キリスト教に対する否定?というか現実主義的な側面をイワンがひたすら話すのだが、そこの場面はなにやら普通ではない雰囲気を醸し出していて圧巻だった。

ここは何かいろいろと考えさせられる内容があってとても深い。
「大審問官」でgoogle検索するとここの内容がいろいろ検索でき、カラマーゾフの兄弟の中でもクライマックスとなっている部分らしい。


そんなんで、あまり会話の意味が分からず、登場人物の把握にも疲れ、いろいろ疲れた上巻でした。が、最後は本当にすごかったです。
物語の導入部分は一応分かったので、次の巻は何とかがんばれそうです。
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55冊目:「こゝろ」

2011-08-09 22:11:49 | 
総評:★★★★★ 日本文学の最高峰だと思う
面白い度:★★★★★ なぜか引き込まれる
読みやすい度:★★★★★ 国語の教科書に載るだけある
ためになる度:★★★☆☆ 人の心とは
また読みたい度:★★★★★ あらすじを分かっているのに引き込まれる


有名すぎる夏目漱石の小説。
高校の時に夏休みの宿題で、この小説の読書感想文を書くように言われた。
当時は長そう、だったり、小説なんて、て思っていたが、夏休みが終わった後にイヤイヤ読んで書いてみた。

そしたらスイスイ読んでしまったという思い出がある。
当時は友達から小説を借りていたのだが、以前ブックオフで買っておいたので、この機会にまた読んでみることにした。


なんだろう。
この小説には独特の雰囲気があり、間がある。
それもまたスイスイ読まされてしまった。

高校生だった当時と比べて、文章の内容や、登場人物の感情などについて、さらに読解力が生まれていると思う。
そういった今の感受性をもってしても、やはりこの小説はとても面白いと思う。


・内容について
この小説は3部作となってはいるが、ほぼ、3部目の「先生と遺書」をメインとして書かれたものだ。
むしろ主人公は「僕」でなく「先生」である。
1部は先生を「僕」という読者?の視点から客観的に描きだしている。
その上で、先生の振る舞いの端々に見える「影」を謎として描き出し、読者の興味を誘っている。

僕と先生が知り合うきっかけやら、僕が先生と仲良くなっていく話については、本当に現実にはそこまで人に興味が湧くか?と思いつつも、先生にはやはり何かしらの魅力やら、人間的な深さを感じる。
1部は先生に興味を持ってもらい、先生に何かしらの影がある「謎」を感じてもらうための導入部分である。

2部は完全に3部につなげるためのブリッジであると思う。
クライマックスの3部に持っていくため、僕=読者に遺書を見せるために必要な出来事などの内容が書かれているが、前回読んだ時も今回読んだ時も実はあまり記憶に残っていない。

3部がこの小説の核心部分であり、先生が今まで僕に見せていた謎の全てが判明する。ここまで見て、やっとなるほどと思わせる内容になっている。
この3部がとても面白い。


・登場人物について
人に疑念を抱く先生。下宿先の奥さんの優しさと甲斐甲斐しさ、そして好意を寄せるお嬢さんとの生活。
ほのぼのとした生活の中、すさんでいた先生の心が少しずつ溶けていくくだりは、見ていてとても幸せな気分になる。そして先生の抱く恋がとても新鮮でうらやましい気持ちになった。

そしてKの登場。
先生の人生に大きな影響を与えるKの存在。
Kの人となりは、強情な所があり、ひたすら自分の道を突き進むといった性格であっても、どこか憎めない。
そして次第に変わっていくKの心情。。。


この小説の登場人物は、とても人間らしい人たちなのだと思う。
ホントに身の回りを探したらいそうな人。
その人達が、普通にありえそうなことをしている日常。そんな普通の描写の中でも、恋だったり、心の変化だったり、小さな出来事を通じての変化。
それがとても細かく、それでいて面白く書かれていると思う。

この何でもない日常を面白く書ける夏目漱石は本当にすごいと思う。


・Kについて
こゝろは登場人物のこころの変化がとても細かく丁寧に書かれていると思う。
Kが悩む姿は見ていて、Kだったらこう感じているんだろうな、とかこう変わってきたんだなとかが良く分かる。
Kが先生に悩みを打ち明けた時、先生が言った一言。
言葉そのものだけ見れば、そこまでひどいようには見えないが、今まで読んできた読者なら分かる。

Kにとっては何もかもを壊してしまう一言だったんだろうと思う。
ここがある意味この作品のクライマックスであるのだと思う。
実際そのような空気が伝わってくる。
Kは最終的に自殺をしてしまうが、自分はKは先生を恨んで死んだようではないと考える。

「覚悟」といっていたが、それは先生も後で思い返しているが、それはお嬢さんに、という訳ではなく、自分に対して、の覚悟であったと思う。
実際にああいった結末にはなったが、Kの考えている結末はそれはそれで大きく変わらないものであったのではないかと考える。
ただKの覚悟に対して背中を押したのは先生であったというのはあると思うが・・・


・こころについて
先生は若い頃犯してしまった自分の「罪」を後世まで自分の中に留めてきた。
それは誰かに話してもどうにもならないような葛藤であったと思う。
あの事件で、先生は世間から姿を消し、隠居のごとき生活を送ってきた。
先生の中にある影は歳を経るごとに大きくなるというわけではなく、常にある一定の大きさを持っており、それは小さくなることはなく、必ず先生の一部を占めていた。

叔父や親戚に見た自分が嫌ったはずの人間の醜さ。
誠実に生きてきたながらも、自分にもそれがあった、ということを突きつけられて、大きく悩み、そして悩み続ける。

誰でも持っているようなことだし、そういうことは多くの人がやったりすると思う。
しかし結果が結果となって先生を大きく縛り付けた。

先生は人間を嫌いになり、そして自分自身を嫌いになった。
先生の中の闇は常に先生自身を脅かし、自分自身と対話しつくした結果、先生は自殺を考えるようになる。


心の不安定さ、心の闇を持つ中でも、大切な人がいることでの心の安定、大切な人を幸せにしたいという気持ち。普段の日常の中の葛藤。そんな心の動きがとても綿密に書かれた小説でした。

読んだ後の後味は悪くはない。何か自分の心の中に一つ、充実したものが残った気がしました。

読んだのは2回目だが、とても面白く読めた最高峰の小説でした。
夏目漱石の文学はまだあまり読んではいないのだが、他にも色々読んでみようと思う。
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54冊目:「八日目の蝉」

2011-08-03 23:01:39 | 
総評:★★★☆☆ 子育てする女性にいいかも
面白い度:★★★★☆ なかなか面白かった
読みやすい度:★★★☆☆ 最初はちょっととっつきにくいかも
ためになる度:★★★☆☆ それなり?に
また読みたい度:★★☆☆☆ 一回でいいかも


実家に帰ったらこの小説があったので、借りて読んでみた。
ドラマ化、そして最近映画化された小説。

特にどういう小説か、とか先入観なく読んだ。
最初は色々なことが断片的で、何でこんなことをしちゃってるの?と思いながら、あまり全体像が見えず進んでいた。

中盤を過ぎたあたりから場面がガラッと変わり、そこから徐々に事件に至った経緯や事件の状況が明らかになる。
最初は読みにくかったが、後から結構引き込まれました。


実の子ではない赤ちゃんを誘拐し、その子を一生懸命育てる。
自分の子ではないのに、良くそこまで健気に子供の事を思ってできるなぁと思う。
逃亡しながらの子育てで、自分の身分を証明することも出来ず、とても不安定な生活を送ることになる母親(←とここでは呼ぶ)

それでも子供と一緒にいたい。自分の幸せなどどうなってもいい。
ただ子供と一緒に暮らしたい。
そんな切な願いを生きる希望としてただひたすら子供と生きていく母親。

その関係性はとても美しいものに映る。
実の子が産まれてもちゃんと育てられず、育児放棄してしまう母親や父親も現実にはいることだろう。
しかしこの母親は実の子ではないにも関わらず、そして頼れる男性がいないにも関わらずたくましく生きていく。


しかし二人の生活もやがて終わりがやって来る。
些細な出来事からその生活は終わりを告げる。でもそれはいずれそうなると分かっていたことだ。

事件が発覚した後は実の本当の母親の家に帰され。少女は成長する。
しかしその生活や、自分の立場を自覚していくには時間が必要だった。
やがて自分の生い立ち、事件を知った少女は、家庭に戻ってから今までの出来事を振り返る。

少女の家庭はどこかひびが割れていた。幸せな家族とは程遠い生活。
そうなったのも幼少期、知らずのうちに育ててくれた母親のせいだと憎むようになる。

やがて少女は自分がその母親と同じ事をしていることに気づく。
憎むのか、自分と似ているのか、そんな葛藤を覚えながらも心は幼少期の母親の事を考える。
そして徐々に記憶に封印した幼少期の生活を思い出す。。。


結構どろどろしているようで、なかなか最後はさわやかな終わり方だったと思う。

子供の大切さ、子供が一緒にいる生活。そんな些細なことに見えるが、とてもかけがえのない生活がそこにあることをこの小説は教えている気がします。
そんなんで、子育てに悩む母親にこそ観て欲しい作品だと思いました。
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