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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

71冊目:「赤と黒(下)」

2012-02-22 17:24:44 | 
総評:★★★★☆ 印象深かった
面白い度:★★★★☆ 最後の展開はあっという間に読んでしまった。
読みやすい度:★★★☆☆ 下巻は読みやすくなったと思う。
ためになる度:★★★★☆ いろいろためになった。
また読みたい度:★★★★☆ 今度は別の人の訳で読んでみたい。


赤と黒、下巻。
結構ボリュームあったけど、読み終わりました。


内容としては、ジュリヤンはレナール夫人との疑惑のため、レナール邸を辞し、とある神学校で勉強することになる。そこでも頭角を現したジュリヤンは、町のラ・モール氏という侯爵に見出され、そこで住み込みで秘書的な仕事を行うことになる。と、ここまでは上巻の内容。

下巻は、そこのラ・モール邸での生活の中で、ラ・モール氏の娘であるマチルドと紆余曲折はありながら恋仲になる。
身分の違いに悩みながら、結婚ということに踏み切れない、というかそもそも無理なんじゃないかという考えに至るジュリヤン。

しかし結局マチルドは妊娠してしまうことになる。
下賤の家の出のものが、大貴族の令嬢と恋仲になっており、それも妊娠までさせてしまう。
貴族のメンツを汚してしまうようなこの大事件を公にしないように、マチルドは東奔西走し、いろいろな手を打つ。

そして、なんとかジュリヤンに貴族の出という肩書を用意することに成功し、ジュリヤンは今まで思い焦がれてきた立身出世の夢をつかむことに成功する。
かに見えた。が、突然レナール夫人からの手紙を受け取ったジュリヤンは思いもよらない行動に出る・・・

と、こんなストーリー。


200年近く前の小説だけど、とても面白く読めました。

下巻はマチルドの章とでも言うように、このマチルドがとても存在感を出している。
上巻では一切出てこなかったが、大貴族の令嬢でありながらも、現在の社交界の交流になんら面白味を見いだせず、何か現在の境遇にあきらめに近い感覚を抱いていたが、そこに大きな野望と抱負な知識を持ったジュリヤンが現れた。

マチルドは女性としてはとても変わった性格で、はつらつとしており、プライドがとても高く、そしてとても頭が良く、自分で色々な考えを持っている。そういった性格もあり、社交界で出会う人達に物足りなさを感じていた。

作者も途中で言及しているように、当時にはおよそこんな人物はいないであろうと言っている。
プライドの高さから、ジュリヤンがマチルドに好意を抱き、ジュリヤンが実際に慕っていることを言葉にした瞬間に、マチルドの心の中でジュリヤンを軽蔑する思いが芽生える。

そしてジュリヤンがマチルドにそっけない態度を取ったら、またジュリヤンを好きになるという、どんだけツンデレなんだという、なんか良く分からない女性像である。
そんな強烈なキャラがとても印象に残りました。

でも最後の方でのマチルドのジュリアンのために尽くす姿はとても印象的で、彼女をここまでさせるのも愛なんだろうなぁと思った。


大作であり、とても面白かった小説だが、実際、何をテーマに伝えようとしているかはあまり分からなかった。
そもそも「赤と黒」の題名はどういう意味があるんだと、今でも謎とされているらしい。

でも当時のフランスの時代背景やナポレオンのすごさなんかも分かって、そこら辺とてもためになった小説だった。

最後に、印象深かった箇所を書く。
「偉大な行動とは、企てる時には必ず極端なものではないかしら?」

そんな感じのなかなか印象に残った小説でした。

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70冊目:「赤と黒(上)」

2012-02-06 00:14:06 | 
総評:★★★★☆ なかなか
面白い度:★★★★☆ 面白いと思う。
読みやすい度:★★☆☆☆ ちょっと読み辛め、かも。
ためになる度:★★★★★ 歴史の勉強になる。
また読みたい度:★★★☆☆ 一旦は普通。


スタンダールの小説。
なにやら名作らしい。なので読んでみた。

あらすじとしては、貧しい家に育ったジュリヤン・ソレルは美貌と博識を持ち、立身出世を狙って聖職となる。博学という町内での評判から、ジュリアンは町長であるレナール氏の子供達の家庭教師をすることになる。
レナール氏の邸内で住み込みで働くが、そこで町でも一番の美人と言われるレナール夫人と禁断の恋に落ちる・・・
という話。
でも実はレナール夫人と恋仲になってからの話がメインである。


感想としては二つの点で面白かったです。

レナール夫人とジュリヤンは、もちろんレナール氏にばれないように恋仲の関係を続けている。しかし周りの人間達の妬みも買ったりして、二人の関係をばらすような密告書がレナール氏に届けられる。

ジュリヤンはうろたえるが、そこでレナール夫人は疑惑を晴らすための工作を考える。
それはとても用意周到に考えられた内容で、ジュリヤンはまさか夫人がそこまで考えられるとは思わず、とても驚きを隠せなかった。また態度もとても落ち着いた様子を振る舞い、見事にレナール氏の疑惑を消すことに成功する。

田舎の箱入り娘として育てられ、世間の右も左も分からないレナール夫人だが、極限の状況に立たされた時の振る舞いを見て、ジュリヤンとの愛のためにそこまで立ち回れるんだなぁと思い、愛の力ってすごいものだなぁと感心しました。
それが一つ目。


二つ目は、あとがきについて。
この作品は時代背景が分かっているととても面白く見ることが出来る。
その時代背景の解説があとがきに載っていた。逆にこれを知らないと面白さも半減してしまうと思う。
もちろん上巻はほとんどあとがきを知らずに読んでいました。
それであとがきを最後に見て、なーるほど!って思った。

時代としては、ナポレオン失脚後のフランス。
その当時には、ナポレオンの思想を支持する自由派と、今までの王政の思想を支持する王党派の二つに大きく分かれていた。
王党派はもちろんフランス王家、また教会などが属する派閥である。

主人公のジュリヤンは、ナポレオンを深く崇拝しており、党派としては自由派である。
しかし、ジュリヤンの職業は教会で働く聖職である。
なので、体面的には王党派で、思想としては全く逆の自由派である。
なのでジュリヤンは自分の思想を隠しながら生活をしている。

ジュリヤンは自分の聖職をあくまで立身出世のための手段としてしか考えておらず、王党派の人々と関わる中でも、貴族や金持ちなどにはとても強く嫌悪感を覚えていて、心の中では暴言なんかも何回も吐いたりする。
そんな見切りをつけた考え方や、裏表のある所が人間味があって面白い。

そんな自由派と王党派の派閥を登場人物に当てはめていくと、ストーリーとして、とても納得する内容となる。
ちなみにレナール氏、レナール夫人は王党派、レナール氏のライバルとして出てくるヴァルノ氏は自由派。
多くはその二つの派閥で小競り合いを繰り返している時代背景となる。

そんな面白い背景を上巻の最後に知りました。


ナポレオン。「罪と罰」のラスコーリニコフも崇拝していたと思う。
そんなんでナポレオンも時間があるときに調べてみようと思いました。


最後に、なるほどと思った箇所を書く。
「『社会の最上級に近づくほど、魅力的な態度に出会えるんだな』
とジュリヤンは思った。」

上巻はそんな内容でした。以上☆
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