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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

53冊目:「告白」

2011-07-31 00:11:13 | 
総評:★★★★☆ 面白かった
面白い度:★★★★☆ 面白かった
読みやすい度:★★★★★ すいすい読めた
ためになる度:★☆☆☆☆ 特にためにはならないと思う
また読みたい度:★★★★☆ また読みたいと思う


実家に帰ったらこの小説があったので、借りて読んでみた。

そしたら、1章がとても面白く、引き込まれた。
なんかさらっと変なことも言っていて、ちょっと笑ってしまった所もある。
1章だけで完結した物語でも全然いけると思ったが、作者も最初続きを書こうとは思わなかったようだ。

2章以降は色々な登場人物からの事件と事件以降の描写が語られるが、色々伏線を張ってるように見えて、最後はそこまで回収しきれていないし、最後は結構強引すぎる気がしたが、結果的にはそれなりに楽しく読めた。

なので、引き込まれたのは最初の方だったけど、そこから最後までぐいぐい読まされてしまったのが感想です。
映画も近々借りて観ようかなと思います。
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52冊目:「沈まぬ太陽 五 会長室篇・下 」

2011-07-30 22:30:11 | 
総評:★★★★☆ 巨大な「力」
面白い度:★★★★★ 全編を通して面白かった
読みやすい度:★★★☆☆ 普通
ためになる度:★★★★★ 「現実」を知った
また読みたい度:★★★☆☆ 普通


最終巻です。
今までずっと読んできたが、この作品全巻を通じて思ったこと。
ムゴい・・・
だった。


前3篇に渡って物語が書かれているが、どれも全て形の違った酷さが書かれていた。

恩地の人生、上からの圧力の酷さ。
国民航空の事故で大切な人を失ってしまった遺族の悲しさ、国民航空の内情、対応の酷さ。
事故を真剣に受け止めることなく保身に走り工作を続ける上層部の酷さ。
最後の結末もなかなかムゴい。。。

何なんだろう。
最終的に会長の国見氏は、総理大臣から会長就任の要請を受けたにも関わらず、その当人から会長を更迭させられるというとてもムゴイ仕打ちを受ける。

国見氏が何をやったのだろう。
志は清く、今まで分裂していた労働組合を頑張って一つにしようと、粉骨砕身で取り組んでいた。

まさに花道の無い退任。
恩を仇で返すとはこのことだろうか。


このやりきれない感は今までずっと作品を読んでいて根底にあったものだ。
国民航空のしがらみは国民航空だけでなく、官僚、政界にまで複雑に張り巡らされていた。
官とは何か。

上の人たちは甘い蜜を吸う。それを下の人たちは知らない。
甘い蜜を吸っている人も、実はさらに上の人から巧妙な伏線を張り巡らされて甘い蜜を吸われている。

これはもうどうにもならないのであろう。
上の人は「権力」を持っているから、もし何か不祥事があっても、マスコミなどを操り不祥事を揉み消すことが出来る。

下の人が「何か」をしようとしても、何十にも張り巡らされた強固な防衛策に阻まれ、核心に近づけない。
もしその核心を知っても、明るみに出すことは出来ない。
もし明るみに出せたとしても、それ相応に事が裁かれるのかも怪しい。


同じようなケースがある。
三国志での十常侍というのがそうだ。
皇帝に取り入り甘い蜜を吸っていたが、曹操らの挙兵によって失墜させられた。

今の現代に表すと、「革命」であろうか?
おそらく「革命」に当たることをしなければこの構造は変わらないと思う。
おそらくもし「革命」を成し遂げた人さえも、甘い蜜を吸う構造を作っていくのだと思うが・・・


まあそんな現代にも十分にまかり通っているそんなムゴい構造を知ることが出来ました。
さしづめ、原発問題はかなり上がもみ消したりマスコミを使って情報操作している所はあると思う。

でもそういった「裏」を見る目も今回のことで少しは知ることができたかなと思います。

ちなみに、この小説、ほぼ現実の出来事をモチーフにして書かれており、さらに登場人物のほとんどにモデルがいることが分かりました。

なんか当時の出来事や政界や人物に興味が出てきたので、ちょくちょく調べてみたいと思います。

そんなんで「沈まぬ太陽」、とても勉強になったし面白かったです。
また自分の中の新しい世界が開けたので、読んでよかったなと思いました。
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51冊目:「沈まぬ太陽 四 会長室篇・上 」

2011-07-23 15:46:51 | 
総評:★★★★☆ 腐敗、腐敗、腐敗
面白い度:★★★★★ 官民の癒着とは
読みやすい度:★★★☆☆ 普通
ためになる度:★★★★★ 実際にこんな感じなんだ
また読みたい度:★★★☆☆ 普通


早くも四巻目。
今までとはまた異なり、今回は企業の腐敗についてがメインとして書かれている。

御巣鷹山の事故を受けて、国民航空は社長が辞任し、新しいトップを政府(厳密には総理大臣)が選ぶことになった。
政府が指名したのは航空業界と全く異なる紡績業の企業のトップである国見氏だった。

国見氏は新たに会長の役職を新設し、会長として国民航空の舵を取っていくことになった。
公明正大な視点で誠意をもって国民航空の内情に向き合う国見会長。
国民航空の4つに分裂している労働組合を1つにまとめることが、今の問題の最重要課題として、解決の糸口を探ろうとする。

その過程で社内に埋もれていた恩地に目をつけ、会長室を新設し、そこの担当者に恩地を据える。
ただし、国民航空のこの改革を快く思っていない社内の一部の人間は会長の行動を阻止すべく、様々な手を打ち改革の壁となるのであった。


この巻では、国民航空の腐敗の構図が描かれている。
実際にかなりムゴい。

民間会社が国の政治家、官僚に取り入り、自分の好きなように情報操作したり、特定の団体、人物に圧力をかけたり、不正な金を使ったりしてやりたい事をやっていく。
企業の闇の面はだんだん大きくなっていく。
それを止められない上層部。そもそもそれを止めようとは考えてもいない。
自分が利権を握っており、甘い蜜を吸っているからだ。

国民航空の安全神話はすでに崩壊している。
御巣鷹山事故の遺族、国民からは安全を一番に守って欲しいとの声がでているが、それを会社として表明しているにも関わらず、それを見返すことなどなしに、上層部は自分の保身、利権によって闇の面を拡大させていく・・・

民と官の癒着。
そんな暗黒面が一巻まるまる描かれていました。
これは今の世の中でも色々な部分で行われていることでもあると思う。
何かとてもやりきれない思いがした。


利権がある所、甘い蜜を吸える所、それを手にしている人たちは、今の状態を崩したくないため、それを崩そうとしてくる人たちに対して妨害工作を取る。
今の状態が正しくない状態だとしても、それを正そうとはしない。

それが腐敗の温床となり、腐敗は更なる腐敗を呼ぶ。
それが権力のある者と結託し、権力のある者を使って、やりたい放題やっていく、もし正そうとする人達がいても、権力を使って、それをもみつぶしにかかる。

正しくないことはそれでまかり通る世の中になってしまう。
それが聖域となり、誰も手が出せない状態になってしまう。

もはやどうにもならないのであろうか。
利権、官民の癒着、腐敗の構造、そのきっかけをこの本から学ぶことが出来た。
色々もやもやするが、最終巻の結末はどうなるのか、とても楽しみである。
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50冊目:「沈まぬ太陽 三 御巣鷹山篇 」

2011-07-14 22:05:06 | 
総評:★★★★☆ 沈まぬ太陽の核心部
面白い度:★★★★☆ 悲しい
読みやすい度:★★★☆☆ 普通
ためになる度:★★★★☆ 123便事故の詳細が語られている
また読みたい度:★★★★☆ 機会があれば


三巻はこの物語のある意味一番の核心ともいえる123便墜落事故について書いてある。

事故が起った経緯から、事後現場、救出活動、犠牲者、後に遺された遺族達、そして航空会社側の対応、その後の調査などの話が書かれている。

この巻では、事故について様々な関係者からの話が書かれており、恩地はこの巻では一人の登場人物的な扱いでしかない。


自分が3歳くらいの時に起った話だったが、史上最悪の航空機事故とあって、その悲惨さが伝わってきた。

突然大切な人を亡くし、遺された遺族たちが味わった苦しみ。
何回も安置所に訪れ、せめて一部分でもと、大切な人の遺体を懸命に探す人。
大切な人を突然奪われ、生きがいを亡くし、どん底の生活を送る人。
墜落している飛行機の中で、最後の時と知りながら家族に言葉を残す人。
夫を亡くした上、遺族交渉のお金について相手家族から執拗に干渉を受けてしまう人。

被害者の家族達のとても苦しい心情が書かれていた。
これからは癒えない傷を持ちながら頑張って生きていかなければならない。
遺族交渉で、事故で死んだ人がお金に換算されるという悲しみ。
会社にいくら怒り、悲しみをぶちまけてもそれでも全然癒えない傷。
そんなどこにも行き場の無い悲しみ、苦しみが詰まった巻でした。


ちなみに、4人の生存者はなんと実名で書かれていた!
航空会社はフィクションなのにこの巻は一巻丸々ノンフィクションなのだろうか。

よりにもよって墜落した所が山の中でも秘境とも言える難所になってしまうとは。
救出活動や事故調査に当たった人たちの苦労も大いにあったのだろうと思う。

会社側として遺族の方達とあたる恩地も辛い。
それでも恩地なりに誠心誠意を尽くして遺族の方達と向き合っていく。

国民航空の社長は辞任を表明し、未曾有の大事故を引き起こしたことで、「安全」が一番に語られるようになった。
国民航空が変わるきっかけになるか。
次巻もまた楽しみです。
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49冊目:「沈まぬ太陽 二 アフリカ篇・下 」

2011-07-10 18:49:15 | 
総評:★★★★☆ なかなか
面白い度:★★★★☆ 面白い
読みやすい度:★★★☆☆ 普通
ためになる度:★★★☆☆ 巨大組織のムゴさ
また読みたい度:★★★☆☆ 普通


二巻目は恩地の過去から日本に戻れとの辞令を受け取るまでの話。
なんと、会社の規定では海外僻地の出向は2年までとなっているが、恩地はなんと10年間も海外の僻地に飛ばされていた。

2年間労働組合の委員長をして、上層部から疎まれていたとはいえとても酷すぎる。
フィクションならいいが、モデルとなる人物はいるのだろうか・・・

とりあえず、この主人公の恩地元はなんか本当に渡辺謙にイメージがもろかぶりしてしまう。映画はまだ見たことないけど。
なにかと読んでいて、渡辺謙の姿を想像し、恩地はこんな感じの人なんだなぁと具体的にイメージができる。妙な親近感。

恩地は10年間の間に、人事の担当と何回か話し合いの機会を持つことになるが、その度、日本に戻りたければ今までの労働組合と縁を切れといった半ば脅しをかけられている。

その度、恩地は頑なに人事担当の申し入れを拒否する。
そこはすごいなと思う一方、頑固だと思った。
もう海外勤務に参っていて、家族に迷惑をかけてもいるのに、さらに会社から追い詰められるが、それでも組合との縁を切らず、海外に残るというその執念は本当にすごいと思う。

自分だったらもう勘弁してくれとなり、嘘をついてでも日本に戻りたいと思うだろう。それかいい加減会社を変えると思う。
しかしその頑固さが最終的にいい方向に働き、最後は会社を相手に訴訟を起こし見事に勝利する。
日本に残った労働組合、その他恩地に世話になった人々、その人たちの働きもあり、今までの恨み?も晴らす形で日本に戻ることが出来た。

そんなハッピーエンドで良かったと思うアフリカ編であった。
しかしまたこんな困難が三巻以降も続くんだろうなぁと思う。
そんなんで次の巻も楽しみである。
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