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読んだ本の感想と旅行の日記を書いていきます。
後、その他なんかあれば・・・

22冊目:「坂の上の雲(六)」

2010-10-16 13:28:49 | 
総評:★★★★★ 以下、一巻から変わらず
面白い度:★★★★★ 
読みやすい度:★★★★☆ 
ためになる度:★★★★☆ 
また読みたい度:★★★★★ 


六巻はメインとして、ロシアの強襲作戦である黒溝台の戦いと、日本側のスパイである赤石元二郎の活動を書いている。


主人公の秋山好古は、日本陸軍の騎兵隊を率いているが、これは、騎馬を使って活動を行う兵種で、日本軍では特殊な兵種である分、メリットとデメリットが際立っている。

メリットとしては、進軍が早いこと。このため、斥候(偵察)や、伝令などに大きく力を発揮する。さらに、この進軍の早さを生かして、様々な場所から出現することで、奇襲戦法に大きく威力を発揮する。
ただし、デメリットも大きくあり、それは、防御力が弱いことである。騎馬に乗っていて的が大きいので、鉄砲で打たれたらひとたまりもない。

日本陸軍は、騎兵のほかに、歩兵(一般的な兵種)、砲兵(射撃専門)、工兵(橋、築城、土塁などの構築専門)などに兵種が分かれている。
秋山好古は、学生の頃、お金がなかったため、早くお金が稼げるように、3年で学校を卒業できる騎兵科を学ぶことにしている。

仕方ないにせよ、半ば成り行きで騎兵科になっているが、好古はそこで騎兵について、どの場面で使うべきか、どこで真価を発揮できるかについて考え、上のような結論を出している。

ただし陸軍は騎兵の認識が甘く、騎兵の使いどころが分かっていない。
兵の数が足りないこともあり、歩兵と同じような役割を任されている。
(そもそも騎兵は歩兵と一緒に使うべきではないことを好古は知っている。)
この使われ方に不満を抱いてはいるが、日本陸軍の現状もあり、任された役割を忠実に遂行している。


好古は実際、防戦になった場合は、騎兵を馬から降ろして、馬を後方につないでおき、歩兵の使い方で騎兵を使った。
それが騎兵の戦術としては一番被害が少ないのである。
一方、騎兵の本職である斥候については意欲的に行い、本部に状況を報告している。


この好古の兵の使い方の勘所がすごいと思う。戦況の判断、戦術理解力がとても優れているのだと思う。
騎兵を防戦に使わなければいけないにせよ、ちゃんと損害が少ない使い方をし、一方、騎兵の真価が発揮する偵察を積極的に行っている。
上からの騎兵の使い方に不満があるにせよ、与えられた状況・役割(運命とも言える)の中で自分のやるべきことを見据え、出来る限りのことをやる。
そんな明朗快活な人柄に、とても好意を覚えるとともに、好古の生き方にとても感心する。



話は変わるが、満州で戦っている日露戦争を外の戦争とするなら、同じ頃、明石がロシアで行っていたスパイ活動は内の戦争と言えるだろう。

ロシアで活動を行っている革命勢力に援助を行い、中からロシアを崩壊させようともくろみ、明石が100万の資金を持ってロシアに渡り、大きな活躍をした。

外からロシアを崩すだけでなく、中からも崩そうとする。実際に大きな成果にはつながっていくのだが、ここでは詳細は省略する。
しかし、そんな考え方もあるんだなぁととても感心した。

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