風に乗って♪

自然観察が趣味の主婦です。おもしろそうな事は何でもやってみたくて、好奇心のおもむくまま暮らしています。

キツリフネ、種まきから開花まで

2023年06月23日 | タネをひろってきたり、まいてみたり
この黄色い花は「キツリフネ」(黄釣船)といいます。
昨年に種をまいたものが、やっと庭で咲き始めました(#^.^#)
キツリフネは、ツリフネソウ科の一年草で
やや湿った薄暗い場所に自生しています。
花が咲くのは、6月から秋(何月だろう?)までだそうです。
キツリフネの種まきから、開花までの記録を書いてみます。


2022年の6月、たまたま行った先の
「湿った薄暗い場所」で、この花に出会いました。


へんてこな形!ひと目で好きになり
種ができていたので、少し貰って帰りました。
種は最初は緑色でしたが、紙袋に入れて5日ほど吊るしておいたら
追熟?して茶色になりました。
2022年6月13日、15粒の種をまきました。
芽が出るかな?


ああ・・・待てど暮らせど、芽は出ない・・・
朝顔やヒマワリの種を、ちょっと遅いけど6月にまけば
すぐに芽が出て、年内には花が見られるのに。
キツリフネさん、発芽の気配すらありません(´A`)
15粒しかないから、丁寧にポリポットに1粒ずつまいたのですが
いつしかそこに他の草が生えだして、もうダメかなって思いつつ
諦めきれず、水やりをして冬を越しました。

**
そして2023年、3月になりました。
あら?ポットに芽生えの予感が\(^o^)/
3月20日、最初は半信半疑、これってそうかな?


今まで、うちの庭では見たことがない形の双葉。
その間から出てきた本葉も、初めて見る形です。


この時点では、まだ他の植物の芽かもと思っていましたが
種をまいたポットに、次々と同じ形の双葉が生えてきたので
これはキツリフネだと、確信しました。


3月に発芽を確認してから、ぽつぽつと順に芽が出てきて
約1ヵ月経ち、もうこれ以上は芽は出ないようです。
数えてみたら、種を15粒まいたうち、8本が発芽しました。
約半分ですね、発芽率が良いのか、そうでないのか分かりませんが
育てるのが初めての植物なので、芽が出ただけでドキドキです。
左側が発芽したもので、右は、他の植物の色んな芽でいっぱいです。
真ん中のビオラは、去年咲いた花のこぼれた種で咲きました。


***
4月、弱々しい感じですが
少しずつ大きくなってきました。


4月18日、背丈は6cmくらい。
隣に生えているのは、何かの草なのですが
最初にキツリフネ?と思って育てていたので、抜けなくて残してあります(^m^)


葉は楕円形で互生、先が尖らず丸い。


キツリフネは根っこが少なくて、移植を嫌うそうなので
今のうちに定植しておくことにしました。
ポットから抜いて見ると、丁度よい具合に根が巻いていました。


どこに植えようか、とても迷いましたが
少し前に植え替えをした「タイワンホトトギス」のプランターの
空いているところに一緒に植えることにしました。


初めて育てるキツリフネが、どれくらい大きくなるか分からないので
4本だけ、苗を間隔をあけて植えました。
タイワンホトトギズも「明るい日陰で、湿った場所」に生えるそうなので
キツリフネと気があうかもしせません(^m^)


残りは、2本を庭の木陰に植えて・・・


あと2本は鉢植えにしました。
ついでに、こぼれた種から芽生えて、咲き始めたビオラも植え替えました。


***
4月の終わり頃
プランターに植えて10日後
なんだか・・いっきに葉が大きくなりました。


5月13日に撮った写真では、こんもり茂ってきたホトトギスの
背丈を追い越しています。


5月18日、植え替えてから一ヵ月経ちました。
この日背丈を測ってみたら、なんと!32cmになっていました。
ちょうど一ヵ月前に測ったときは、6㎝だったので、急成長です。


6月には花が咲くと書いてあったけど
これは何だろう?
つぼみ?じゃないような・・・


細長いものは、日ごとに膨らんできて


ある日、写真を撮ろうとして指先で触れた途端
パチンっと弾け、何処かへ飛んでいってしまいました。
これは手の中で弾けさせて、捕まえた種です。


****
花を咲かせずに、自分の花粉で受粉をしてタネを作る植物があります。
この咲かない花のことを「閉鎖花」(へいさか)というそうです。
普段目にする、咲いている(花びらが開いている)花のことは
「開放花」(かいほうか)と呼ぶそうです。
開放花なんて言葉、知らなかった~
花は咲くのは当たり前だと思っていたけど、違うんですね(^-^)ゝ
閉鎖花をつける植物の代表には、スミレがよく知られていますが
キツリフネもその仲間でした。

6月になりました。
毎日見てるキツリフネ(笑)に、前とは違う形のつぼみが付きました。


開放花のつぼみかも?
これがどんなふうに膨らんで、どんなふうに開くんだろう?
もう楽しみで楽しみで、更に庭へ何度も見に行きました。
色付いてきたつぼみは、木魚に似ていませんか?(^m^)


大きくなってきたら・・・クジラに似てきました。
本当に変わった形をしています。
明日には開いて初めての「開放花」になるかなぁ・・


パッカーン!
開きました\(^o^)/
蝶の翅のように、大きく垂れた2枚の花びらは
蜜を吸いに飛んでくるハナバチが着地するための
専用の足場だそうです。


キツリフネの花の、細いしっぽみたいなところには
蜜が溜まっています。
距(きょ)というのですが、こんな狭くて奥まったところの蜜を吸えるのは
長いストローのような口を持った、スズメガかな?と思ったら
違いました。
スズメガはキツリフネにとって
花粉を運ばず蜜を飲んでいく、蜜泥棒だそうです(^m^)


キツリフネの花粉を運ぶのは、主にマルハナバチの仲間で
中でも特に口吻が長い「トラマルハナバチ」だそうです。
花の入り口の天井には、花粉をいっぱい付けた「オシベ」があります。


トラマルハナバチの体は毛むくじゃらで、花に潜り込むときに
たっぷりと花粉が体にくっ付きます。
何度もハチが出入りして花粉がなくなると
スゴイことが起こります!
キツリフネはおしべを根元からポロッと落として捨てて・・・


今度はめしべを成熟させ、自分の花粉ではない他の株の花粉を受粉するのです。
こんなふうに雄しべが雌しべよりも先に成熟する仕組みを
「雄性先熟」(ゆうせいせんじゅく)というそうです。


無事に受粉が終わると、今度は花びらを落として
果実の中でタネを熟成させます。
落ちていた花びらを拾ってみました(#^.^#)
本当は4つのパーツからできているのですが、オシベの上にあった
半円形の「軒下のひさし」みたいなのは、見当たりませんでした(^^ゞ


植物にとって一番大事なのは、次世代に自分の遺伝子を残すことです。
自家受精のメリットは、高い確率でタネを作れることで
閉鎖花は、そのための保険みたいなものでした。
でも、デメリットもあって、子孫がみんな遺伝的に同じなので
環境の変化や病気などで、全滅してしまう恐れがあるそうです。
キツリフネは、成長にエネルギーが必要な時は、花を咲かせるコストを省き
じゅうぶん大きくなったら、開放花を咲かせて他家受粉でタネを作る
そんな戦略で生きている、とても奥の深い植物でした。
きれいな花だと、ただ見ている時には知らなかったお話しでした(#^.^#)


今日、昼間に花を見ていたら
小さな蜂?が花の奥から顔を出しました。
蜜泥棒です!距まで歩いて行って、蜜を飲んできた帰りみたい。
「見逃してください」というような顔に見えて、笑ってしまいました。


秋まで咲くという、キツリフネです。
これから花や種にどんな変化があるか?
どんな物語りを見せてくれるのか・・・
楽しみに観察していきたいと思います(^^♪

長くなりました(^^ゞ
最後まで読んで下さって嬉しいです。
ありがとうございました。
以上、キツリフネ、種まきから開花までの記録でした!
次回へ続く?かな(^m^)

コメント (13)    この記事についてブログを書く
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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (みね)
2023-06-23 23:34:06
閉鎖花と開放花が同じ株でできるなんて初めて知りました。勉強になります。(^^♪
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閉鎖花 (みね)
2023-06-23 23:38:23
思い出しました。マルバツユクサも地下に閉鎖花をつけますね。
返信する
二刀流? (アナザン・スター)
2023-06-24 00:40:13
植物の観察と、媒体の昆虫とに二刀流ですね。
牧野富太郎博士と、ファーブル博士。
世界は一つに。

地球に棲むのが、人間だけでない証明ですね。
夢中で観察されている姿に、息を呑む想いでした。

枇杷を食べながら、微笑ましくも。
返信する
すごい👏✨ (みぃ)
2023-06-24 09:57:29
自然で採取した種を
ここまで育てるなんてすごいです👏✨
これまで、餓や蝶など昆虫も育てられてますよね🦋
好きを極めるってこういう事なのかもしれないですね。


私なんて、観葉植物すら枯らしてしまうので💦
これまでいくつの鉢をダメにしたことか・・・
尊敬です!!
返信する
Unknown (ぶるーびー)
2023-06-24 13:46:03
閉鎖花と、開放花があるんですね、知らないことばかりで、又一つ物知りになれました。
私も、翁草の種を採って、自宅で種まきをして
育てて2年ぐらいでしょうか。
来年は、きっと花が咲くと期待できるぐらいに
大きな株になりました。

苗から育てるのではなく、種まきして育てると
苗からよりも、愛情を注いでいる自分に気づきます。

黄ツリフネソウ・・一度、出会ってみたいです。
返信する
こんにちわ (力丸ママ)
2023-06-24 15:48:02
すごい観察
知らない事ばかりでした
閉鎖花と開放花も初めて知りました。
面白くて一気に読みました。
黄ツリフネソウ大好きです
返信する
みねさんへ (fuyu325)
2023-06-25 00:07:08
閉鎖花と開放花の数の割合を
気温や日当たりなど、条件が違う場所で調べた研究論文を
ネットで見つけて読みました。

難しいところは読み飛ばして(笑)
閉鎖花をつけるメリットとデメリットを
数式を入れて計算すると、開放花が多い方が
種子を多く生産できる、という結論が出たそうです。
でも、ツリフネソウたちの選択は、その計算通りではなくて、謎が残りました。
自然界には計算では計れない
植物だけが知っている秘密があるのかもしれませんね(^^♪

ところで!
マルバツユクサが根っこに閉鎖花をつけるなんて
初めて知りました!
この辺りでも、年々マルバの方のツユクサが増えてきて
今年はうちの庭にまで進出していました(^^ゞ
秋になったら、抜いて根っこにできたタネを探してみます。
面白いことを教えて下さってありがとうございました(#^^#)
返信する
アナザン・スターさんへ (fuyu325)
2023-06-25 00:10:35
地球に住んでいる生き物たちはみんな
環境に適応できるように、自らを進化させてきたのですが
唯一人間だけが、自分が生きやすいよう
環境を変えてしまったと、昨日みたテレビ番組で言っていました。
本当にそうだなぁと、庭で虫や植物を観察している狭い範囲でも
そう思います。

牧野富太郎博士、それからファーブル博士も
生活の苦労は多かったけど、研究に関しては
すごく楽しい人生だったのだと思います。

知らない事が満ち溢れていて、今のようにネット検索で
すぐに答えが出ないから、考察して実験して、また考えてと・・
牧野博士は94歳、ファーブル博士は91歳まで
当時としては異例の長寿ですが
常にわくわくドキドキしていた人生だったのでしょうね。
アナザン・スターさんも「枇杷の道」は奥深く
発見の日々だと思います。
好奇心と探求心を、何歳になっても持ち続けられた良いですね(#^^#)
返信する
みぃさんへ (fuyu325)
2023-06-25 00:13:08
コメントありがとうございます!
お久しぶりです~(#^^#)
お引越しの記事、最初からずっと読ませていただいていました。
気力と体力が超絶に必要な行事を無事に果たし
涼しげな風が吹き抜ける美しいお部屋で・・・
また日常(飲食)の記事が始まったのも、楽しくて(^^♪


好きを極める(#^^#)
とても良い言葉で褒めて貰ったけど・・・
観察でも、長さを測るのが面倒なので
手で持ってこれくらい、とか
ペットボトルと比べてこれくらいとか、ホントに適当(^^ゞ
極められないので、好きを楽しむとう感じです。

植物は土次第、ということがあって
水はけのいい、専用の「観葉植物の土」で植えて
土が乾き切ってから、たっぷり水をあげるようにすると
お部屋に気持ちいい「気」を出してくれると思います。
玄関に飾られるお花も、楽しみにしています(^^♪
返信する
ぶるーびーさんへ (fuyu325)
2023-06-25 00:13:52
ぶるーびーさん、お久振りです(^O^)/
翁草、どんな植物かあまり詳しく知らなくて、検索してみてきました。
山野草なんですね。
種が髭だらけで・・・どんな双葉が出たんだろう?
種まきの様子とか、ブログ記事にありますか?
開花は4月から5月、
種をまいてから2~3年で花が咲くとありました。
楽しみですね!開花したら、教えてください。

種まきすると、双葉が土から出てくる様子を見ることができます。
一生懸命生まれてくるところを見ると
何だか親になったような気がするのかな?
だから、愛情を込めて育てるのかもしれませんね(^^♪
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