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風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

ゲゲゲの女房

2010-09-25 19:19:35 | インポート

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NHK朝のドラマ「ゲゲゲの女房」が最終回を迎え、この半年間楽しみにしていたものが一つなくなりました。主人公の布美枝役の幼少期の菊池和澄、少女時代の佐藤未来、大人になっての松下奈緒、どの配役も好感が持てたのですが、佐藤未来さんの演技に強く惹かれたのが見始める切っ掛けでした。今までNHK朝ドラはまともに見て無かったのですが、今回は録画もしてしっかり見ました。(我が家の高校生も録画を見るのを楽しみにしていたのは意外でした)

「ゲゲゲの女房」は見ていると言う人も多く、特に創作的仕事をするものにとっては身につまされたり、共感する部分が多かったようです。また両方の両親役の大杉連、古手川佑子と風間杜夫、竹下恵子の存在感と演技力は主人公を食ってしまう熱演でこのドラマを一層楽しくしていました。浦木役(ねずみ男のモデル)の杉浦太陽も存在感があり、しばらく出番がないとなんとなく物足く、この渇望感は何なんだろうと....

初期のアシスタント役の小峰=つげ義春 倉田=池上遼一は以前良く読んだ漫画家で、彼らの苦労話も水木しげるに負けないくらいドラマチックで、漫画を描くことの狂気のようなものを感じました。小さい頃貸本マンガ(裏に貸本カードを挟む)も良く借りに行っていた記憶はありますが、何を借りていたかは全然思い出せません(たぶん水木しげるのマンガは借りていない)。以前はマンガを読むために喫茶店に行き、週刊、隔週マンガをすべて読んでいたのですが、ここ十数年ご無沙汰です。小さい頃からマンガファンを自称してたのに、いつの間に縁遠くなったことを思い出させた朝ドラでした。


東京散策

2010-07-06 17:01:00 | インポート

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7月3、4日は「多摩の家」の一年点検でした。一泊二日の慌しいスケジュールでしたが、木材を内外装に使って話題になった木材会館(日建設計)を見ようと思い、下調べをせずに江東区あたりをウロウロ、依然調べた住所と混乱して迷子になってしまいました。自宅へ電話しインターネットで調べてもらいどうにかたどり着き、土曜日で内部見学が出来ないので、外周りやガラス越しに覗き込んだりして見てきました。

杉小幅板出目地のコンクリート打ち放し、外部の桧の格子、亜鉛メッキ処理(+拭取り処理)の建具などルイスカーンのソーク研究所やキンベル美術館に通じるディテールが多く、ルイスカーンが好きな設計者だなと思いました。日本の高温多雨な環境で剥き出しの木材が何時まで美観的に耐えれるのか、メンテナンスをマメにやらないと折角の木材普及をアピールする目的が逆効果にならないかと心配になります。すでに黒い雨だれ跡もあり、もう少し雨対策を考えたディテールは出来なかったかなぁと (デザインはぬるくなるなぁ...余計な心配かな)

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次に新国立美術館の「オルセー美術館展」へ、土曜の午後だから当然人が多いのですが、大きな吹抜けホールの為か美術館全体に一体感があって、5回ほど来ているうちに段々この美術館が好きになってきました。各作品の前には20人ほど居るのでじっくり見ることは出来ないですが、音声ガイドを借り印象派の初期から後期までの流れに沿った展示は解り易く楽しめました。

夜は大学時代の友人と銀座で会食、東京の建築状況も厳しい話が多く考えさせられました。

次の日午前中建設会社の一年点検に立会いました。まだ一年なので当然ですが、ソーラー関連の調整はありましたが、内外とも何も問題はありません。アメリカ製の掃除ロボットを使っていたのにはチョットびっくり、初めて見ましたが円盤のようなロボットが自在に動き回り、椅子の狭い空間や階段の段差も感知しながら、住宅内を動き回り、終わると自分で充電ボックスに戻ってきます。いつの日か掃除ロボットが当たり前になる日が来るのでしょうか。

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午後は丸の内界隈へ、友人から最近丸の内周辺の再開発も終わり、新丸ビルの裏通りが人気スポットになっていると聞いたので、飛行機の出発時間までぶらぶら散策をしました。歩道は以前の2倍ほどに広くなり、車道も歩道も石畳が敷かれ、街路樹とベンチ、パブリックアートが置かれ、通りに面する1階は店舗やレストランが多く、以前の事務所街の雰囲気は一新されて、ヨーロッパの町並みのようです。中庭を持つビルは人で一杯でした。周辺ビルの多くを占める三菱が街区のイメージ戦略として開発したそうです。

GHQに接収された明治生命館(重要文化財 設計:岡田信一郎)も保存改修され、内部(1、2階)を見学できるようになっています。竣工時の内装や家具もほとんど残っていて、記録や写真展示と共に、パソコンで詳細図面まで見ることが出来ました。

以前のようなファサードだけの保存ではなく、古い建物の機能を保ちながら全体を保存する意思があり、文化としての建築認識が一歩進んだことを感じる楽しい散策でした。

でもさすがに歩き疲れました。携帯の歩数計は二日合わせて四万歩になり、膝と股関節が痛くなってきたのは...年齢か歩き過ぎか。


八代H医院

2010-05-10 13:56:58 | インポート

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八代城址、博物館、松浜軒などが面する県道沿いにH医院の移転新築が完成しました。間口約28M、奥行き71Mと恵まれた敷地で、医院を挟んで、前面を外来駐車場にし、裏が職員駐車場になっています。植栽も以前から在ったカイズカイブキやクスノキ、サクラなどを再移植しました。中に一本「太閤千代しだれ桜 第十六号」という醍醐寺の枝垂桜を組織培養された桜が移植されました。

この建物はRC躯体を外断熱で包み込み、太陽熱空気集熱(OMソーラー)、氷蓄熱空調などで光熱費の大幅な削減を目指しました。RCの構造体は外壁部と内部柱だけで、内壁は全て乾式間仕切りとして、将来の改修や変更に対応できるようにしました。1階は木床組で桧大引に液状触媒活性炭を塗布し、床下空間確保と設備配管のメンテナンス、足元に柔軟性があることで立ち働きの疲労軽減や患者さんへの負担軽減にも役立ています。

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建て主の要望もあり、待合ホールの天井高さは9.0M、2階南面は全面カーテンウォールとしています。日照調整の為2.0M程の袖壁と庇を南に張り出し、北側の3階レベルに排煙と換気を兼ねた温度差換気窓を設けました。大きな吹抜空間は空調が難しいですが、外断熱による躯体蓄熱体利用、太陽熱空気集熱式床暖房、床下冷暖房、サーキュレーションを組合せる事によって、逆に効率を高めながら、空間的魅力も引き出したいと考えました。

5月6日にオープンしましたが、患者さんも多く、キッズコーナーで子供達が喜んで遊んでいるのを見ていると、待合室がもっと広くした方が良かったのかと心配になりました。先生方もきれいで清潔な建物が出来たと大変喜んで頂きました。

今回の設計はインターネットの紹介サイトからのご縁でした。先生達自ら何ヶ所かの設計事務所を訪問・面談されています。「良い建物を造るのは設計者が大切だとの強い思いがあった」とお聞きして、その期待に答えたいと全力で取り組みました。私のディテールへの執着にも粘り強く対応してくれ、納得できるものにしてくれた松島建設の所長さんにも大変感謝しています。


私たちの仕事展 「風設計室の25年」

2010-03-13 11:56:21 | インポート

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3月6日から22日まで事務所隣ギャラリー楓にて私たちの仕事展「風設計室の25年」を開催しています。1985年に事務所を開設し、2010年の今年25年を迎えることに気付き、初期の建物から最新作まで一度いろんな人に見てもらえればと企画しました。以前の建て主も最近の風設計室を知らないはずなので。写真パネル(説明文)や模型、図面、影響を受けた建築家の本などの展示とテーマ別に保存やパッシブソーラーなどを紹介しています。

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写真の模型は4月完成の八代のクリニックです。残念ながら今回の企画展には間に合いませんでしたので、模型での紹介です。鉄筋コンクリート造3階建てで敷地も広く理想的な環境に建ちます。外断熱(風設計室オリジナル工法)とOMソーラーを組合せ、3層吹抜け(天井高9.0M)の待合ホールの床下冷暖房や外断熱コンクリート壁を内部温度に近い冷暖蓄熱体として利用することで、建築の環境負荷低減を試みています。構造的には外壁コンクリート壁以外内部RCの壁は無く、柱以外は全て乾式間仕切とし、1階床下は木組みで将来の平面変更や設備の変更、メンテナンスにも自由に対応できるようにしました。これまで蓄積してきた工夫を一歩前進させた建物なので、その効果をとても楽しみに追い込みの現場監理に励んでいるところです。

11日は東京や群馬桐生から友人や作家が来てくれ、またその友人、知人(女性ばかり、人気があります)が集まり、パッシブソーラーの詳細を説明してほしいなどリクエストもあり、中々賑やかな一日でした。

 


Camp

2010-02-28 18:01:06 | インポート

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2月27日(土)午後3時から28日(日)の一泊二日でYMCA阿蘇キャンプの60周年(2012年)と野外活動クラブ「インデアンクラブ」の40周年へ向けての運営委員会に行きました。

日本の野外キャンプは1920年(大正9年)に大阪YMCAが兵庫県六甲山麓で初めて組織的教育キャンプ行ったのが始まりです。(キャンプの起源はインディアンのテント生活から発展した野外活動との事) 熊本では1952年(昭和27年 私の生まれた年)に阿蘇赤水の車帰に熊本YMCA阿蘇キャンプが開所し、2年後が60年目となります。YMCAでは30年、40年、50年と10年ごとに記念誌を発行し、記念事業なども行っていて、今回はそれに向け話し合うためスタッフや運営委員が10名ほど集まりました。

最近学習塾の野外キャンプや、市町村のキャンプ場も沢山あり、利用者ニーズも多様化し、キャンプそのものに変化も見られます。また子供たちを取り巻く環境もテレビゲーム、塾などで、自然の知恵から学ぶチャンスも少なくなっています。少子高齢化、人口減少、低成長経済に向かい、これまでの多消費時代から低消費時代への転換せざる得ない将来。YMCAの野外教育、福祉教育の知識とノウハウ、プログラムはレベルが高く、次の時代に大切なポテンシャルになるだろうと再確認しました。

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28日(日)は午前中まで話し合いをし、その後的石YMCA育成林の広場に地元の人とYMCA、阿蘇ワイズメンズクラブ(約20名)が集まり、サクラのてんぐ巣病の枝切に行きました。てんぐ巣病はサクラ、モミ、アスナロなどに発生し、ファイコプラズマと言われるウイルスによって発生するそうです。サクラてんぐ巣病は多く、樹勢が弱ったサクラに寄生し、放置していると枯れてしまいます。天狗の巣ような枝が出来(欧米では魔女の箒と言われ)、下から見る箒のような見るからに変な枝なので慣れるとすぐ解ります。高所作業者とハシゴを使い、10数本程のサクラのてんぐ巣を除去しました。3年ほどは続ける必要があり、除去すればサクラの樹勢も戻り、花見には問題ないそうです。

阿蘇キャンプのOMソーラーの状況を久しぶり確認しました(何時も夜に行くので)、快晴で気温も高かったので、正午頃棟温度77℃、吹き出し温度25℃~30数℃になっていました。逆に夏場の温度の方が気になったのですが、スタッフの人が「90℃弱ですよ」と言ってくれたので安心しました。風設計室のパッシブソーラーの出発点である阿蘇キャンプが11年経ても期待通りの性能を発揮してくれていることが嬉しく、60周年に向けパッシブソーラーの効果やシュミレーションデータをキャンプ場に展示する予定です。