<コメント>
2001年1月、日航機同士のニアミスに関し、指示ミスを犯した管制官に対し無罪が言い渡された。
日本国内に於ける国家公務員航空管制官擁護については、先の2006年1月27日のブログにてコメントした(最下部の関連記事参照)が、予想通り残念な判断となった。決してミスを犯した管制官を非難するコメントとして受け取ってほしくなく、あくまで航空管制を管理する国の杜撰さの結果なのだ。
また裁判官は「蜂谷被告の指示は、その段階では、衝突を招く危険な行為ではなかった」と主文に記しているようだが、これが危険な行為でないならば、何が危険な行為なのだろう?まさかとは思うが、取り返しがつかない事故の事だろうか?
さらにその上で、「RA(回避指示)がいつどのように作動するか、具体的な情報は管制官に提供されず、両被告も認識できなかった」と述べている。回避行動の後、航空機がどのような飛行をするか解らなかったと言っているのだ。そのような状況で、本当に空の安全が守られるのだろうか?
ご存じのように機長になれば、否応なしに半年に一度試験があり、不合格となると空を飛べない。管制官はどうだろう?
管制官は独自のOJTはあるものの、一度資格を取れば「永久に」(定年まで)その資格は有効となる。向き不向きにかかわらずである。海外では、その適合を重視し、民間に管制業務自体を委託している国さえある。
日本国内の航空路は神戸空港近辺を見る通り、過密状態にある空域もある。まさに管制官に命を預けて飛んでいる。国の管理下で今後も運営するのであれば、国民に解るように適正や訓練状況など、セキュリティーに抵触しない限り公開していただきたいものだ。「安全」の意識を今回の判決を真摯に受け止め向上確立していただきたい。
(読売新聞) - 3月20日21時11分更新
静岡県焼津市上空で2001年1月、日本航空907便と同958便が異常接近(ニアミス)し、907便の乗客ら57人が重軽傷を負った事故で、業務上過失傷害罪に問われた国土交通省東京航空交通管制部の管制官籾井(もみい)康子(37)、同蜂谷(はちたに)秀樹(31)両被告に対し、東京地裁は20日、無罪の判決を言い渡した。
安井久治裁判長は「管制官が便名を言い間違えて降下指示を出したことが、直接の事故原因とはいえない」と述べた。
ニアミスで管制官の刑事責任が問われたのは初めてで、検察側は、誤った指示を出した蜂谷被告に禁固1年、同被告を監督する立場にあった籾井被告に禁固1年6月を求刑していた。
判決はまず、両便が接近した際、衝突を回避しようとした蜂谷被告が、958便に出そうとした降下指示を誤って907便に出し、907便も衝突防止装置(TCAS)の上昇指示に反して降下を続ける一方、958便がTCASの降下指示に従ったため、ニアミスが起きたと認定した。
しかし蜂谷被告の降下指示後、もしTCASが作動していなければ、958便は水平飛行を続けたはずで、この場合、両機は安全な間隔を保っていたと指摘。「蜂谷被告の指示は、その段階では、衝突を招く危険な行為ではなかった」と述べた。
そのうえで、<1>TCASの作動は管制官の側では把握できない仕組みになっている<2>日航のマニュアルによると907便はTCASの指示に従うべきだったが、機長は失速の危険を恐れて降下を続けた――などの事情を考慮。蜂谷被告について「事故を予見できなかった」と過失を否定し、同被告の指示を是正しなかった籾井被告にも過失は認められないとした。
さらに「降下を続けた907便の機長の判断にもやむを得ない面があった」と述べ、「刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当でないように思われる」と結論づけた。
ただ、判決は、蜂谷被告が公判で「降下指示は正しかった」と主張したことについては、「言い間違いがなければ、事故は起きておらず、管制官としての自覚に欠ける」とも批判した。
両被告のほか907便の機長(46)も書類送検されたが、東京地検は04年3月、嫌疑不十分で不起訴としている。
(関連記事)航空管制トラブルについて考える
2001年1月、日航機同士のニアミスに関し、指示ミスを犯した管制官に対し無罪が言い渡された。
日本国内に於ける国家公務員航空管制官擁護については、先の2006年1月27日のブログにてコメントした(最下部の関連記事参照)が、予想通り残念な判断となった。決してミスを犯した管制官を非難するコメントとして受け取ってほしくなく、あくまで航空管制を管理する国の杜撰さの結果なのだ。
また裁判官は「蜂谷被告の指示は、その段階では、衝突を招く危険な行為ではなかった」と主文に記しているようだが、これが危険な行為でないならば、何が危険な行為なのだろう?まさかとは思うが、取り返しがつかない事故の事だろうか?
さらにその上で、「RA(回避指示)がいつどのように作動するか、具体的な情報は管制官に提供されず、両被告も認識できなかった」と述べている。回避行動の後、航空機がどのような飛行をするか解らなかったと言っているのだ。そのような状況で、本当に空の安全が守られるのだろうか?
ご存じのように機長になれば、否応なしに半年に一度試験があり、不合格となると空を飛べない。管制官はどうだろう?
管制官は独自のOJTはあるものの、一度資格を取れば「永久に」(定年まで)その資格は有効となる。向き不向きにかかわらずである。海外では、その適合を重視し、民間に管制業務自体を委託している国さえある。
日本国内の航空路は神戸空港近辺を見る通り、過密状態にある空域もある。まさに管制官に命を預けて飛んでいる。国の管理下で今後も運営するのであれば、国民に解るように適正や訓練状況など、セキュリティーに抵触しない限り公開していただきたいものだ。「安全」の意識を今回の判決を真摯に受け止め向上確立していただきたい。
(読売新聞) - 3月20日21時11分更新
静岡県焼津市上空で2001年1月、日本航空907便と同958便が異常接近(ニアミス)し、907便の乗客ら57人が重軽傷を負った事故で、業務上過失傷害罪に問われた国土交通省東京航空交通管制部の管制官籾井(もみい)康子(37)、同蜂谷(はちたに)秀樹(31)両被告に対し、東京地裁は20日、無罪の判決を言い渡した。
安井久治裁判長は「管制官が便名を言い間違えて降下指示を出したことが、直接の事故原因とはいえない」と述べた。
ニアミスで管制官の刑事責任が問われたのは初めてで、検察側は、誤った指示を出した蜂谷被告に禁固1年、同被告を監督する立場にあった籾井被告に禁固1年6月を求刑していた。
判決はまず、両便が接近した際、衝突を回避しようとした蜂谷被告が、958便に出そうとした降下指示を誤って907便に出し、907便も衝突防止装置(TCAS)の上昇指示に反して降下を続ける一方、958便がTCASの降下指示に従ったため、ニアミスが起きたと認定した。
しかし蜂谷被告の降下指示後、もしTCASが作動していなければ、958便は水平飛行を続けたはずで、この場合、両機は安全な間隔を保っていたと指摘。「蜂谷被告の指示は、その段階では、衝突を招く危険な行為ではなかった」と述べた。
そのうえで、<1>TCASの作動は管制官の側では把握できない仕組みになっている<2>日航のマニュアルによると907便はTCASの指示に従うべきだったが、機長は失速の危険を恐れて降下を続けた――などの事情を考慮。蜂谷被告について「事故を予見できなかった」と過失を否定し、同被告の指示を是正しなかった籾井被告にも過失は認められないとした。
さらに「降下を続けた907便の機長の判断にもやむを得ない面があった」と述べ、「刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当でないように思われる」と結論づけた。
ただ、判決は、蜂谷被告が公判で「降下指示は正しかった」と主張したことについては、「言い間違いがなければ、事故は起きておらず、管制官としての自覚に欠ける」とも批判した。
両被告のほか907便の機長(46)も書類送検されたが、東京地検は04年3月、嫌疑不十分で不起訴としている。
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