仕事をしてる。
すごくしてる。
その日の夕方、マンションリフォームの現調をしてました。
夢のような、お店みたいなキッチンリビングに大改造してあげたいんだ。
頑張ろうと思える人たちだった。
その帰りに友人の娘から電話がありました。
店長経由で。
「あ、団長?」
「おっすー、おつかれー。友達来ちゃった?」
「はい。いらしてます。」
「そうか。シンヤ達ね。すぐ戻るね。」
「シンヤさん?違います。小さなお友達です。かわりますね?はい、どうぞ。」
「もしもし?あの、ももかです。たいらさん?いまどこ?」
なんだか泣き出しそうな声です。
「ももかちゃん!今ね、平さんはお仕事終わったところだよ?どうしたの?」
「あのね?はなびをかってきたの。いっしょにしよう?」
「花火?分かった!オッケー!ものすごく急いで帰るね?待ってられる?30分…いや20分で行くからね?約束してたんだっけ?」
「やくそくしてないよ?でもわかったよ。まってるね〜。てんちょうさんにかわります。」
「ラブコールでしたね。」
「でした。」
「ちょー可愛かったですね。」
「ちょーー可愛いんですけど。」
「大丈夫そうです?」
「大丈夫。任せておけ。約束してたんだっけ?ってバカなことを聞いちゃった。」
本当にバカなことを聞いちゃったな。
断れる人に会ってみたい。
あんな誘いを断れる人に会ってみたい。
いないと思う。
そんな人、いないと思う。
「おまたせ!ごめんね!」
「ううん。いいの、だいじょうぶ。」
「花火しよう?」
「はい!」
店には、地元の友人と大好きな後輩が来てくれていました。
わざわざ桃を届けに。
彼らにちょっと待っててくれと伝えて、花火をしました。
花火が終わって、お見送り。
彼らの食事も終わる前に彼らの元へ。
「ごめんごめん。」
「りょうくん、ごめんね。忙しかったんだね(笑)」
「先輩、お疲れさまです!」
「元気そうでよかった!シンヤもマサオも変わりないのかい?」
「変わりないよ〜。」
「はい、元気です!」
「贈答用のじゃなくてさ、家で食べるような桃なんだけど良かったら食べてよ。」
「うん。ありがとう。」
僕は幸せ者だと思った。
支えてくれる人がいて、誘ってくれる人がいる。
訪ねてきてくれる友人がいる。
守るべきものもあって、やるべきこともある。
友人達に囲まれて、ささやかな楽しみや、大きな楽しみもあります。
人はどうしようもなく傷ついて、生きたまま焼かれるような苦しみがあったりもする。
許すとか許さないとかではない。
なにを学び、どう生きるか。
誰を幸せにし、なにを思って星を眺めるか。
星の名前を教えてあげたい人は誰なのか?
草花の成長を喜び、蝉の鳴き声を「いいなぁ」と思える人であるか。
風の匂いは、あの頃のままなのか。
みんなで食べるご飯が美味しいのかどうか。
色んな見方があると思う。
色んな生き方があると思う。
僕は幸せなのだと思います。
強さとは優しさ。
僕は、優しい人でありたい。