大家さんとは仲が良く、一度も揉めたこともない。
コンちゃんは仕事が丁寧です。
我々の関係は良好だし、可愛い人たちだなぁとしか見ていない。
しかし。
大家さんとご近所さんで小さなトラブルが発生。
詳細はどうでもよい。
その小さなトラブルに僕らはちょっとだけもらい事故の様に巻き込まれ、僕らは全く気にしていないのに大家さんたちは気にしてしまい、少しの間だけ彼らはよそよそしかった。
「なんかよそよそしいというか避けられてる感じがします。」
「気にしてるんだね。気にしなくていいのにね。そのうち、俺が饅頭でも買って「イェーイ!」ってやってくるから。」
「魔獣??」
「饅頭。誰が魔獣を引き連れて「イェーイ!」だよ。青魔道士か?!」
「青魔道士?」
「もういい。オタクっぽくてスマソ。」
「謝り方がオタクっぽい。」
日曜日に工場に行くと、
(ありゃ!)
って顔をして大家さんたちが工場のところにいた。
サッコたんも気まずそう。
コンちゃんは泣き出しそう。
僕は何も知らないフリをしよう。
「おっはよ〜!なにしてんの?」
「平さん…」
「なんじゃらほい?」
「ごめんね?」
「なにが?」
「あ?」
「な、に、が?!」
「オレたちはさ、平さん達とずっとずっと仲良くしてだいんだっちゃ。平さんは友達のんだがら、まずはちゃんと謝って、迷惑をかけたことを償わなきゃいけないってコイツが言うもんだから、平さん達の役に立つことをしようと思って…んだから朝から母ちゃんと工場の周りの草刈りしったんだぁ。」
「おおおおお!ありがたい!!!超キレイになってる!!」
「本当にすみませんでした。」
「すみませんでした。」
帽子を取って謝るコンちゃんに続いてサッコたんも。
気にしなくていいよ。
ずっと気にしてたんだね。
気にしてる間、つらい時間だったね。
あんなに泣きそうな顔をしてたんだから、もっともっと泣きそうな気持ちだったんだろうね。
「コンちゃん、オレ、本当に何も知らないんだよ。聞かされてないんだ。報告もない。つまり、誰も何も気にしてない。オレに報告するまでもなかったぐらいのことなんだろうさ。」
「そうか…」
「お友達でいてくれる〜?」
「当然じゃんか、みんなサッコたんのこと好きだよ。」
二人が悩んだ時期は、一日だけ。
サッコたん、アラブスタイル。
コンちゃんは仕事が丁寧です。
葬式、行くよ。
僕の葬式にも来てよ。
どちらかの葬式に、必ず行くという約束をしよう。
それを守れない人が多いけれど僕は違う。
人の言うことも、誰かの噂話も信じない。
僕が決める。