電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

D.O.A

2007-02-10 23:39:08 | Weblog
今日は久々に休みが取れたので、映画でもいくべえかと銀座をうろうろしながら時間を調べていたら、タイミング悪くほとんど始まっていて『D.O.A』がちょうど15分後だったので、そそくさと有楽町スバル座へ向いました。
場内入るとお客さんは男性が9割の50人ほど。今日が初日だったので、この入りは寂しいかぎりです。個人的には前々から観ようと思っていた作品だったのですが、あんまり話題にもなっていなかったので、作品の出来がどうなっているのか心配してましたが。
原作は人気のゲームで、監督はジェット・リーの盟友コーリー・ユンです。なので、アクションはかなり期待をしておりました。出演は、デヴォン青木、ケイン・コスギにコリン・チョウほか、セクシーな女優たちが画面狭しとアクションを見せつけてくれます。
映画を観た感想ですが、残念ながら脚本がよくない~。これまでもゲームを原作にした格闘系映画でこれはというものはありませんでした。というよりも、ストーリーにしてしまうと面白くなくなってしまうのです。ただ、アクションはコーリー・ユンのカラーが全面に出ており、なおかつ香港映画のアクションのセオリー全てを使ってます。
竹やぶのシーン、はしごを使ったアクロバットアクション、雨の中での格闘、それから画面全てを使ったハイキックの切れの良さ。小道具もいろいろ出てきます。
きっと同じ題材を10数年前に香港で作っていたら面白かっただろうなあ。そうするとメインの5人の女性キャラは誰だろうなあ。
コーリー・ユン監督は『クローサー』でスー・チー、ヴィッキー・チャオ、カレン・モクを見事にアクションできる女優に見せました(スタントインもいたけれど)が、外国人女優をここまで見せられるテクを持っているのは香港のアクション監督しかいないのではと思います。
あ、この作品、香港のスタッフがかなり関わってます。


タイトルバック

2007-02-09 20:02:06 | Weblog
映画を観るにあたって、観客のつかみをとるのにいちばん重要なのがタイトルバックです。ハリウッドでは、タイトルバックを担当するクリエイターもいるほどで、有名なのはヒッチコック作品を手がけたソウル・バス、また『007』シリーズのタイトルバックは有名です。
日本も映画というよりは、テレビのドラマがタイトルバックに凝っていて、いつもドラマを見ていて感心しています。
さて、過去、香港映画はどうだったのか、というと、そういったタイトルバックを凝った作りにした人は、ツイ・ハークではないかなと思ってます。それも音楽共々です。
『北京オペラブルース』の京劇の顔、『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の赤い布、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』の男たちの型。映画をこれから観ようとするわれわれにワクワクさせる出だしを与えられるとそこからすぐに本編へ気持ちが入っていきます。
そこに重なる主題歌の素晴らしさ。ツイ・ハーク監督は学生時代に音楽もやっていたので、そのツボはよく心得ています。実は彼と話をすると音楽の部分も非常に考えていることがよくわかります。それと表には出してませんが、彼は編曲を手がけていることもあるのです。
映画の楽しみは、内容以外にもいっぱい楽しめる部分があるので、ぜひ注意して観てみてください。

懐かしい話

2007-02-08 18:53:51 | Weblog
うちの事務所は、あるベテランのデザイナーさんの事務所に間借りして8年目になります。このデザイナーさんは、昔、ワーナー日本支社のデザイナーとして活躍されていた方で、時々昔の映画の話をするのですが、たまたまさっき業界内の昔話をしていたところ、「11PM」の話になりました。
「11PM]といえば、子供の頃、Hな番組が見れると親の目をよく盗んで見ておりましたが、映画紹介というのもよくやっておりました。不定期でGWとか夏とか冬とかに、月曜日か水曜日の枠で映画評論家の今野雄二さんと品田雄吉さんが作品紹介をしていました。また、金曜日はシネスポットのコーナーで毎週1本紹介されていたのですが、私が業界入ってこのコーナーの打ち合わせに出たとき、映画会社がこの枠を買って作品紹介をしていたことを知ったりしたのでした。
さて、その「11PM」の話をしていたときに、デザイナーさんが「いちばん反響があったのは『燃えよドラゴン』だったなあ。」と言ったのです。香港映画ファンにとって大きな影響を受けた作品の1本、この作品の計り知れないムーブメントは今でもよく覚えていますが、私も「11PM」の映画紹介で『燃えよドラゴン』を見てました。この番組では1シーンを2~3分まるまる流すのが特徴で、今みたいに予告編のような映画紹介ではありませんでした。
リーとオハラの対決のシーンがこの時流れて、もう見ているだけでアドレナリンが逆流しそうなくらい興奮した記憶があります。日本のポスターデザインは私が今事務所でこのブログを打っているパソの背中合わせに座っているこのデザイナーさんが作ったわけで、当時のことを時々聞きます。
今では劇場の周りを人の列ができるなんてみたことがありませんが、当時は本当にその映画を見たいがために2時間並んでました。そんな時代が懐かしいです。
仕事の合間に貴重な話が聞けることが、当時中学生だった私にとっては、大事な宝物となっています。

ちょっと業界情報

2007-02-07 16:28:21 | Weblog
2月に入ると各社がラインアップ発表したり、GWあたりの上映作品の日程が出てきたりと、いろんな情報が飛び交っていますが、『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』4月14日に公開決定したとの通信記事を見つけました。この日程だとGW映画第一弾というべきでしょうか。
ところで、海外で活躍しているアジア系監督のひとり、アン・リーの新作をワイズポリシーとビクターエンタテインメントが日本国内の配給権を購入したとの記事も見つけました。その題名は『Lust,Caution/色・戒』(原題)。前からトニー・レオン主演ということで彼のファンの間では知られている作品ですが、共演がワン・リーホン、タン・ウェイで、1940年前後の日本占領下の上海と香港を舞台に、2人の立場の違う男と、その間で揺れる女スパイとのスリリングな心理的駆け引きを描いた作品とのこと。上海・香港・マレーシアに当時の町並みを再現した巨大セットを組んで現在撮影中で、4月にはクランクアップするとのことです。(その後、2月6日にクランクアップしたという情報がよせられました。多謝MICさん)ちなみに製作は私もよく知っている「グリーン・デスティニー」のビル・コンで、秋に全米とアジア(日本を除く)での公開が決定しているそうです。なお、日本は2008年早々をめどに考えているそうです。
いまさらながらですが、10数年前によくお茶飲んでいたビル・コンが凄いプロデューサーになるとは思わなかった私。もうちょっと仲良くしてたらと思う今日この頃でした(笑)

徐克的電影世界その5

2007-02-06 23:09:28 | Weblog
香港へ行く前に、やらなければいけないことがひとつありました。それは、パンフレットを作ることです。
来日のメンバーも確定し、上映作品も決まりましたが、後は運営費を引くとパンフレットを作ることができないことがわかりました。せっかくこんなイベントやるのにパンフレットがないなんて、それはもう映画ファンとして悲しいことです。いったい制作費にいくらかかるのか、これは知り合いの印刷会社に人間に見積もりをとって考えました。そしてその結果、私が出した結論は、「私が自費で作ること。」でした。
こういうパンフレットでお金がかかるのは、印刷代、デザイン料、そして誰かに書いてもらうとかかる原稿料です。このなかでまずどういう内容にするかを決めて、印刷会社の方の知り合いで安くデザインをしてくれる方にお願いしました。原稿は全部自分で書きます。編集人も自分です。そして表紙も私がイメージしたもの、私の表紙イメージは香港ぽいにぎやかしいものにしたかったので、映画の場面写真を切り抜き散りばめたのでした。世間は夏の暑さでうんざりするような毎日です。汗をふきふきデザイナーのところへ通ったのでした。

ターンレフト・ターンライト

2007-02-05 20:10:04 | Weblog
先週の土曜日の深夜に『ターンレフト・ターンライト』が放送されていました。本当は見る予定ではなかったのですが、ぜんぜん眠れなくてついつい最後まで見てしまいました。
この作品は仕事で香港に行っている時にコーズウェイベイの劇場で夜8時30分の回だったと思いますが、一緒に仕事に行っていた面々と見に行ったわけですが、なんとまあ、ジョニー・トー監督らしからぬかわいい映画だこと、とその時思ったのでした。(そのときは『マッスルモンク』も上映されていたのですが、一緒に行った人から見ないほうがいいと言われて断念しました)
その後、日本で字幕付きDVDが発売されて、手元に見ないままで持っているのですが、こうやってテレビでやっているとついつい見ちゃって、結局はDVDの封を開けないままに終わってしまうことが多々あります。
内容に関してはほとんどの方が見ていると思いますのでふれませんが、このすれ違いのドラマで印象的なのは、ラストの玄関に置かれた二つの傘が並んでいるところでしょう。(そこがかわいいかな)
ジョニー・トーは硬派な男性映画で世界的に評価を得てますが、彼は私から見るとジョン・ウーと同様に職業監督だと思っています。つまりどんなジャンルの作品でも撮れる監督であるということです。
『ターンレフト・ターンライト』をジョニー・トーらしからぬという人もいますが、ちゃんと観客のツボをつかんだ作りをしているところが彼らしいというか、ちゃんと楽しませてくれる心得を持っている監督といえるでしょう。だからこそ『ザ・ミッション』や新作の『放逐』の遊び心が生きているのだと思うのです。

徐克的電影世界その4

2007-02-04 19:03:34 | Weblog
この映画祭の名前を徐克的電影世界と命名した私は、プリントを出してくれる配給会社から写真を借り、ポスター制作に取り掛かりました。写真の中には『男たちの挽歌』を借りた日本ヘラルド映画からは、ポスターで使われた写真の未使用のチョウ・ユンファの顔写真だったりと、けっこうラッキーなものもありました。また、マスコミに対してのリリースを書き、とにかく私一人でせっせと動き、香港とのやりとりは井関さんの方にお願いしたのでした。
この映画祭のスケジュールを組むにあたって、個人的にやりたいことがありました。ひとつはツイ・ハーク監督から作品の裏話を聞くこと、それから上映する作品のオリジナルの予告編が見たいということ、そしてロビーでオリジナルポスター展をしたいということでした。これはどちらかというと観客の立場から考えるとそういったこともやったほうが楽しめるのではと感じたことと、自分もやっぱり香港映画好きとしてはそういったことをやってくれたほうが楽しいと思っていたからでもあります。
はたして香港側はどういった返事をしてくれるのか。その結果、全てOKの返事が返ってきたのでした。そして私は井関さんに言われたのでした。「香港に行って打ち合わせしてきてくれる?」うへ、語学に乏しい私は香港に飛ぶことになったのでした。それも向こうで用意してくれている予告編を持って帰るというミッション付きになったのでした。

世界一周パソコン旅行

2007-02-03 19:25:27 | Weblog
正月返上で仕事をしてきたせいか、今頃になってどっと疲れが出ている今日この頃です。たまりにたまったビデオもみなきゃあと思いつつも、なかなか見る気がおきません。
で、気分転換に世界一周してきました~、なんてそんなお金もないし時間もないので、Google earthを使っての旅です。もうご存知の方はこの面白さをご存知だと思いますが、地球上すべてを航空写真で真下を撮った写真地図で、住所や観光地など検索するとそこにいけるわけです。自分の住所や実家や会社や、いろんなところを即座にみることができるわけですから、ほんと驚きのすぐれものです。
で、行ってみたのは、香港の九龍半島、香港側のコンベンションセンター、それからペルーのナスカの地上絵、ルワンダ共和国の首都キガリ、中国の万里の長城、アメリカのディズニーランド、北極に南極に、いろんなところの町を飛び回っていたら、あっという間に1時間がすぎてしまいました。
今日は映画のことではないですが、これ、とにかく一度試してみてください。
おすすめです。

TVB

2007-02-02 01:15:06 | Weblog
仕事的におつきあいのあるマクザムからFAXが届いたのですが、本格的にTVBの番組からセレクションした作品をDVD化していくようで、特設専用サイトを設けるとのこと。2月5日より www.hualiu-special.jp/tvb 
一昨年、チョウ・ユンファの「上海灘」等をリリースしたのですが、その後一休みしていて、今年は本格的にリリースを開始するようです。
中華系のTVドラマのDVD化は、マクザムが早い時期にやりはじめて韓流に対して華流としたのですが、世間では華<ファー>流の言い方になってますが、もともとはこの会社が華<ホア>流とつけてはじめたわけで、私もどちらかというと華はホアと言っております。
TVBといえば、チョウ・ユンファを筆頭に、トニー・レオン、アンディ・ラウ、チャウ・シンチー、イーキン・チェン、ほかほか、香港映画界の大多数の人気俳優はここの養成所からスタートしています。そのライブラリーは莫大なものがあるわけですから、いったいどんな作品をDVD化してくれるのか。ちなみにホイ・ブラザースの番組が4月にリリースされるわけで、これはかなり楽しみにしております。

徐克的電影世界その3

2007-02-01 21:08:28 | Weblog
香港とのやりとりをしている間、私は関係各位と企画書を基にどうゆう風にこのイベントを成功させるか、会議を何度かしました。ただ、いかんせん予算がある映画祭ではないので、そろばん計算が必要になってきます。少なくとも、香港から新作を持ってきて字幕制作をするのと、ツイ・ハークたちを来日させるのにも予算がかかります。それから、『妖獣都市』と『~天地大乱』を出すにあたって、配給会社からも公開につながるような宣伝協力、たとえばゲストにその映画に関係している人を来日させる等、いろいろな条件が出されたりもしました。
その結果、来日ゲストに関しては、ツイ・ハークの奥さん、シー・ナンサンに誰をひっぱってくることができるか相談をしたのでした。そして、スポンサーサイドからは、ぜひジョイ・ウォンを呼んでほしいとの大きな希望もあり、香港とのやりとりをやっていくなかで決定したのが、ジョイ・ウォン、レオン・カーファイ、そしてミシェル・リーでした。
この三人とも皆さんがご存知のように、ツイ・ハークとは深い関係のある俳優たちです。たぶん、私たちから彼らにオファーをしたとしてもなかなか決まらなかったでしょう。それを香港映画界のフィクサーの一人であるシー・ナンサンが快く引き受けてくれたのですから、つくずく感謝するとともに仲良くしていてよかったと思ったのでした。
私は、上映する作品とその時間割りをフィックスし、プリントを出してくれる配給会社から写真を借りました。『北京オペラブルース』の字幕は、ビデオを出していた東北新社からお借りして、それを使用しました。これも経費を抑えるためです。
香港から貸してもらえる新作も決まりつつあったのですが、『龍門客棧』だけが日本のエージェントがいるので、そっちに話してほしいというのです。その名前を聞いた時に「あ、そうゆうことね。」と私はピーンときました。
この人は日本人でエージェントというよりはブローカーといったほうがいいのかもしれません。1980年代に香港ノワールがブームになった時、ある作品を高く某映画会社に売ったために、これが売買のベースとなってしまったといわれ、私たちのなかでは悪名高い存在になってました。ここ最近、また業界内で動き始めていますが、大昔、香港映画に出たことがあり、シーソナル・フイルムのウー・スーユエンとの関係でシーソナルの日本販売の窓口として動いていたのでした。
そこに問い合わせをしてもよりよい返事がえられず、さてどうすればいいのかと考えあぐねていたら、このプリントが選定試写のために東宝東和が預かっているときき、私の師匠であった飯田さんに聞き、また井関さんがその人を知っていたということもあり、なんとか出させる交渉ができたのでした。