電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー序章

2006-09-18 16:41:13 | Weblog
1986年11月のある日こと。会社に出社すると、毎日の日課である新聞各紙の記事チェックを行うのですが、スポーツニッポンに芸能面を読んでいたら、ある記事を見つけました。「香港ノワール日本上陸」。その記事には、香港で今年大ヒットを記録している日活アクションのような映画が日本で公開されるという記事でした。「香港の小林旭といわれるチョウ・ユンファ~」などなど、写真入りで紹介されているその記事に心が奪われました。それは私自身、日活アクションが大好きで、石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎と、彼らの作品は子供の頃から慣れ親しみ、大学時代には、文芸座のオールナイトや六本木の俳優座劇場で行われた日活映画の連続上映にはほぼ毎日通うほどのファンだったからです。『男たちの挽歌』と付けられたその題名に興味が強くなるばかりでした。
それから1ヶ月経った12月のある日、国際部の映画の買い付け担当の梅原さんから1本のビデオを渡されました。「これ、うちにも話きてたんだけど、見るか?」そのビデオのラベルの題名は「英雄本色」と手書きで書かれていました。「あれっ、この題名どこかで見たような」その日、家に帰ると、さっそくそのビデオを見たのでした。「あ、あの記事の作品だ。」そう、1ヶ月前にチェックを入れていたあの作品だったのです。普段は字幕が入っていないビデオを見る時は早回ししたりして見ていたのですが、この作品は食い入るように見ました。この段階では出ている俳優陣などまったく知りません。唯一知っていたのは、エミリー・チュウのみ。でも映画を見るまで彼女が出演していることなどまったく知りません。しかしその内容はといえば、料理店での殺害シーンや、屋上での壮絶なリンチ、男の友情や兄弟愛と、はずかしくなるくらいかっこいい!そしてクライマックスの派手な銃撃、爆発のオンパレード。見終わった後は興奮しっぱなしで、香港映画にこんな凄い作品があるんだ、と思ったのでした。
翌日、さっそく梅原さんにビデオを返しに行き、「なんでこれ買わなかったんですか?」と毒付いたのでした。その頃からでした。なにやらいろんな香港映画が国際部にいろいろ持ち込まれていて、87年に入ってからは試写室で買い付け選定試写があり、時々宣伝部にも見ておいてくれと言われていたのでした。その中には『男達の挽歌』に出演しているチョウ・ユンファの『英雄好漢』(のちに大映が『愛と復讐の挽歌』で公開)や、早見優主演の『用愛促伊人』(その後『恋のカウントダウン』で公開)など、またアラン・タムとエリック・ツァンが設立したA&Eのプロモーションリールとかも見せられたりしました。
しかし松竹富士では、これら香港映画には目もくれず、『コットンクラブ』や『アマデウス』といったハリウッド大作や邦画製作に力を入れていました。「うちでは香港映画はやらないんだなあ。」と私は思っていました。時が過ぎ、ある日、1本の香港映画を選定試写で見ることになったのでした。


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