電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

撮影現場

2006-06-13 14:00:06 | Weblog
以前、ツイ・ハーク監督と交流があった頃、香港に行って彼に連絡すると、食事をしようと言われて、夕食を共にしていました。レストランに行くと、ツイ・ハークだけでなく、奥さんのシー・ナンサンやスタッフ、はたまた俳優がいたりもしました。
ある夕食の席で、「今、撮影やってるけど見に行く?」と言われて、スタッフに連れていかれたのが、『スウォーズマン 女神伝説の章(東方不敗)』の現場でした。場所は新界の山の中、季節は12月、いくら香港といえども、夜は肌寒いです。現場に着くと、そこにブリジット・リンがいました。彼女がカメラに向って目を見開いて睨むというシーンを撮っていました。でも、監督のチン・シウトンと言い争いの喧嘩をしています。何度も撮り直しをしていて、なかなか終わらないことに彼女が怒っているのかと思いきや、実はある理由で怒っていたのです。そのシーンは、夜の森の中でもやが立ちこめているという設定なのですが、そのもやを作るのに、ドラム缶のなかに入れた木を燃やした煙でもやを作っていたのです。皆さんも経験があると思いますが、燃やした木の煙は涙が出るほど目が痛くなります。そんな状況で目を見開いたシーンを何度も撮っているわけですから、彼女の怒る気持ちはよくわかります。でも、そこは彼女の女優魂というか、カメラが回っている時はまったく涙も出さずに、彼女はカメラを睨みつけています。そして監督の「CUT」という声が聞こえた後に、目から涙が溢れ出ていたのです。それを見た時に、女優ブリジット・リンの仕事に対しての凄さを感じたのでした。
その後、映画を見たら、ちゃんとそのシーンは使われていました。皆さんもこの映画を見る機会があったら、ぜひそのシーンを注目してみてくださいね。