電影宣伝自由人

香港映画を中心にしたアジア映画のよもやま話などを紹介

セブンソード

2006-06-05 14:27:59 | Weblog
ツイ・ハーク監督の武侠片『セブンソード』は、久々にツイ・ハークらしいアクション作品でした。しかし、ショウ・ブラザース好きな私にとってのうれしかったことは、ラウ・カーリョン師父が出演して、年齢を感じさせないアクションを見せてくれたことでした。
香港映画界の歴史を紐解いていくと、クンフー映画のベースを作った最大の功労者がラウ・カーリョンなのです。特にツイ・ハークの功夫片を見ると、ラウ師父からインスパイアされているのがよくわかるくらい、香港映画に影響を与えています。そんなラウ師父とこの前の香港出張で会う機会がありました。それは、今手がけているショウ・ブラザースのDVD用インタビューをとるために、お会いしたのでした。師父と呼ぶのは、彼が本当に洪家拳の使い手で、あの黄飛鴻の直系の弟子にあたるからです。
3時間におよぶロング・インタビューを終え、まだラウ師父は時間があるというので、ホテルのラウンジでお茶をすることになりました。その時に『セブンソード』の話となりました。前に知り合いから、『セブンソード』を撮影した場所がウイグルで、12月が氷点下20度にもなったために、ラウ師父の健康のことも考えて、香港で一部を撮ったと聞いていました。なので、ここぞとばかりにラウ師父に撮影現場のことを聞いたのですが、彼曰く「本当に寒くて、映画で使われている剣は鉄でできてるんだけれど、寒さのためにドライアイスを握っているような状態になっていたんだ。」と話してくれました。過激なアクションシーンも、寒さのために身体が思うように動かなくなったとも言っておりました。
そんなラウ師父のツイ・ハーク評ですが、「彼はすごく上手に絵コンテを書くけれども、こんな風にアクションをやりたいといっても、マンガの世界のようなことばかりで、実際にそんなことができるわけないものばかりだ。」と、話しておりました。確かに、CGではできても、ラウ師父のような現実的な武術アクションを作り上げてきた人にとっては、マンガとしか言いようがないでしょう。
さて、ここにこられている皆さんの中には、ラウ師父のクンフー・アクションをご覧になられた方は少ないと思いますが、これらを見てからツイ・ハーク監督の『ワンス・アポン・ア・タイム 天地大乱』などを見ると、似ているところがあってよくわかると思います。
ちなみに『少林寺三十六房』は日本におけるラウ師父の代表作になっておりますが、私のおすすめとしては、『少林寺秘棍房』、『ワンス・アポン・ア・タイム英雄少林拳 武館激闘』、『少林皇帝拳』、『秘技・十八武芸拳法』、などなど、どれもクンフー映画の基本映画なので、お時間あるときは、ぜひ見てみてください。