漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 126

2023-08-20 05:24:53 | 貫之集

仏名の朝に、導師の帰るついでに、法師、男ども庭におりて、梅を見て遊ぶあひだに、雪の降りかかれる梅折れる

むめのはな をりしまがへば あしひきの やまぢのゆきの おもほゆるかな

梅の花 折りしまがへば あしひきの 山路の雪の 思ほゆるかな

 

仏名会が終わった最後の朝、導師が帰って行く折に、僧や男たちが庭に降りて梅を見て遊ぶ間に、雪が降りかかった梅の枝を折った。

梅の花かと見間違って枝を折ってみると、花ではなく雪であった。それにつけても、深く積もった山路の雪が思い起されることよ。

 

 022 にもありましたが、「仏名」とは十二月に宮中や寺院で行われ、一年間の罪障消滅を祈る法会のこと。枝に降り積もった雪を梅の花と見紛うというのも、よくある題材ですね。このあとも幾度か登場します。