男の萩の花見たるところ
おなじえに はなはさけれど あきはぎの したばにわきて こころをぞやる
おなじ枝に 花は咲けれど 秋萩の 下葉にわきて 心をぞやる
男が萩の花を見ているところ
同じ枝に花は咲いているけれども、紅葉する秋萩の下葉に、とりわけ心を寄せるのであるよ。
美しく咲く花よりも、ひっそりと紅葉する下葉にこそ心を寄せる。咲く花はあまたの美しい女性、下葉は自分が思いを寄せるつつましく控えめな一人の女性を表現しているのでしょう。このあと、121 にも類歌が登場します。
はなのいろは あまたみゆれど ひとしれず はぎのしたばぞ ながめられける
花の色は あまた見ゆれど 人しれず 萩の下葉ぞ ながめられける