川のほとりの松
まつをのみ ときはとおもへば よとともに ながるるみづも みどりなりけり
松をのみ 常盤と思えば 世とともに 流るる水も 緑なりけり
川のほとりの松
松だけが常緑で変わらないのかと思っていたけれども、世とともに絶えず流れて行く川の水もまた、松の影を映して緑色に染まっていた。
常なるもの(常緑の松)と絶えず変わりゆくもの(川の流れ)とを対比しつつ、後者の中に常なるものを発見した興奮というところでしょうか。
この歌は拾遺和歌集(巻第五「賀」 第291番)にも入集しています。