漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 118

2023-08-12 05:05:33 | 貫之集

川のほとりの松

まつをのみ ときはとおもへば よとともに ながるるみづも みどりなりけり

松をのみ 常盤と思えば 世とともに 流るる水も 緑なりけり

 

川のほとりの松

松だけが常緑で変わらないのかと思っていたけれども、世とともに絶えず流れて行く川の水もまた、松の影を映して緑色に染まっていた。

 

 常なるもの(常緑の松)と絶えず変わりゆくもの(川の流れ)とを対比しつつ、後者の中に常なるものを発見した興奮というところでしょうか。
 この歌は拾遺和歌集(巻第五「賀」 第291番)にも入集しています。