19番 隋心院
山科区小野御霊町35
正式名 牛皮山 隋心院
宗派 真言宗 善通寺派
本尊 如意輪観音
開基 仁海
勧修寺と地下鉄東西線の小野駅をはさんで徒歩10分ほどで、隋心院はある。いずれも真言宗のお寺だが宗派が違う。空海が日本に持ち込んだ密教を東密、最澄が広めた密教を台密と言うが、日本の鎌倉新興宗教(真宗、浄土宗、法華宗、浄土真宗など)は、いずれも台密の拠点である比叡山で修行した高僧を宗祖としている。一方、隋心院などの東密は、東寺を本寺、高野山を末寺とし争うなど内部抗争が激しかった。古義真言宗と新義真言宗が競うなど複雑な経緯の後、現在は、東寺・勧修寺・泉涌寺・そして隋心院が独立した宗派となっている。その隋心院は現在は善通寺派を名乗り、官長は善通寺にいて隋心院には能化(のうけと読む・師範のような位置づけ)が置かれる。
古来、小野氏の根拠地であり小野小町ゆかりの寺である。創建は空海の8代の後の弟子仁海である。仁海が、亡き母が牛に生まれ変わっていることを知り、牛の革に両界曼荼羅図を描いた事から、山号を牛皮山とした。
山門を入ると広大な小野梅園が広がる。寺のHPを見ると現在(3月初旬)見頃の様子だ。総門を入ると庫裏の入り口に、小野小町を描いた屏風が迎えてくれる。書院の狩野派を中心とした絵師が描いた襖絵を愛でながら本堂に行くと、本尊の如意輪観音像を中心に快慶作の金剛薩多菩薩像や定朝作と伝わる阿弥陀如来坐像など貴重な仏像たちが迎えてくれる。手入れの行き届いた庭園の四季の草花もゆっくり鑑賞したい。
周辺には、小町が毎朝化粧に使った「化粧井戸」や、多くの男たちが送って来た恋文を埋めた「文塚」などを巡る。
なお、深草少将百夜通いに因んで行われる「はねず踊り」は、本年は3月25日に医薬門前で行われる。昭和48年に復活したものである。はねずとは、梅の花の色の事。