28番 笠置寺
京都府相楽郡笠置町笠置山29
山号 鹿鷺山
宗旨 真言宗智山派
開基 天武天皇(大海人皇子)
本尊 弥勒摩崖仏
修行の寺が続く。金胎寺から車がすれ違うのも困難な狭い道を30分ほど山を下り、木津川沿いをしばらく行くと笠置山登山口に着く。ちょうど京都からの伊賀街道、奈良への月ケ瀬街道の交差する辺りになる。本来は歩いて登るべきだろうが再び細い参道を車で20分ほど行く。
笠置寺も観光気分で行く寺ではない。標高300mほどの山自体が、寺の境内であり、そこが修行の場である。2000年近くも前から信仰の対象であったようだが、天武天皇勅願寺として良弁僧正によって巨岩に摩崖仏を彫りそれを本尊として発足した。その後、平安時代の末法思想の中で発展し、さらに歴史に名前が知れたのは、太平記の時代だ。後醍醐天皇が一度目の倒幕に失敗した後、ここ笠置寺に本拠地を構えたのだ。ただ、残念ながらその戦火により多くの建造物が焼失し摩崖仏も熱により表面が剥落した。40分ほどの修行場巡りに挑戦したが、日頃の不摂生が祟り息が上がってしまった。
しかし、朝方のにわか雨の時の霰か雹かが積もって、それを通じて吹く冷たい風が心地よく、気分よく山を下った。
因みに、受付にいたオジサン。地元のボランティアか、とにかく親切でよくしゃべる。本尊の摩崖仏、ほとんど何も見えないが、拓本を採ると古の姿が浮かび上がるのだそうだ。高さ10m以上もある巨大拓本を地元総出で採ったらしい。ところが大きすぎて展示する場所がなく、公民館の倉庫に眠っている。来るべき大阪万博での公開を目指していると言う。楽しみにいたしましょう。(笑)