アチャコちゃんの京都日誌

あちゃこが巡る京都の古刹巡礼

996回 あちゃこの京都日誌  新シリーズ「新天皇国紀」51

2023-03-25 07:24:52 | 日記

⑦        天皇ゆかりの寺院  戒光寺 後水尾天皇の身代わり

 

  写真 戒光寺 丈六さん

戒光寺 丈六さん

 

東山区泉涌寺山内町29

正式名 泉山 戒光律寺

別称  丈六さん

宗派  真言宗泉涌寺派

本尊  釈迦如来

開基  浄業

戒光寺は、泉涌寺参道の第一山門から数分歩けば左手に見える。筆者は何度も見逃してしまったので、注意して訪問したい。拝観寺ではないので本堂に上がるには勇気がいる。古いガラス扉を開けると巨大な釈迦如来像が迎えてくれる。鎌倉時代に運慶・湛慶の親子が彫った丈六の像である。2023年3月現在、本堂は大屋根の改修で覆いが掛かっている。ご住職にお伺いしたところ一年かかって間もなく完成との事、改修前の瓦は江戸時代初期の当地への移転当時のもので瓦自体が歴史を物語っている。丈六とは仏の正確な身の丈である一尺六寸(4.85m)の仏像の事だ。当初は大宮八条にあり、洛中を転々としたあと後水尾天皇の発願により泉涌寺の塔頭寺として現在地に移転した。素朴ながら厳粛な本堂の中で、圧倒的存在感の釈迦如来を拝む。この仏像は、「身代わりの丈六さん」と言われる。

実はこのような話がある。後水尾天皇は東宮政仁親王時代に皇位継承の争いに巻き込まれていた。ある日寝室で就寝中、暗殺者に寝首を掻かれた。ところがその時、このお釈迦様が身代わりになって自らの首を切らせたと言う。朝になって見ると確かに、仏像の首には血痕が残っていたのだと言う。現在もはっきりと血の滴りの痕跡が見える。後水尾天皇は積極的に即位の為に動いたわけではなかった。それでもこのような話が残っているのが面白い。先のご住職に聞くと、仏像の頭部分は別に造られた可能性があると言う。従って血痕の残る首の部分に木材の樹液などが出たのかもとおっしゃる。とにかく大きすぎてエックス線照射などの検査が出来ない。しかも近所に幼稚園があり未だ決断できない、その為国宝指定でもおかしくない仏像だ。さらにこのお釈迦様、正面やや左を向いている。ご住職に聞くと京都御所の方向に向いているのだと言う。なお後水尾天皇をお守りしているのだ。訪れる人は余りないが、歴史マニアには見逃せないお寺だ。このような素朴なお寺にも是非立ち寄りたい。

納経所にご住職がいらっしゃればお聞きできる四方山話も貴重だ。