祐さんの散歩路 Ⅱ

日々の目についたことを、気ままに書いています。散歩路に咲く木々や花などの写真もフォトチャンネルに載せました。

・ TPP交渉差止・違憲訴訟の会 第5回

2016-11-03 04:32:12 | TPP


TPP交渉差止・違憲訴訟の会の第5回口頭弁論の内容が送られてきました。弁護士の方たちが中心となって、この日本をアメリカの多国籍企業に売り渡すTPPを差し止めるために働いてくれています。マスゴミはその真実を調べようともせず、国民に知らせようともしないため、ゆでガエルの国民はその実態を知りません。せいぜい「日本の農家が反対している」「安い農産物が入ってくるので助かる」・・・とかいうレベルの受け止めのようです。しかし、実態は5000ページあるTPPの条約の中で関税に関するものは10%くらいと云われています。そのほとんどは多国籍企業が相手国から莫大な資金を奪い取る仕組みになっています。しかも、一度締結すれば絶対に離脱できないラチェット条項が組み込まれており、国がおかしくなったころに気づいても後の祭り・・・・・

大きな問題はISDS条項で、一企業が相手国の政府を訴えることができます。そして必ずアメリカ企業が訴訟で勝つようになっており、相手国より莫大な金額を受け取っています。国が支払うということは、国民が支払っていることですね。先ほどのラチェット条項は「投資」「越境サービス貿易」「金融サービス」に盛り込まれており、具体的には、銀行・保険・法務・特許・会計・電気・ガス・宅配・電気通信・建設サービス・流通・高等教育・医療機器・航空機器など広範囲に渡っています。ほとんど日本は壊滅状態になるでしょうね・・・・・

以下、TPP新聞より転載します。





原告本人による準備書面陳述


西尾正道
TPPの最大のターゲットは医療だ。2013年の「タイムズ」紙の医療特集によれば、ロビー活動の金額は、医療・製薬産業が5,300億円、軍事産業が1,500億円、エネルギー産業が100億円で、この金額からも米国が医療を重視していることは明らかです。

1985年頃から、アメリカは日本の医療市場の自由化を強く要望してきました。日本には皆保険制度があり、厚労省の下、中医協で薬の公定価格を決めている。しかし、TPPが締結されると、透明性や公明性を確保しないという理由で、自由に公定価格を決めることが不可能になっていき、医薬品はとんでもない金額に高騰する。最終的には皆保険制度の破綻につながる。日米交換文章の中では、皆保険制度を見直すと云うことまで掲げています。

そのほか、農薬や遺伝子組み換え農産物などの規制も、日本独自で決めることができなくなっていきます。例えば自閉症の原因として疑われているネオニコチノイド系農薬も規制できなくなる。遺伝子組み換えについても、その種子を販売している会社の社員食堂では食べていないのに、危険性をごまかして売り続けています。日本の食生活が大変危惧される。健康を守るという点で、食生活を含めて日本の制度を守るという点で、社会正義の為に国民の公平性という観点から、司法できちんと判断していただきたいと思います。

下山久信
私は千葉県のさんぶ野菜ネットワーク農業組合法人の役員、また全国有機農業推進協議会の事務局長もしている。今日も農水省に行って、農薬村の話をしてきた。日本の農薬の会社の団体に農薬工業会というものがあり、そこに農水省の消費安全技術センターという農薬を検査する部長が専務として天下りしている。早急に改革をしなさいというのが、私の要望です。

今、モンサントやシンジェンタなどの多国籍企業が日本の農地を取得し、すでに実験農場で遺伝子組み換えの研究をやっている。企業の農地取得というものが国家戦略特区で認められ日本の農家が奴隷になってしまうような状況になりつつある。

基幹的農業従事者は200万人を割り、人口の1.6%となっている。輸入が拡大して食料自給率がどんどん低下することに対する対策は、残念ながら日本の農業政策にはないわけです。企業の農業参入を推進しているが、千葉県でもほとんど成功していない。安倍政権の「攻めの農林水産業」というのは、日本の農業を衰退に導く、亡国の道です。TPPには絶対反対です。



原告代理人による準備書面陳述


1.金融サービスについて
和田聖仁弁護士
TPPの金融サービスの最大の特徴は、各国政府によるマクロプルーデンシャル措置が、巧みなTPP文言により事実上行使できなくなり、TPPは金融危機の防波堤になり得ず、逆に金融危機を招来する危険性があるという事です。金融サービスは、TPP全体の中でも最も重要な章です。

金融サービス章の中心は、第11.11条の例外規定であり、その規定に関するマクロプルーデンシャル措置とは、金融危機が起こった際に消費者や国民生活を守るために政府が行う金融安定化政策のこといいます。1997年に発生したアジア通貨危機に際して、マレーシア政府やマハティール首相がヘッジファンドに対してとった資本取引規制・固定相場制や、世界金融危機以降のアメリカのドッド=フランク法などがその例です。世界では世界金融危機以降、マクロプルーデンシャル措置がより重視されるようになっています。

日本政府による本条の説明では「本章等の他の規定に関わらず、締結国は、信用秩序の維持のための措置(マクロプルーデンシャル措置のこと)を採用し、または維持することを妨げられないこと等を規定」とありますが、アメリカ通商代表部(USTR)のテキストを分析すると、第11.11条の第1項の冒頭は、次のように書かれています。「締結国は、プルーデンシャル理由に基づく措置の採用または維持を妨げない。この措置には、金融機関または越境サービス提供者が受託者義務を負う投資家、預金者、証券保有者を保護するために、または金融システムの信認性、安定性確保のためのものが含まれる。もし同措置が本協定上の諸規定に合致しない場合、同処置は同諸規定の下での締結国の債務及び義務を回避する手段として用いられてはならない

本条の文章を分解すると、第1文でプルーデンシャル措置が認められる体制をとりながら、第3文は同措置を躊躇させる内容となっています。同措置は、それがTPP協定上で締結国に課された義務を損なう場合には行使できないとしており、結果的に同措置を断念にも匹敵する形で躊躇を決断させるに至るものです。

マクロプルーデンシャル措置が行使できなくなると、自国の金融システムを守る規制が働かなくなります。TPPの根本思想は、資金の流れを、国境の壁を取り払い、阻害されることなく自由に流動させる新自由主義にあります。それは、ウォール街のメガ金融グループの願望が実現されたものです。この結果、各国に国際金融資金が流入してバブルを作り、収奪して出て行く弊害がよりいっそう強まり、再び金融危機が引き起こされる危険性も指摘されています。これが、バーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員らがTPPに強く反対している理由です。

このようなTPP金融サービス章に関するアメリカ、ウォール街を中心とする勢力の日本に対する狙いは、ゆうちょ・かんぽ資金・約270兆円JA共済の資金・約50兆円などの共済資金にあります。さらに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の年金マネーや、日本銀行の金融緩和の資金、日銀マネーもターゲットに入っているという指摘もあります。

これらの資金が日本国内から国際市場に流出すれば、日本社会は、より一層の貧困化が進むことは必至です。TPP金融サービスの章における問題点は、郵政民営化による郵便貯金、簡易保険の資金の収奪という年次改革要望書の路線の延長にあり、また、そのバージョンアップ版とでもいうべきものです。TPPが実質的に日米FTAといわれる所以です。TPPはこれまで年次改革要望書などの背景にある新自由主義、構造改革路線の集大成ともいうべきものなのです。

2.労働について
酒田芳人弁護士
TPP協定第19章「労働」には、国際的に認められた労働法令を執行すること、国際労働機関(ILO)の1998年の労働における基本的な原則及び権利に関する宣言並びに実施に関する措置(ILO宣言)の述べられた権利を、自国の法律等において採用・維持することなどについて定められています。

ILOは、労働基準の国際的調和を進める国際組織として設立されました。その設立根拠の一つとして、労働基準の相違が産品のコストに反映し、国際貿易における公正な競争条件を妨げることがありました。しかしILOは、特定の労働基準の充足を貿易自由化の条件とする社会条項に対しては、途上国の強い反対により、消極的な姿勢をとってきました。1998年に採択されたILO宣言では、中核的労働基準の履行を継続的に監視し支援していくというソフトな手続きを採用することにとどまり、米国が求めていた労働基準の履行を貿易自由化の条件として通商制裁に結びつけるという社会条項の考え方を斥けたのです。

こうした流れの中で、TPPに労働章が規定されれば、ILOの存在意義が失われるという問題があります。TPPの労働章では、問題が生じた場合に、他の締約国との対話及び労働協議をいつでも要請することができるほか、紛争解決章に基づいてパネルの設置を要請することができます。労働基準をきっかけに協議が開始されれば、労働基準よりも貿易自由化の価値が優先され、ILO条約のような国際労働基準にとっては望ましくない方向で妥協してしまう恐れがあります。

また、投資章で規定されたISDS条項によって、投資受入国の労働基準によって損害を被ったと主張する投資家によって、仲裁廷の本段が求められる可能性も考えられます。判断の際、ILOの存在が失われ、労働者の権利が保護されなくなる恐れがあるのです。

TPPにより雇用が失われる恐れもあります。米国タフツ大学が2016年1月に公表した分析によれば、TPP発効10年後には、日本のGDPは0.12%減少し、雇用も7万4000人減少するとされています。多くの人の雇用が失われることは、勤労権や生存権の観点からも問題があります。

また日本では、米国の意向を受けた解雇の金銭解決制度が導入される方向で進んでいます。その内容が、補償金の水準が高いなど、グローバル企業にとって不十分なものとされれば、ISDS条項を根拠に仲裁廷の判断が求められる可能性があります。実際に、フランスの企業がエジプト政府が最低賃金を上げたという理由で、ISDS条項に基づいてエジプト政府を提訴して事例もあります。

労働者保護のため、最低賃金を上げることさえISDS手続きの対象となれば、日本政府は十分な労働者保護政策をとることができなくなります。労働者の地位はますます不安定となり、雇用が失われる恐れがあるのです。