ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

ああ、こんなお話し

2010-01-20 21:20:04 | 
「お前はいつも何を考えて生きてるんだ?」

「何をと言われても、、」

「まるで“精気”がない。
それじゃ何のために生まれてきたかわからんじゃないか」

「そこまで言う・・・」

「いや、お前の将来のために言ってる」
「仕事で画期的な成果をあげろとは言わん。
が、しかし女でもギャンブルでもいい。
何かしら一心不乱に打ち込める対象を見つけろよ」

「先輩、僕の何がわかるって言うんですか。
言うに事欠いて女だ博打だなんて。
そんなんだったらまるで僕は生きる屍みたいなもんじゃないですか」

「そう、よくぞ言った。お前さんはまさにその“屍”だ。ゾンビだ。
いや今のまま行ったら間違いなくそうなる」

「余計なお世話です・・・」

「そういう態度がいけない。もっと人の言うことに耳を傾けろ。
謙虚になれ。みなお前の事を心配して言っているんだ」
「まだ脈がある。お前はもっとできる奴だとみこんでいるから苦言を言っている。
それが何でわからんのだ」

「それで僕にどうしろと」

「どうもこうもない。それにどうするかなんて人に教わるもんでもなかろう。
生きてるっていう“迫力”を出せということだ。
仕事云々の前にきちんと生きろ。俺が言いたいのはそう言う事だ」

「先輩、熱いですね。その情熱はどっからくるんですか?
僕からすると先輩も僕も本質的には大差ないとおもえるんですけど・・・」

「失敬な奴だな。俺はお前と違って守るべきものがある。
そのために精一杯生きてる。
残念ながら今のお前とはおお違いだ」

「仕事ですか?家族ですか?それとも恋人?
先輩、他になんか趣味とか取り柄ありましたっけ」

「またまた失敬な奴だな。
そのすべてだよ。女も家族も仕事もギャンブルも。
そういうことに没頭することで生きてると実感できる」

「単純なんですね。結局、自分というのがどこにも出てこない」
「僕と同じように空虚なんですね」

「・・・。痛いとこつくな」


「僕」と「先輩」。
本当の僕はどっちでしょうか?












答  どっちも僕です。

(帰りの電車のなかで考えたつまらないフィクションなのですが)