どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

裸の島、鑑賞

2018年12月15日 22時50分00秒 | 映画
立川シネマ・ワン、午前十時の映画祭9にて。

映画の舞台、宿禰島は広島県尾道沖に実在する無人島。

その島に暮らす名も無き夫婦と二人の息子(設定上の名前はあるそうだが、画面で示されるのは長男くらい)のとある一日の朝から夜、そして四季を通じて、淡々と生々しく描く作品です。

島には生活に必要な一切のインフラは無く、井戸も無いので真水は対岸(三原や尾道側)まで小舟を漕いで行き、水路から一人二桶の水を汲み、島に運ぶ...これを一日何往復も繰り返す。

汲んできた水を天秤棒で急な斜面を登り、畑のある場所まで運び上げる...とてつもない重労働を無表情に...恐ろしいほどただひたすらに淡々と繰り返す様に圧倒されます。

なぜそんな不便な島に住み、過酷な労働を強いられているのか...対岸で接する人々からもどこか蔑みと冷ややかな視線を投げかけられているものの...一切の説明はありません。

説明どころか、サイレント(無声)映画のように全くセリフもないのです。

言葉も会話も一切ないため、自然音...とくに色々なシチュエーションにおける水の音が強く響き、沁みてくる...。

NHK・BSなどで放送されているもので何度か観た憶えはあるのですが、TV画面を通じてでは伝わってこないズシンとくる重みを感じました。

やはり映画館のスクリーンで観るべき作品だなと。

監督はじめ各スタッフ、そして俳優ふくめ、長期にわたって島で過ごして完成させたその気迫がスクリーンから波状のように広がってぶつかってくるんです。

4Kデジタルリマスターではないものの、かなり丁寧にDCP化され、こんなにも鮮明なのか!と画質面においても驚かされました。

主演の乙羽信子さんが細身の身体でグッと腰を落として、黙々と天秤棒を担ぐ姿...修行僧の如く無表情の顔に流れる汗...気魄以外のなにものでもない。

昭和35年で58年も前の作品ですが、本編95分間...画面から発するエネルギーに圧倒され最初から最後まで息をのみスクリーンに釘付けになってしまいました。

やはりこの作品も映画館で観るべきだなと思いましたし、鑑賞機会を与えてくれた午前十時の映画祭という企画に感謝するばかりです(^_^)




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