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とてつもなくミーハー。夢見るのはお気楽生活

「仮面の中のアリア」

2006-10-26 02:52:53 | 映画・DVD【か】
昨日は妹がきて母を看ていてくれたので、夜の時間がぽっかりあきました。
PCに向かうとフリーセルをやり出してとまらなくなるので(フリーセルとかテトリスとか…殆んど中毒っす)久々にDVDを見ることにしました。
いや~ん、でも何を見たらいいのか迷っちゃいました。
DVDを並べて迷うこと30分(アホ)。
で、結局時間が短目なのをチョイス。


「仮面の中のアリア」1988年ベルギー映画




世界的に有名な、ベルギー出身のオペラ歌手ホセ・ファン・ダムの初主演の映画だそうです(すいません、ホセ・ファン・ダム、知りませんでした…)。

天才と呼ばれたバリトン歌手のジョアキム(ホセ・ファン・ダム)が理由も告げずに、突然引退を表明する。そして引退してからというもの、彼は二人の愛弟子に歌うことの素晴らしさを教え込むことに情熱を注ぐ。
そんなジョアキムに弟子の一人であるソフィはほのかな思いを寄せるようになる。
やがて実力をつけた二人の弟子は、ジョアキムのライバルであるスコッティ公爵の主催するコンクールに招待される。しかしそこには巧妙なわながしかけられていたのだった。


先日見た「王は踊る」のジェラール・コルビオ監督の第1作目だそうな。
オペラなんてとんと縁のないdimでしたが、そういう輩でも楽しめると言われたので、騙されたつもりで買ってみたんですけど…なんというか、NHKの「名曲アルバム(みたいな番組あるでしょ)」を見ているようでした。

風景も建物もオペラ会場の着飾った人たちも、慌しく日々を送っている私にとってはまるで別世界と思えるくらい美しく(いや実際、別世界なんですけどさ)、見ていてゆったりした贅沢を味わっているような気分になりました。
まあオペラを聴くこと自体がもう、最高な贅沢なんでしょうけれど。

しかし…いくら才能がある魅力的な男性とはいえ、親子ほど年の離れたおっさんに18のうら若き小娘が心を奪われるものなのか…おっさん好きな私にもちょっと理解できなかったっす。
とはいえ、ジョアキム役のホセ・ファン・ダムの歌声は、聴くものの心を揺さぶるくらい素晴らしい!
包容力があるというか、素晴らしい表現力というか、深みがあるというか、奥行きがあるというか、つやがあるというか、美しいというか、心に響くというか…とにかく彼の歌声を聴くだけでも見る価値がある映画ですね。
それに彼の演技は実に細やかで、孤高のオペラ歌手の役を映画初主演とは思えないほどとても見事に演じていました。

コンクールの場面で、ジョアキムの弟子が主催者のスコッティ公爵にわなをしかけられそうになり、逆にそれを利用して見事に栄冠を手にする場面は見ごたえがあり胸がスカッとします(ちょっとうまく行き過ぎる感はありますが)。
弟子の一人であるジャン役のフィリップ・ヴォルテール、口パクだとはわかっていながらも、結構迫力のある堂々たる歌いっぷりでなかなかよかったです。
最初はチンピラだったジャンが歌うことによって、自信や誇りを抱くようになり、だんだん男っぷりがあがっていくのは見ていて楽しかったな。
パトリック・ボーショー演じるスコッティ公爵も、執念深くて、ねっとりした粘着感がいやらしくて、いい悪役(?)でした。

ラストの場面では思わず涙してしまったけれど、それはホセ・ファン・ダムの歌声に酔いしれたから?それともジョアキムの心情を思ってのことかしらん?
いやいや、まさにオペラの舞台の最後を飾るような、美しい映像に感動したからかも知れません。


挿入楽曲リスト
ジュゼッペ・ヴェルディ 歌劇「リゴレット」より「悪魔め、鬼め」
ロベルト・シューマン 「ケルナーの詩による12の歌曲」より歌曲「ひそかな涙」
グスタフ・マーラー 「大地の歌」より第3曲「青春について」
フランツ・シューベルト 歌曲「音楽に」(楽に寄す)
ヴィンチェンツォ・ベルリーニ 歌劇「ビアンカとフェルナンド」より「お立ち下さい、お父さま」
ジュゼッペ・ヴェルディ 歌劇「椿姫」より「花から花へ」
ヴィンチェンツォ・ベルリーニ 「ア・タント・ドゥオル」(多くの哀しみに)
グスタフ・マーラー 歌曲集「リュッケルトの詩による五つの歌曲」より第3曲「私はこの世に忘れられ」
コメント (4)
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