久々にDVDを見れる時間がとれたので、大好きなベティ・デイヴィスの出ているこの映画を選んでみました。1950年アメリカ作品。
女優となって日も浅いイヴ・ハリントン(アン・バクスター)は、アメリカ演劇界最高の栄誉であるサラ・シドンズ賞を、今まさに手にしようとしていた。彼女の謙虚で美しい姿に、人々は惜しみなく拍手をおくったが、彼女の本当の姿を知る人達は、冷ややかな目でその受賞を見つめていた。
8ヶ月前、劇作家ロイドの妻カレンは、毎晩のように劇場の楽屋口の前で佇むイヴに深く同情し、大女優のマーゴ・チャニング(ベティ・デイビス)に引き合わせた。
イヴの身の上話を聞き哀れに思ったマーゴは、イヴを住み込みの秘書として雇い入れる。やがてそれが仇となってかえってくるとは知る由もなく……。
いや~~見ごたえありましたね~~、ぐいぐい引き込まれましたね~~。
このタイトル「イヴの総て」ですけど、「イヴ」ではなく「マーゴ・チャニング」の映画ですね。
これはマーゴを演じるベティ・デイヴィスが素晴らしい!!の一言につきます(でも何故だか沢村貞子に見えてしょうがなかった)。
ベティ・デイヴィスが人気・実力とも兼ね備えた、ちょっと盛りの過ぎたわがままな大女優の役を、そらーもー余裕さえ感じられる圧倒的な演技で見せ付けてくれます(これは演じているというより、地に近いのかもしれませんね)。
いくら「若くて綺麗」なアン・バクスターと言えども、ベティ・デイヴィスの貫禄と存在感にはかないませんわ。
というか、今、こういう本物を感じさせる、存在感のある女優っていないよな~~。
さてアン・バクスター演じる「イヴ」(何故だか若い頃の江利チエミに見えてしょうがなかった)。
私は初めから「なんとなく鼻につくやつだな。好かんやっちゃなー」と思ってましたよ。
「総てにおいて完璧で、万人に好かれるような人間は疑え」というのが私の持論なので(笑)。
まあイヴは鼻につく女性だったけれど、誰でも野望や自分の夢のために、人を踏み台にしたり、利用したり、小さな嘘をついたりってあると思うんですよ。そういう意味でイヴは完全な「悪女」とは思えない。
ここに出てくる人たちは多かれ少なかれ「うしろめたい」思いを抱えていた訳で、むしろ誰でもイヴのようになる可能性があるということが、怖いなと思いましたね。
その「可能性」がラストのシーンで見られます。
受賞したイヴがホテルの部屋へ戻ると、自分のファンだという女子高生がちゃっかりベッドで寝ている。イヴと話がしたくてこっそり忍び込んだのだが、待っている間に眠り込んでしまったというその女子高生が、イヴの目を盗んで鏡に向かってイヴの衣装を着るシーンは、第二のイヴを思わせて印象的。
「因果応報」というのか「はやばやと世代交代」というのか……(笑)。