音質を考える上で、必ず出てくるのがアナログとデジタルと言う言葉です。
デジタルもアナログも良いところと悪いところを持ち合わせていますので好きな方を聴けばよいのです。
80年代前半にCDが発売され、音楽鑑賞の主流はレコードからCDに移り変わりました。
私もCDを始めて聞いたときは、ほこりの雑音が入らないCDの音にショックを受けました。
これでレコードの時代は終わったなと実感しました。
それからはデジタルは音が良いとの思い込みで、 私はCDでしか音楽を聞かなくなりました。
それから次々とCDに買い換え、要らなくなったレコードは捨ててしまったのです。
レコードプレイヤーも捨てました・・・。
そしてレコードの時代からCDの時代も終わり、その先がiPodやUSBメモリになりました。
今はネットワークさえあればネット上にあるコンテンツがいつでも手に入ります。
でもいま自分が望むものはそこにはありません。
なぜかって? デジタルは楽しくないのです。
人間は耳だけで音を聞いている訳ではありません、音は波動ですから耳で受け止めているだけではなく身体全体で受け止めています。
デジタルの方がクリアな音がしますが、デジタルが「きれいな音」と言っているのは雑音が入らないという意味です。
そもそも雑音は本来の音の響きとは関係ない余計なものであるから排除しようという考え方かと思います。
けれども それによって 実は本来必要なものまでをも捨ててしまうことになりました。
この「必要ないものは捨てよう」という発想は本当に自然なものなのでしょうか?
それに対してアナログの音が雑音が入ってはいても充実感のある、ぬくもりのある音に感じられるのは、音という連続性のあるものをそのままに捉えているからです。
ある程度の高価なオーディオ機器を持ち、音楽を趣味として楽しんでおられる方はお解かりと思いますが、1950年代のモノラルレコードや1960年代のステレオレコードは驚くほどの音質で録音されています。
本物は極自然な音なのです、スピード感があり繊細でやさしく激しく、奥行きのある音で広がります。
自分が、よい音楽を聴くことはデジタルのクリアな音を聴くことではないと、そう思ったた途端テンションが下がりってしまうのです。
これじゃいかんと思ったので、もう一度レコード中心に音楽システムを組んでみようと思ったのです。
オーディオマニアの中には、レコードしか聞かないという方もいますが、その気持ちが理解できるような気がします。
CDだと音を聞いてしまうのに、レコードだと音楽を聞けるのは何故なんだろうと考えてみました。
唯一いえる事はレコードに戻って良かった!という事です。
レコードの方が音楽を楽しめるような気がします。
私の聴きたいのは昔の音源です、それは「その当時の音」を聴くことが出来るということかもしれません。
レコード盤の音は懐かしくて耳に気持ちいいので和みます。
LPの盤面に指を触れないようにジャケットから出して「ほこり」を慎重に拭いて。
そして、針を飛ばさないように、そっと落として、静かにその場を離れ、いちばん良い場所で耳をかたむける。
こうゆう儀式のようなことも「緊張感」があって楽しいのです。
今ではレコードを聴いている時間のほうが長くなりました。
手元において置きたい曲を中古レコードで探すようになってしまいました。
なぜか自分にはアナログが楽しいのです。
休日の夜にお酒でも飲みながら、ゆっくりとレコードを聞く時間は、なんとも癒されます。
デジタル化が進むに連れて、次第に面白いことが少なくなったと感じるのは私だけでしょうか?
便利さを求めるあまり、それに埋もれて忘れてしまっていることは、本当はとっても大切なものだったりもするのです。
それを再認識するためにアナログに戻る時間もいいな~と思います。