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明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

道程  


個展は明日、明後日までである。良い悪いを別にすれば、他所では観ることができない景色が並んでいることだけは確かであろう。何しろ私の眉間にレンズを当てる念写の試みであるから、誰も見たことがないのは当然である。そして2年後には写真展のタイトルに有るまじき寒山拾得展である。 初個展から38年。人形を作り始めてからは40年であろう。私に誇れる事があるとするならば、モチーフも含めて作品の変わり様である。 陶芸家を目指していた頃、二十歳で岐阜の山にある製陶工場に努めた。周囲には若者などおらず、技術もなければ何もない。目指す道のあまりの遠さに酔っ払ってあぜ道に落ちたりしていた。翌日工場に行くとみんな知っていた。 あの頃の私に、ふげん社の作品を、私の人生上の最突端だと見せたらどう思うだろう。まず写真嫌いのメカ音痴、信じないだろう、しかし幼い頃からの無類の伝記、人物伝好き。人物のラインナップに私らしさを見るかもしれない。少し信じ始める。工芸学校で石膏デッサンなど二十枚くらいしかやったことがないし、何かを見ながら作るなど子供の頃から苦手である。そう思うとよくやった、と多少感心し始めるかもしれない。だがしかし、ここまで来るのに約40年かかったのだ、と私は言い出せるだろうか。憐れになって言い出せないかもしれない。激昂して私をあぜ道に叩き落とす恐れもある。 子供の頃、何故年寄りはあとちょっとで死んじゃうのに、平気で八百屋に買い物行ったりできるんだろう?と思っていた。まあ、急に年取った訳でもなく、その道程を知っているから納得している訳である。 何も二十歳の私の前に急に現れ、わざわむごい仕打ちをすることもないだろう。



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