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Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

バルーン 奇蹟の脱出飛行

2022年04月23日 00時25分54秒 | 洋画2018年

 ☆バルーン 奇蹟の脱出飛行(Ballon)

 

 へ~!東ドイツには墨壺ならぬ小麦粉壺があるんだ?

 っていうどうでもいいことに感心しちゃったわ。

 よくできた脚本で、現実の写真がエンド・クレジットで出てくるのはこういう類いの映画にはつきものかなと。まあ東西冷戦下で、こんなことをしてまでして国境越えに挑戦しないといけなかったのか、とかって人類はおもいこみすぎだ。かくいうぼくも1982年だったか、ベルリンの国境検問所でひと悶着あった。

 シュタージに追われながらも必死になって気球で国境を越えた数年後にはベルリンの壁が崩壊しちゃうんだから、当人たちにしてみれば、なんだよ!って感じではあったろうけど、それはこの映画にかぎったことじゃないしね。実際に気球を制作したギュンター・ヴェッツェルたちが製作の際の相談役になって撮影されたっていう話だけど、なるほどねって感じだ。


バンデラス ウクライナの英雄

2022年04月16日 00時10分36秒 | 洋画2018年

 ◇バンデラス ウクライナの英雄

 分離派寄りの村に育ったアントニオ・バンデラス似の男オレグ・シュルガが主人公っていうところから、なんとなく嫌な予感がしたんだけど、まあたしかに映画の制作中も紛争は続行してたわけで、物語を濃厚にしないといけなかったのかもしれないね。ちなみにこのオレグ・シュルガ、監督もやってんだあ。

 それにしても昔の彼女はやはり田舎臭い。前線を訪ねてきて川の中でセックスする現在の恋人はやっぱり都会的な美人だ。ユリア・チェプルコ、綺麗だわ。こういう気持ちの変化は、いやほんと、現実味があるな。

 ただ、前半、なんとも起伏に乏しい。音楽も情緒的だけど単調で貧相な分、退屈さが増してくるわ。

 

靴ひも

2022年04月04日 00時45分44秒 | 洋画2018年

 ☆靴ひも(Laces)

 

 監督のヤコブ・ゴールドワッサーは実際に子供が知的障害を抱えているらしい。だから演出をひきうけるのに躊躇したみたいだけど、さすがに上手に撮れてた。

 30年ぶりに息子をひきとりながらも重篤な腎不全を患って知的障害の子の腎臓をもらわないといけない立場に追い込まれる父親をドブ・グリックマンは上手に演じてるし、その子をネポ・キムヒはこれまたリアルに演じてる。いや、わかるな。どんなに重要な仕事をしていても13時に食事と決めたらそうしないとだめなんだよね。

 しかし、実の娘のように尽くしてくれるヤフィット・アスリンの綺麗なことといったらない。


THE GUILTY ギルティ

2022年04月01日 14時10分59秒 | 洋画2018年

 ◎THE GUILTY ギルティ(Den skyldige)

 

 ほんと、この頃、北欧映画はおもしろいな~。

 ほとんどが緊急通報指令室に奉仕しにきたヤコブ・セーダーグレンの電話の捜査と奮闘にだけ費やされるんだけど、それがなおさら緊迫感をあおるし、観客を惑わせる。そうか、誘拐されたかもしれないって疑われ、その連れ去られてゆくのを追いかけていく内に、あれ、これなんかおかしくないかっておもわせるのがほとんどないまま突っ走ってゆくグスタフ・モーラーの演出力はすごい。

 ヤコブ・セーダーグレンが翌日、査問を控えていて、それは警官であることをいいことに無実の若造を撃ち殺しちゃったことが問題になってるんだけど、口裏をあわせてくれた相棒に頼んで誘拐されたとおもいこんでる事件を捜査させるっていう脚本も、子供の証言をからませて、弟の赤ん坊の腹を裂いて殺したのが刑務所帰りの夫にちがいないとおもわせちゃう展開も、連れ去られる先がコペンハーゲンの郊外の精神病院ってところから、これはまずいぞって観客におもわせる佳境はいやまじ脱帽するしかないわ。


ワイルド・ストーム

2022年02月18日 00時23分22秒 | 洋画2018年

 ◇ワイルド・ストーム(The Hurricane Heist)

 

 タイトルの文字まで風に吹き飛ばされていくのはええね。

 ていうか、アメリカでは、今もミリバールっていうんだね。

 トラック3台の追跡劇はまあまあだったけど、でも、最後のトラックの荷台に積まれてる2億ドルはどうなるんだろう。冗談とも本気ともつかない危険だと呟いて頷くものの、荷台はそのまま残ってる。やっぱり、荷台だけは台風に吹き飛ばされちゃう方が後腐れがないっておもうんだけどな。

 

 


ガーンジー島の読書会の秘密

2022年02月02日 23時37分29秒 | 洋画2018年

 ☆ガーンジー島の読書会の秘密(The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society)

 

 邦題が好くないな~。原題に「読書とポテトピールパイの会」とあるんだから「秘密」とかいった引きの言葉をくっつけなくてもいいじゃんね。なんか格下げされたちゃうような印象になっちゃいそうで、溜め息がでちゃうよ。

 リリー・ジェームズは新進の女流作家って感じが出てる。いや、実際、前の作品が全世界で28冊しか売れず、意に沿わない作品を書かされ、さらにサイン会と講演会の日々に疑問を抱き、ようやく書きたい主題に出会ったものの、その「秘密」を守るために出版はしないと決意するのは、なみたいていなことじゃない。なんか、わかるね。

 それにしても、読書会の切っ掛けを作ったジェシカ・ブラウン・フィンドレイと医者の身ながらも徴兵されてガーンジー島に駐留していたニコロ・パセッティの娘フローレンス・キーンの無垢な可愛さが泣きたくなるくらい好いね。


アンダー・ザ・シルバーレイク

2022年01月23日 14時43分05秒 | 洋画2018年

 △アンダー・ザ・シルバーレイク

 

 へ~っとおもったのは、グリフィス天文台にジェームス・ディーンの銅像が置かれてることくらいで、あとはない。

 ともかく、冗漫で退屈でひとりよがりな内容としかおもえず、後半の神秘主義的なヒッピーたちの集落にさ迷い込んだときには『ミッドサマー』をおもいだした。まあ、そんな印象しかなく、予告編がおもしろかった分、まいったなあって感じだわね。

 主役のまるで幸せとは縁の薄そうな、田舎の母親から電話があるたびに暮らし向きをごまかしてばかりいるアンドリュー・ガーフィールドがいきなり姿を消した隣人ライリー・キーオの行方をおいかけてゆくっていうだけの話で、ゆくさきざきに現れるのが、陰謀論に凝り固まったやつとか、将来のことなんかなんもかんがえないお姉ちゃんとか、わけのわからない億万長者とかで、もはや、なにがいいたいのかよくわからない。

 デヴィッド・ロバート・ミッチェルは『イット・フォローズ』も予告編と前評判ばかりがよくて、将来性のある監督とかってもてはやされたけど、ほんとかね?って聞きたいくらいだ。


ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

2022年01月18日 00時24分37秒 | 洋画2018年

 ☆ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(Tumma Kristus)

 

 そうか、この演出は『こころに剣士を』のクラウス・ハロなのか。なんか、わかるわ。

 イリヤ・レーピンっていうロシアの画家は知らなかったんだけど、なるほど、聖画を描くときには画家という存在はもはや超越してしまってひとりの信仰心のある人間ということから署名をしないんだっていう美術館の推測はなんとなく納得するわ。

 なんといっても、マッティ・バイの音楽がいい。単調にも感じるピアノ主体の曲なんだけど、この静かさが画面によく合ってる。こういう外連味の無い曲は好いよね。

 ヘイッキ・ノウシアイネンっていうヘルシンキ出身の俳優さんも、地味ながら好い感じだ。いかにも古美術商って雰囲気がよく出てる。

 ただまあ思うのは、古美術商とかはとくにそうなのかもしれないけど、がらくたばかり買い集めて、結局、まったく売れずに増えていくのは借金だけで、それも年を取ってくると余計に商い下手になる。客に対して強く出られないのは老いもあるし性格もあるけど、なんといっても、客が金持ちだと卑屈になる。これはどんな商売でもそうだ。

 この映画では、家庭がそうだ。ひとり娘は夫と離婚して子供をひとりで育ててきた。父親には絶望しっぱなしで、最後の最後にいたって孫から金を借りるを知っては父親には悲しみいっぱいの軽蔑を感じる。すべては貧乏が原因なんだよね。こういうのは辛いな。最後の友達の古美術商の証言と、孫アモス・ブロテルスの名画を見つけたんだっていう叫びに溜飲は下げるけどね。


スターリンの葬送狂騒曲

2022年01月03日 22時49分55秒 | 洋画2018年

 ◇スターリンの葬送狂騒曲

 

 1953年、ヨシフ・スターリンが急死したときの後継ぎ争いのどたばた滑稽劇なんだけど、こんなふうだったのかどうか、ぼくは知らない。たぶん、焦りまくっていたところはそうだったんだろうけど、心模様はどうあれ、もっと神妙な顔をして粛々と進められていったんだろう。

 それにしても、ニキータ・フルシチョフ役のスティーブ・プシェミなんだけど、若い頃は怪優っていう仇名がぴったりの怪物みたいな顔をした個性派だったのに、年を食うにつれてどんどん普通のおじさんになっていくな~。

 ま、日本では絶対に作れないわね。その価値はまちがいなくある。


蜘蛛の巣を払う女

2021年12月28日 01時05分26秒 | 洋画2018年

 ◇蜘蛛の巣を払う女

 

 あまりにも普通の冒険アクションだった。主役が天才女性ハッカーのリスベット・サランデルっていうだけの話で、狂言回しだったはずの雑誌ミレニアムの編集者ミカエル・ブルムクヴィストは完全な脇に回されてるし、これまでの設定を踏襲しているだけって感じなんだよね。まあ、実は双子の妹がいて、とんでもないことに父親に16年間も近親相姦を強要されたことで逃げおおせた姉への憎悪が高まってるっていう設定にはなってるものの、なんだかなあ。

 画づくりは大したもので、ITを利用した車の遠隔操作やら監視カメラやら体温センサーやらまあありとあらゆるものがめまぐるしく登場してはくるんだけど、スピード感を増しているくらいの効果しかないように感じられちゃう。つらいな。

 リスベットを演じたクレア・エリザベス・フォイが上品すぎるってのもあるんだろうけど、もっと冷徹をとおりこした不感症気味ながらも熱血な感じが欲しかった気がしないでもない。彼女がそういう印象だからか、全体的におとなしい仕上がりで、もっと性的な異常さがあった方が『ミレニアム』のシリーズっぽいっておもうんだけどな。


トレイン・ミッション

2021年07月22日 14時57分48秒 | 洋画2018年

 ◇トレイン・ミッション

 

 ジャウム・コレット=セラとリーアム・ニーソンは息が合うんだね。ていうか、ニーソンの好みをよく知ってて合わせるのが上手いのかしら。

 で、あいかわらず、妻と子供を人質に取られて追い込まれていくリーアム・ニーソンなんだけど、今回の導入はおもしろかった。

 田舎に向かう通勤列車の中で、高額につられて終点で降りる鞄を抱えた見知らぬ乗客を見つけだせってのはなかなかおもいつかない。電車で常連客っていう感覚がないものだからなおさらだったわ。日本だったらどうかな、田舎の路線バスか遠距離の高速バスとかになっちゃうのかな。だとしたら筋書きがなかなかむつかしいぞ。


search/サーチ

2021年04月02日 14時27分37秒 | 洋画2018年

 ☆search/サーチ

 前に観たときもどきどきしたけど、また観ても似たようなどきどきを感じさせる。お父さんが家の中でパソコンに向かい、ネットだけを便りに娘の行方不明の真実にたどり着いていこうとするのは、その発想からしておもしろい。考えつきそうで考えつかない。母親の死から仲の好いはずの父親ジョン・チョーとの間に溝ができてくるんだけど、それを父親が知っていくのが娘のパソコンを調べていくうちに偶然に出くわすていうのがいかにも現代的だね。SNSのパスワードの再発行とか、グーグルマップの巧みな使い方とか、とにかく現代的でないと自分では解決できないってあたりがまた上手い。アニーシュ・チャガンティ、初監督とはおもえないテンポの良さだけど、編集っていうより画面の使い方が上手いんだな。娘を見つけ出そうとのめり込んでゆく父親を過激にするかたわらで伏線をちょっとずつ張ってて、まあ、犯人がちらりと出てきたりとか、動機につながるものがあるのに見過ごされてたりとか、マリファナを吸わせてた叔父つまり弟をあてうまにしながら娘の心を語らせたり、その一方で、まるで関係のないネットユーザーが横槍を入れてきたり、赤の他人の反応や意見や事件を餌にした押し売りまでも横行して、ひっちゃかめっちゃかになってくる。それはつまり、事件の全貌がささいなことまでネットにさらされながらも大切なことは見落とされてしまってるっていうネットワーク時代への皮肉になってるってのが見事だとおもうんだよね。けど、容疑者をひとりひとり発見させてそれをネットで連絡して潰しながら真実に迫っていくくだりはほんと上手で、さらに音楽が興奮してくる動悸と同期するようでまた良い。なんといっても最後のどんでん返しの崖のニュース中継が上手すぎる。


THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~

2021年03月25日 15時28分08秒 | 洋画2018年

 ◇THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~

 スマホの端末機がなんで格安で売り買いされてるのかとおもってたんだけど、そうか、やっぱりその理由のひとつは密輸や横流しか。要するに、日本に憧れてクリスマス旅行をしたいとおもってる女の子がいて、深圳から香港の高校に通ってるんだけど、親友と彼氏が闇の運び屋をしてて、偶然に手を貸してしまったために運び屋になっちゃって三角関係にもなっちゃって、あ~どうそようって話なんだけど、ときどき香港はこういうちんぴらを主役にした現在の問題を映画にするね。


アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング

2020年05月08日 00時41分00秒 | 洋画2018年

 ☆アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング(2018年 アメリカ 110分)

 原題/I Feel Pretty

 監督・脚本/アビー・コーン マーク・シルヴァースタイン 音楽/マイケル・アンドリュース

 出演/エイミー・シューマー ミシェル・ウィリアムズ ナオミ・キャンベル ローレン・ハットン

 

 ☆エイミー・シューマーやるな~。

 単に、ジムのエアロバイクですっころんで頭を打って、自分がナイスボディになったとおもいこんだ勘違い女エイミー・シューマーの物語なんだけど、妙におもしろかった。

 まあこういう話はどこかで逆転して夢から覚めておもいきり落ち込まないといけないんだけど、シャワールームで頭を打って元に戻るんだけど、それもまたおもしろかったわ。

 アメリカは上手に作るね。

 不細工の劣等感を満足させてどん底に落として救い上げて普遍的なメッセージにしてちょっぴり感動させる。最後に演説させるのは常道たけど、それがうまくいくと感動させられる。これは好例だな。