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六価クロム漏出、非公表 東京都、基準の200倍超

2012年11月22日 | 化学物質

日新聞2012年11月17日 六価クロム漏出、非公表 東京都、基準の200倍超

東京都立大島小松川公園(江東、江戸川両区)周辺で昨年以降、環境基準の200倍を超す有害物質「六価クロム」を含む地下水が漏れ出ていたことが分かった。都は無害化処理などの対策をする一方、「漏出した量はごくわずかで、健康に影響はない」として公表していない。住民らは「原因も調べず、重大な問題隠しだ」と反発している。

六価クロムはめっきや皮をなめす過程で使われる。皮膚炎を起こし、発がん性も指摘される。周辺一帯は化学メーカーが1970年代まで六価クロムを含む大量の鉱滓(精錬後の鉱物くず)を埋めた跡地。鉱滓は無害化処理され、鉄板などで仕切った地中に埋め戻された。都はさらに土で覆って公園にした。

都によると、江戸川区小松川1丁目の路上で昨年2月、都の職員が六価クロム特有の黄色い水が都道の裂け目から染み出しているのを発見。還元剤をまいて無害化処理し、同4~5月に深さ50センチ分の汚染土約120トンを取り除いて再舗装したが、その際、土壌中の水分リットルあたり11.1ミリグラムの六価クロムを検出した。環境基準同0・05ミリグラムの222倍にあたる。

約700メートル離れた江東区大島9丁目で今年4月、都職員が公園入り口の歩道の石垣から水が染み出し、路上の一部が糞色いことに気づいた。簡易テストで環境基準を超える六価クロムを確認。還元剤をまき、ロープを張って立ち入り禁止にしている。都はその後の漏出を確認していないが、原因はわからないという。

都は区や住民に知らせていない。公園付近では2000年ごろまで、地中に染みこんだ雨水が六価クロムに汚染されて地表に流れ出す問題が何度も起きた。周辺住民らでつくる「公園のクロムを考える会」代表の中村まさ子・江東区議によると、当時は都から住民に連絡があったという。「どんな汚染レベルでも知らせるべきだ」と批判する。

都環境局の成沢智司・土壌地下水汚染対策担当課長は「鉱滓の処分を進めていたころは具合を住民に報告する会議があり、その場で住民に知らせていた。しかし処分と水処理施設の完成後は汚染水の漏出もなく、今回も深刻なレベルでないと判断した」と話す。

東京農工大の渡辺泉・准教授(環境毒性学)は昨年3月、公園周辺で別の漏出場所を見つけた。環境基準の100倍以上だったという。「すぐに健康被害をもたらしはしないが、未処理の鉱滓があちこちに埋まっていたり、処分地の封じ込めが破れたりしている恐れがある」と指摘する。(森治文)

六価クロムと土壌汚染
1973年、地下鉄建設用地などとして東京都が日本化学工業から購入した江東区内の工揚跡地が、クロム鉱滓の大量投棄で高濃度の六価クロムに汚染されていることが発覚。
六価クロムはがんのリスクがあるとされ、実際に肺がんにかかったり左右の鼻孔の聞に穴があく障害を起こしたりする同社の従業員もいた。都と同社はクロム鉱滓を無害化して埋設し、都は主な処分地を都立公園とした。だが、近くの川などで高濃度の六価クロムが漏出、同社が2001年までに水処理施設を設置した。処分した鉱滓は約42万立方メートル。投棄場所などが把握できた分に限られ、実際は未処理のまま埋まっている恐れが指摘されている。


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