脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

塩化ビニール壁紙 海外では生殖異常をきたすとされる物質が含まれる

2016年05月31日 | 化学物質

日刊ゲンダイ2016年5月31日
健康は住まいがつくる27 塩化ビニール壁紙 海外では生殖異常をきたすとされる物質が含まれる

これまで、木材を多く使った住居には、湿度調節や木の香りなどの健康効果が高いことを取り上げた。しかし、せっかくの木造住宅であっても、日本の住宅の多くはその利点が生かされていない。日本の住宅の大きな問題点を「スズキ建築設計事務所」(千葉県柏市)の鈴木明会長が言う。

「日本の住宅の内装は、ほとんどがコストの安い塩化ビニール壁紙(クロス)を使っています。玄関から廊下、リビング、寝室、トイレ、壁、天井までビニール壁紙で覆われていて、一般の方がフローリングと思っている床も、多くは木目印刷の樹脂シートです。言い換えれば、日本人は大きな塩化ビニールの袋の中で生活しているようなもの。そんな住環境にあるのは、先進国の中でも日本くらいでしよう」

日本で内装材といえば、ホワイト系のビニールクロスが普通だと思われていて、それこそが問題だという。欧州へ出かける機会が多い鈴木氏によると、欧州では内装にビニールクロスを使うことはなく、特に病院や学校などの公共施設では使用できなくなっていると.いう。代わりに使われているのが、木の内装材や蓬装、紙クロスなどの呼吸をする素材。ビニールクロスの何が悪いのか。

「ビニールクロスは湿気を吸ったり出したり、呼吸をしないので結露しやすく、冬場は暖房でカビが発生します。そのカビの胞子が室内に漂い、喘息やアレルギーの原因になります。しかし、それよりも私が問題視しているのは、多くのビニールクロスには、可塑剤(=加工しやすくするための添加物質)としてフタル酸エステル類のジオクチルフタレート(DOP)が含まれていることです。この有害物質は生殖に異常をきたす環境ホルモンとして知られていて、動物実験では発がん性も報告されています」

鈴木氏が懸念するのは、室内で揮発したDOPを吸いながら生活する住人の健康への影響だ。欧州ではDOPの使用や塩化ビニール製玩具の廃絶を打ち出している。一方、日本では、環境省が2003年6月に9種類の可塑剤について、「内分泌かく乱作用は認められない(=環境ホルモンではない)」とする研究結粟を発表している。

「建築家として、少しでも有害性の疑いがある素材は使うわけにはいきません。当社では内装にビニールクロスは一切使わず、和紙クロスや布クロスを使用することを徹底しています」

すでにビニールクロスの内装が施されている家の内装も、リフォームで和紙や布のクロスに張り替えることは可能だ。ビニールクロスの上から土や石灰を使った左官建材を塗る対処法もあるという。見た目がキレイな内装が健康的だとは限らない。住宅は一生もの。昔ながらの和の天然素材を見直してみる必要があるかもしれない。


乳製品と健康との関係

2016年05月31日 | 食品

日刊ゲンダイ2016年5月31日
医者も知らない医学の常識29 乳製品と健康との関係 
石原藤樹(北品川藤クリニック院長)

「牛乳は健康に良い」という意見がある一方で、「牛乳は健康に悪い」という意見も最近はよく聞かれます。一体どちらが正しいのでしょうか?

 牛乳には乳糖が含まれています。この乳糖は人間の乳糖分解酵素によって、ブドウ糖とガラクトースという2種類の糖に分解され、その後に体に吸収されます。そして、このガラクトースには「動物実験では老化を促進する」という複数の報告があるのです。

 2014年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に、スウェーデンでの10万人以上の調査の結果として、「牛乳をたくさん飲む人ほど、特に女性では死亡リスクが増加する」というショツキングな結果が報告されています。つまり、人間においても牛乳は健康に悪い可能性があるのです。

そ の一方で、ヨーグルトやチーズのような発酵食品については、「おおむね健康に良い」という結果が報告されていて、最近では「動物実験でカマンベールチーズが認知症を予防した」という研究が注目されました。

赤ちゃんの時期には、成長促進のためにガラクトースが必要であり、そのため生乳は健康に良い。しかし、大人になるとむしろあまり取らない方が、健康のためには良い。そう考えると、つじつまが合うような気がします。

 ただ、ヨーグルトやチーズは生乳とは別個に考えるべきで、健康に良い食品である可能性が高いのです。