東洋経済2016年5月1日
酸飲料が歯を溶かす」という通説は本当か
その酸性がどれだけ強いのかに目を配れ
小林 保行 :歯科医師/キーデンタルクリニック院長
http://toyokeizai.net/articles/-/115727
「炭酸入りの甘い清涼飲料を飲みすぎると歯が溶ける」
このような話を耳にしたことがありますか? 筆者は歯科医師として歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、そこで訴えていることのひとつが、炭酸入りの甘い清涼飲料の歯に対する危険性です。
なぜ危険なのかというと、酸味としてリン酸やクエン酸などの酸が加えられていること、砂糖が大量に含まれていることが大きな理由として挙げられます。「炭酸が歯を溶かす」という話もよく聞きます。無味の炭酸水でも歯は溶けてしまうのでしょうか。最近ではさまざまな飲料メーカーから炭酸入りのドリンクが販売されています。
(中略)
炭酸水を飲むに当たって次のことを注意してみると良いでしょう。
1.成分表示をよく見る
砂糖が入っているものはもちろんですが、人工甘味料が入っているものは時々飲む程度にとどめておきましょう。
2.口の中にためない
炭酸水の飲み方によっても歯の溶け方が変わってきます。たとえば口に入れてしばらく溜めて飲むのと、そのまま溜めずに飲み込むのと、ストローで飲むのとでは随分違ってきます。口に溜めて炭酸の感覚を楽しみながら飲む人がいますが、これは歯にとっては非常にダメージが加わる飲み方です。いちばん良いのはストローで飲む方法で、歯に触れるのを極力避けることができます。
3.フレーバーのものは極力避ける
レモン風味、ライム風味など柑橘系のフレーバーのものは特に酸が強いため、砂糖が入っていないとはいっても歯が溶ける可能性があります。しょっちゅう飲むのは控えたほうが良いでしょう。
4.しょっちゅう飲まない
ダイエットや美容のために水は多く飲むことが勧められますが、炭酸水をちょくちょく飲むと、唾液が口の中を中性に戻すのに間に合わず、つねに口の中が酸性に傾いて歯が溶けてしまう可能性が高まります。
5.寝る前に飲むのは避ける
炭酸水を飲んで寝るのは、たとえそれが無味のものであってもお勧めできません。寝ている間は唾液が減りますので、唾液が口の中を中性に戻す効果が期待できません。そのため歯が溶けるリスクが高まります。
6.飲んだらなるべくうがい、水を飲む
炭酸のものを口にしたら、なるべくすぐにうがいをするか、水やお茶を飲んでお口の中を中性に戻すようにすると良いでしょう。
(後略)