脱ケミカルデイズ

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うがい薬使用は、ヨウ素の過剰摂取の恐れ

2014年08月26日 | 

日刊ゲンダイ2014年8月26日
うがい薬はほどほどに ヨウ素の過剰摂取に注意 石原藤樹(医師)

 感染症を予防するため、夏でもうがいを欠かさない人はたくさんいると思います。中には、毎日何度も「うがい薬」を使ってガラガラやっている人もいるのではないでしょうか。

 うがいは、喉に一時的に付着した細菌などの微生物を洗い流す作用があり、一定の効果が認められています。しかし、うがい薬を多用していると、危険な揚合があるのです。

う がい薬の中でいちばんポピュラーなものは、茶色い液体のものでしょう。市販もされていますし、痛院で処方もされています。主成分はヨウ素(ヨード)で、うがい薬1ミリリットルの中には7ミリグラムのヨウ素が含まれています。1日に必要なヨウ素の量は0・2ミリグラムといわれているので、実にその35倍です。

 ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料になりますが、大量に摂取すると甲状腺ホルモンの異常を引き起こすケースがあります。うがい薬の使い方には注意が必要なのです。

 07年の日本内科学会誌英語版には、ヨウ素を主成分としたうがい液による甲状腺機能低下症の発症についての論文が掲載されています。尿に排出されるヨウ素の量から推測したところ、1日3回のうがいによって、平均4ミリグラムのヨウ素が体に吸収されていました。3回うがいをするだけで、1日の必要量の20倍のヨウ素を摂取していることになるのです。

 日本は土壌にヨウ素が豊富な上に海産物の摂取も多いため、ヨウ素による甲状腺への影響は少ないと考 えられています。1日5ミリグラム程度の摂取なら問題ないといわれています。

 しかし、橋本病などで甲状腺ホルモンを作る働きが弱くなっている人が大量にヨウ素を摂取すると、ホルモンが十分に作られなくなって甲状腺機能低下症になる場合があります。前出の論文には、うがい薬の定常的な使用によって発症した甲状腺機能低下症の事例が紹介されています。

 逆に、ホルモンを作る力が強いしこりのような結節が甲状腺の中にある揚合は、ヨウ素の過剰摂取によって甲状腺機能亢進症を引き起こすケースもあります。

 毎日、うがい薬を使ってうがいをするという習憤が、ヨウ素の過剰状態を引き起こし、病気を誘発しかねないのです。頻繁にうがいをする人は、ただの水にするか、主成分がヨウ素ではないうがい薬を使うことをおすすめします。

 

化学物質問題市民研究会:ピコ通信2011年1月
「調べてみよう家庭用品41 インフルエンザ対策」より

■うがいは効果があるが、うがい薬は効果がない

 さらに、インフルエンザ対策製品としてうがい薬か古くから使われていますが、これについても、2005 年に報告された実験があります。それによると、水だけのうがいの風邪の発症予防効果は、うがいをしなかった群と比べて、40%削減が認められたが、ヨード液を使ったうがいは12%減で、統計学的に意味のある抑制効果は認められなかったそうです。

 うがいの効果は、水の乱流によってウイルスそのものか、埃の中にあってウイルスにかかりやすくするプロテアーゼという物質が洗い流されること、水道水に含まれる塩素が何らかの効果を発揮したことなどが考えられるそうです。ヨード液でそれほど効果が出なかったことについては、ヨード液がのどに常在する細菌叢を壊して風邪ウイルスの侵入を許したり、のどの正常細胞傷害したりする可能性が考えられます。

 また、注意書きにあるように、アナフィラキシーの起こる可能性があります。