
WBCミドル級タイトルマッチ
WBCミドル級王者のフリオ・セサール・チャベスJr(Julio Cesar Chavez Jr)と現在ミドル級最強の称号を持つ2階級制覇王者セルヒオ・マルチネス選手(Sergio Gabriel Martinez)とが激突する注目のタイトルマッチは米国ネバダ州ラスベガスで行われ、最終ラウンドにあわやノックアウト負けの大ピンチに陥る場面があったものの、これを凌ぎ切ったマルチネス選手が大差の12回3-0判定で勝利して正規王座に復帰を果たした一戦でした。(体格比較)
軽く動きながら右ジャブ左ストレートで様子を探っていくマルチネス選手。チャベスJr選手はガードを固めてマルチネス選手の様子をじっくりと観察していきます。2回から体力差を生かして前に出る場面を見せて得意のボディブローを見せはじめたジュニア選手ですが、マルチネス選手が軽く放つ左ストレートや右ストレートのリードを決められなかなかエンジンをかけていけないラウンドが続いていきます。
4回にもジュニア選手がプレッシャーを強める場面があったのですが、マルチネス選手のシャープな左ストレート右フックのコンビネーションが上回ります。鼻血がかなり悪化してジュニア選手が出れないなか、5回からは鋭い右ジャブとフットワーク、上下へ散らす左ストレートでより試合のペースを引き寄せ確実にキープしていったマルチネス選手。
7回にはシャープな右ジャブを基軸に据えたワンツー連打でジュニア選手を後退させ、以降フットワークと左右ストレート、アッパーでの変幻自在のボクシングでジュニア選手に付け入る隙を与えない展開の末のマルチネス選手の完勝ペースでした。
しかし、ジュニアはやはり持っているということなんでしょうか。最終12回に渾身の右フックを当てて一気にペースをひっくり返します。11回にも強い右を食ってトラブルに陥るかける場面のあったマルチネス選手でしたが、この時は反撃のコンビネーション攻撃を浴びせて逆にジュニア選手を後退させたのですが、12回に食った右は強く、ジュニア選手が追撃した左フックを連続で決められてノックダウンを喫してしまいます。
ダメージに加えて一気に疲労も出てしまった様子のマルチネス選手で絶体絶命の大ピンチでしたが、ジュニア選手も疲労がキツくトドメをさし切れません。振りも大きくなってしまい、必死に凌ぐマルチネス選手がなんとか最終ラウンド終了のゴングに逃げ込み、それまでの大きな貯金で判定勝利を掴んでいます。
CompuBox Stats: Too Little, Too Late For Chavez Jr.
Jabs,Powerpunches,Punchzone
公式のスコアは117-110、118-109が2人の大差3-0マルチネス。シロート採点は12回を10-7とスコアしての117-109マルチネス。
マルチネスの右ジャブとリードで使う左ストレートが非常に強く効果的で、ジュニア選手が出るに出れず徐々に削られていく展開は予想できたパターンでもありましたが、マルチネスの素晴らしさを改めて見せつけられた思いでした。
しかし最後の最後に大きな見せ場を作ったジュニア選手もまた見事というか、凄かったです。シニア対メルドリック・テイラーのあの伝説の大逆転を誰もが思い出した、最高にエキサイティングなラウンドでした。必ず一回り大きくなって戻ってきてくれるはずです。期待したいです。
マルチネス選手は50勝(28KO)2敗2分。ジュニア選手は46勝(32KO)1敗1分。
Martinez Survives Final Round To Decision Chavez Jr.(Rick Reeno/BoxingScene)
Martinez Dominates Chavez, Then Escapes With UD, After Scary 12th(Michael Woods/The Sweet Science)
Chavez-Martinez round by round(Michael Rosenthal/Ringtv)
Dramatic Chavez Jr. Vs. Martinez Results Almost Repeat History: Fan Take(Jake Emen/Yahoo! Sports)
Arum Eyes Chavez-Martinez Rematch at Cowboys Stadium(Ryan Burton/BoxingScene)
Martinez escapes Chavez with title(Dan Rafael/ESPN)
Sergio Martinez Breaks Hand, Tears Knee Ligaments(Ryan Maquinana/Boxing Scene)
マルチネスは右膝の靭帯損傷で手術が必要かもしれないとの事。さらに左拳も骨折していた、らしい。
写真
Report/gallery: Martinez vs. Chavez Jr.(Andreas Hale Photos by Mary Ann Owen / BoxinginLasVegas.com//Fightnews)
チャベスJr対マルチネス 直前情報
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再戦見たい。今度はチャベスが仕留めてマルチネスに引導を渡すのかも。
11Rまではどうせこのままマルチネス圧勝だろうと見ていましたが、12Rはすごかったですね。
もう少し二人の年齢が近かったら数年後に再戦がみたいカードでした。
しかしマルチネス選手がKOに拘らずに戦ってたら、
もっと楽に勝てた試合でした。
はっきりレベルが違いましたね。
ダウン後に立ち上がったマルチネスの表情を見て、相当ダメージが深そうだったので、チャベスの一発大逆転を期待したのですが・・・それでもドラマチックでした。
試合全体を通してみると、マルチネスのスピードとテクニックにチャベスJrが封じ込められ続けた内容でした。
最終ラウンド以外は、チャベスJrがマルチネスの攻撃とフットワークに対して、全く対応できていなかった感じです。
それでも最後まで根性で戦い続け、最後の最後にマルチネスを崖っぷちまで追い詰めたチャベスJrの健闘に、拍手を送りたいと思います。
タフなチャベスJrだからこそ、マルチネスの強打を浴び続けてもリングに立っていられたのでしょう。(他の選手だったら途中で倒されていたのでは?)
ボクシングの醍醐味を存分に味わえる、ビッグマッチに相応しい試合でした。
浜田さんが普段よく言いますが相打ちでいいから打ちに行く、ともっとはやく開き直れればもっと勝利に近づけたのではないでしょうか。
セルヒオさんは昔から以外とプレッシャーに弱く、また結構危険な被弾をする事もありチャベスにもチャンスあり、と見ていただけに惜しかったです。
はたから見ててもジュニアはダメージが蓄積してましたし、マルチネスからするともうジュニアに反撃する体力も気力もないと考えたのでしょうが、あのマルチネスがあわやKO負けという状態になるなんて想像もしておらずショックでした。
一方のチャベスですが、空転させられても被弾を恐れずもっとパンチを出すべきでしたね。内容は完敗だったのものの、最後にあのマルチネスをKO寸前まで追い込んだのも事実。評価はそれほど下がらないと思います。
私はジュニア戴冠の経緯に違和感を抱いていたので、この試合が行われたことで非常にスッキリしました。年齢的にもまだまだ伸びしろがありますし、今後は素直にジュニア選手を応援していきたいです。
最終ラウンドは興奮で自分の時間の感覚が狂ってるような気分だった。
予想通り、現時点での力の差は歴然だと思いましたが、次に試合をしたらマルチネスは意外と苦戦するかもしれません。
今回の最終ラウンドのようなシーンが両者の「何か」を変えてしまうことが、ボクシングでは往々にありますから…。年齢差もあるので、なおさら。
ピーク期にあるように思えるマルチネスと急激にパワーとスタイルを身に着けてきたチャベスjr、チャベスの成長次第でどう転ぶか分からなかった最高のタイミングでのマッチメイクでしたね。
後は差が縮まっていく一方に思えますから、再戦は興味をそそられません。