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ダンスとか。

大野慶人・笠井叡 DANCE EXPERIENCE 『め - 38年目の春夜』

2004-03-14 | ダンスとか
新宿・パークタワーホール。
一昨年の「土方メモリアル」よ再び!という期待は強かったのだが、笠井はいつもの笠井だった。五本のサックス(Generation GAP)によるチック・コリア『Spain』の生演奏とともに、極彩色のシャツ&金の長髪を束ねた笠井(オバサンみたい。あるいは三輪明宏みたい)が現われ、以後は大野と交代でソロを踊る構成。笠井はスクエアプッシャー(たぶん)とかトンがった、あるいはオシャレな音楽を使うが、大野は童謡とか、斎場で流れていそうな癒し系の音楽を使う。それぞれ自分の世界を徹底的に守っていて、絡みも交流も少なかった。ただしラストシーンだけは、舞台対角線上で二人がすれ違って笠井が大野の方を振り返り、劇的な展開を予想させて幕となる。大野は「大野一雄の息子」というイメージから脱却するのは大変だろうが、早くも足腰にいくらかの震えが見られた。構成演出を手がけ、ソロパートの分量は笠井の方にやや多く割り当てている。笠井の踊りは、爆発的なものではなかったにせよ、見事なものだった。モロにフェイクなバレエを臆面もなく散りばめつつ、形の充実を放棄したスカスカなストロークの連打が、信じがたいほど安定したテンションで延々と持続する。この独特な集中力のあり方。
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