このブログの前項目で「新型コロナウイルスに感染した時点では被害者かもしれないが、同時に加害者になるリスクも背負う」と書きました。
実際にそれが起きが事例を紹介します。
□ ワクチン非接種の看護師12人が感染 沖縄の県立病院
(2021.7.2 産経新聞)より一部抜粋
西村康稔経済再生担当相は2日の記者会見で、沖縄県うるま市の県立中部病院で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)に関し、ワクチン接種を希望していなかった看護師十数人のうち、12人が感染していたと明らかにした。
・・・「ある棟の看護師らがワクチン接種を希望していなかった。十何名だ。看護師では珍しいが、十何名のうち、12名が感染したと聞いている」と語った。
・・・5月下旬から職員や患者の計51人のクラスターが発生し、うち入院患者17人が死亡した。
現時点での日本のワクチン接種は「義務」ではありません。
しかし、前述のように「新型コロナウイルス感染=被害者→加害者」という構図があります。
とくに看護師は仕事として免疫弱者と対峙します。免疫弱者は新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいことは、もはや一般常識です。
フランスでは「医療従事者のワクチン接種義務化」の動きもあるようです。
□ フランスで、医療従事者のワクチン義務化を準備中。医師の署名活動が始まる
フランス政府は、医療従事者にコロナウイルスの予防接種を義務付ける法案を、現在準備中である。
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政府は数日前から、特に「今から9月までに」接種率80%の目標を達成できない場合に、要介護高齢者居住施設(EHPAD)や病院のスタッフに、ワクチンを義務化することを検討してきた。
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フランス病院連盟(La Fédération hospitalière de France)は6月30日に、「医療従事者および患者と接触するすべての人へのワクチン接種の義務化」に、もしそれが「法制化を検討する」ことを意味する場合でも、賛成すると述べた。
◇医師の署名活動
このような状況のなかで、7月4日、日曜発行の週間紙『ジャーナル・ドゥ・ディマンシュ』は、96人の医療従事者が、同紙に医療従事者へのワクチン接種義務化を求める寄稿記事(Tribune)を掲載、署名活動を始めたことを報じた。
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以下が、掲載された請願書の内容である。
「パンデミックをできるだけ早く終息させ、人的、社会的、経済的に影響を及ぼす第4波を避けるために、禁忌のないすべての国民が、コヴィド19のワクチンを接種する必要があります。
なぜなら脆弱な人々を保護するための倫理的義務だからです。医療従事者は、自分たちが責任をもつ人々のために、ワクチン接種を受けなければなりません。
だからこそ、私たち署名者である医療関係者は、「公的または民間で、予防または治療や介護で、あるいは高齢者を収容する施設で、自分、または自分のケアを受ける人々が汚染のリスクにさらされる職業活動を行う者」全員に、ワクチン接種を義務化することを、政府が今すぐ決断することを求めます。
この決定の適用が9月初旬までに有効となるよう、必要な措置を講じていただくよう求めます。
医療関係者の署名のために、日曜日にこの請願書をオンラインで公開します。」
だいたい1日経った7月5日午前11時15分ごろ(日本時間)において、egora.frというサイトで行われている署名活動では、711人のプロの医療従事者が署名している。
ここでも赤字で示した「脆弱な人々を保護するための倫理的義務」が強調されています。
実は、日本で医療従事者となるためには必須とされるワクチンがすでに存在します。
それは麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜ・インフルエンザの各ワクチンです。
院内感染で問題になるこれらの疾患、医療従事者が加害者とならないよう、現在は医療系の大学・短大・専門学校入学前あるいは実習前に義務付けられています。それを拒否すると、入学・実習ができない、つまり医療職に就くことができません。
小児科医である私は、教育関係者にも義務付けた方が感染対策として効果的ではないかと感じています。
なぜって、園児・学童の感染症流行には教員が一役を担っていることが多いからです。
今回の新型コロナウイルスも、教員が起点となって感染拡大・クラスター発生している事例が多く報告されています。子ども同士は体をすり合わせて遊んでいるのに、思ったほど感染は広がっていません。
と書いてくると、「ワクチンに反対する医師もいるじゃないか!」という声が聞こえてきそうです。
確かに医師の中にも「反ワクチン」を掲げている方がいます。
ただ、メディアが取り上げるので声は大きく感じるのですが、ほんの一部の医師ですよ。
彼らの発言内容を知ると、自分の経験や思い込みで判断し、科学データを客観的に分析する姿勢が乏しい傾向が見て取れます。
そのような発言を放置していると「医療界の常識?」と誤って一般人は判断してしまうこともあり、これも問題です。
単に、「客観的な判断力のない彼らと議論しても疲れるだけで時間の無駄」なだけなのですが・・・。
10年ほど前、ワクチンのレクチャーの準備で「ワクチン反対派」の書籍を何冊か読む機会がありましたが、上記の感想で「時間の無駄」と感じた次第です。
彼らは「ワクチン反対」と唱えることで、(書籍・講演会などで)収入を得ている方々なのです。