現在の自粛生活と経済不況を抜け出すためには新型コロナを克服しなければならない、そしてその最短距離はワクチン接種・・・頭の中ではわかっていても、若年者の中に一定数、ワクチン忌避者がいます。
ワクチンデマや陰謀論に踊らされる人がいる一方で、
やはり若者に強く出るというワクチンの副反応が心配、
そして罹っても軽症で済む、という事実があります。
しかし、実際に罹った場合と比較すれば、
ワクチンを接種した方がいろんなリスクが低くなることはデータ上明らか。
今回は新型コロナ感染症の後遺症について書いてみます。
あ、ワクチンの副反応の後遺症じゃありませんよ。
あくまでも感染した場合の後遺症です。
<参考>
□ 「若い世代は重症化しないからワクチンを接種しなくて良い」は本当か
この記事の中で、ワクチン忌避者(ワクチンしたくない!)の年齢別比率が紹介されています。
(年齢層) (男性) (女性)
15-39歳 14.2% 15.6%
40-64歳 10.6% 13.2%
65-79歳 4.8% 7.7%
思った通りの結果です。
そしてその理由としてぶっちぎりの第一位が「副反応が心配だから」(73.9%)です。
確かに20歳代の発熱率は50%と必発と思った方がよい数字。
最近「心筋炎」の副反応がクローズアップされていますが、こちらは10万回接種に1回の頻度と稀であり、軽症であることから過度に心配するものではないと説明されています。
新型コロナに感染した際も心筋炎の合併症が報告されており、
こちらの頻度のほうが圧倒的に多いです。
さて、本題に入りましょう。
新型コロナの後遺症は「long covid」などと呼ばれていました。
当初は重症度の高い感染者での報告が多かったのですが、
最近は軽症で済んだ人の後遺症も報告され問題視されるようになりました。
ノルウェーからの報告では、
・発症から6か月経過しても61%で何らかの症状(後遺症)が持続。
・後遺症の頻度は感染時の重症度と関係ない。
・若年層(16-30歳)の52%が6か月後も後遺症が残っている。その内訳は…
味覚/嗅覚喪失(28%)
疲労感(21%)
呼吸困難(13%)
集中力低下(13%)
記憶障害(11%)など
いかがでしょう。
もし、この後遺症の内容そのものがワクチンの副反応だったら、と仮定してみてください。
そのワクチン接種を希望する人がいるでしょうか?
・・・いませんよね。
もし、ワクチンのラインナップに比較対象として「自然感染」を入れると、
それは「最悪のワクチン」と評価されることでしょう。
もう一つ紹介したい本があります。
TVでよくみかけるようになった「新型コロナ後遺症外来」のヒラハタクリニック院長、平畑光一医師による書籍。
現在、ヒラハタクリニックは「コロナ後遺症」患者さんの駆け込み寺的存在ですね。
□ 「新型コロナ後遺症完全対策マニュアル」
(後遺症の頻度)
・WHOの報告:10人に1人が12週間以上続くコロナ後遺症になる。
・アメリカ:新型コロナ感染と診断後2-3週後も約35%が「普段の健康状態に戻っていない」
・フランス:約30%に記憶障害、睡眠障害、集中力低下などの症状が残った。
・イタリア:約87%に後遺症が残り、倦怠感、呼吸困難が多数。
・日本:(60日後、120日後)
嗅覚障害(19.4%、9.7%)
呼吸困難(17.5%、11.1%)
倦怠感(15.9%、9.5%)
咳(7.9%、6.3%)
味覚障害(4.8%、1.7%)
・新型コロナ感染症の深刻度と、コロナ後遺症の有無や症状の深刻度には関連がみられない。無症状あるいは軽症だから後遺症も軽い、とは限らない。
・コロナ後遺症の男女比(ヒラハタクリニック受診者):
男性:41%
女性:59%
・コロナ後遺症の年代別割合(ヒラハタクリニック受診者):
10歳未満:1.1%
10代:5.5%
20代:16.6%
30代:26.0%
40代:33.1%
50代:13.3%
60代:4.4%
70代:0.0%
コロナ後遺症を訴えてヒラハタクリニックを受診する患者さんの年齢層は、
高齢者中心ではなく20-40代の若い世代に多いことがわかります。意外です。
・コロナ後遺症の内訳:(感染者全体の頻度ではなく、ヒラハタクリニックを受診した患者さんの訴えの頻度です)
1.倦怠感(93.6%)
2.気分の落ち込み(87.1%)
3.思考力の低下(83.2%)
4.頭痛(80.9%)
5.息苦しさ(77.3%)
6.体の痛み(75.6%)
7.不眠(73.2%)
8.動悸(72.0%)
9.食欲不振(64.4%)
10.発熱(54.4%)
11.嗅覚障害(51.0%)
12.脱毛(50.1%)
13.味覚障害(44.5%)
14.咳(42.3%)
この「コロナ後遺症」の症状を見ると、意外にも特徴的な「嗅覚・味覚障害」「脱毛」などより、倦怠感、気分の落ち込みなど捉えどころのない体調不良感がメインであることがわかります。
たぶん、これらの症状が軽い場合は「まだ本調子にならない」くらいに考えて日常生活を続けている方もたくさんいらっしゃると思われます。
・コロナ後遺症の治療は「自宅でボーっとする」のが一番。
共通する治療法は「だるくなることはしない」こと。体力をつけなければ、と無理に運動するとかえって悪化することがある。頭を使うことも脳疲労の原因になるので、スマホやテレビもできるだけ避ける。
仕事への復帰も焦ってはいけない。自分の身の回りのことや家事がしっかりできるようになるまでは仕事は無理と考え、安静を最優先すべし。
コロナ後遺症への対応は「無理をしないこと」、言い換えれば「体の声を聴いて従うこと」となります。
動くことを体が嫌がれば、動かない。
体が家事をするのを嫌がれば、しない。
体が働くことを嫌がれば、働かない。
それを守っていれば、いずれ「動きたくなる」「働きたくなる」時期が来るということのようです。
さて、平畑医師の記述で気になったこと。
それは「診断根拠がなくても断定診断している例が含まれる」点です。
新型コロナ感染は無症状のこともある、抗体ができても早期に消失してしまう例がある、などを考慮してコロナ感染の証拠がなくても症状だけから「コロナ後遺症」と断定している例がかなり含まれるようです(データが示されていない)。
これは医学論文レベルでは排除されるべきデータなので、この本の中の「ヒラハタクリニック内のデータ」は平畑医師の私見の範囲、とみなさざるを得ません。
最後に、自然感染とワクチン接種を比較する場合に忘れてはならないこととして、
自然感染した場合、その瞬間あなたは「被害者」ですが、
同時に「加害者」として周囲に感染を広める存在に否が応でもなります。
ワクチン接種ではこのようなリスクはゼロです。
ワクチンは「自分を守る」のが第一の目的ですが、
この視点に立てば、同時に「周りの人たちを守る」効果もあるのです。
これが積み重なれば「家族を守る」「町を守る」「地域を守る」・・・とどんどん輪が広がっていき、最終的に「日本を守る」ことになります。