徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

コスタリカの風疹対策

2013年06月28日 06時46分00秒 | 小児科診療
 日本の風疹対策が迷走・停滞しています。
 海外からはこんな声も;

・日本は途上国の子どもたちへのワクチン費用をたくさんサポートしているのに、自国の子どもたちをなぜ守らないのか?
・VPD(ワクチンで防げる感染症)である風疹をワクチンで防ぐことに失敗するなんて先進国ではあり得ない。どうなっているの?


 などなど。

 成功例に学びましょう。
 1964年に風疹大流行を経験し2万人(!)の先天性風疹症候群(CRS)が生まれたアメリカは、1969年に風疹ワクチンを導入し、乳幼児全員に接種する方法(米国方式)で患者・CRSともに激減させ、2004年に風疹排除宣言をなし得ました。
 南北アメリカ大陸は風疹対策という点では進んでおり、実はアメリカよりも早く風疹を排除した国も存在します。
 それがコスタリカという中南米の小国。

コスタリカ:大人への1カ月間の緊急接種で麻疹も排除
(2013年6月25日:メディカルトリビューン)

 米国に先駆けて、風疹と麻疹の国内発生をゼロにした国がある。コスタリカでは1999年、風疹にかかったことや予防接種を受けたことのない15~45歳で大規模な風疹の流行が起き、30例の先天性風疹症候群が発生した。これを受け、保健当局は2001年5月の1カ月間で15~39歳の国民を対象とした緊急接種キャンペーンを実施。風疹とともに麻疹も排除するため麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を使い、全国民の42%を占める同年齢層への接種が行われた。このキャンペーンでは、全ての地域で80%以上、過半数に当たる60の地域で95%以上の接種率を達成。これ以降、コスタリカでは麻疹、風疹の国内報告がゼロとなった。
 臨時接種には保健当局だけでなく、社会保障、教育、労働関係の省庁や地方自治体も参加したほか、臨時接種の2週間前からはテレビやラジオなどで国民に接種への協力を求める放送も行われた。接種は医療機関、ショッピングモール、大学、職場で行われ、人口の少ない地域では医療チームが直接、住宅を回って接種したと報告されている。


 ブラボー!
 キーワードは「緊急一斉接種」ですが、医療機関にとどまらない出張医療サービス(ショッピングモール、大学、職場、巡回接種)は大いに参考になります。やはりここまでやらなければ接種率は上がらないのですねえ。
 今までの日本のように「接種をご検討ください」とか「経過措置を取りますから接種を呼びかけましょう」などとダラダラやっていては埒があきません。
 さあ、日本政府・厚労省も腹をくくっていただきたい。
 実行するのは国民の意識が高まっている「 今でしょ!
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