新型コロナウイルス感染症の後遺症は“long-covid”とも呼ばれて注目されています。
これに関する最近の記事を整理してみます。
たくさんありますね・・・。
後遺症には急性期の症状が長引くパターンと、
治ってから「あれ、おかしい?」と新たに現れる症状があります。
その原因は未解明ですが、可能性として、
・ウイルスに感染した組織(特に肺)への直接的な障害
・感染によって免疫の調節機能に影響が起こることによる炎症の持続
・血液が固まりやすくなる状態が続くことによる血栓症
・集中治療後症候群(PICS)
などが挙げられています。
後遺症状の種類は、大阪府の新型コロナ受診相談センターの統計では、
・倦怠感
・嗅覚障害、味覚障害、
・咳、呼吸苦、
・脱毛、
・頭痛
の順で頻度が高いようです。
新型コロナに罹患した患者さんのどれくらいに後遺症が出現するかについては、さまざまな報告があり数字は一定しませんが、30-40%程度のようです。イギリスでの50万人以上の住民を対象にした新型コロナ後遺症に関する大規模調査では、新型コロナに感染して何らかの症状があった人のうち、37.7%で発症から12週時点でも症状が続いており、女性・高齢者・重症者・喫煙者・肥満に頻度が高かったと報告されています。
また、日本国内での457人の新型コロナから回復した方の調査では、発症時もしくは診断時から6カ月経過時点で26.3%(4人に1人)、12ヶ月経過時点で8.8%(11人に1人)の人で少なくとも1つ以上の症状が残っていたそうです。
新型コロナの急性期に心臓合併症(心筋炎、心筋梗塞)が出ることがわかっていますが、後遺症としてはどうでしょうか。
アメリカの在郷軍人病院の新型コロナ患者および、非感染者とを比べた臨床研究では、感染から1年後の心血管系の合併症のリスクは、非感染者と比べて、
・脳梗塞 1.52倍
・不整脈 1.69倍
・心筋炎 5.38倍
・心筋梗塞 1.63倍
・肺塞栓 2.93倍
・深部静脈血栓症 2.09倍
と軒並み高くなっているそうです。
そのほかにも、
・関節炎
・精子減少
などの後遺症も報告されています。
気になるオミクロン株の後遺症はどうでしょうか。
知りたいところですが、まだ解析されたデータは公表されていません。
ただ、相談センターでは実数が増えているそうです。
後遺症を避けるためには・・・罹らないことが大原則。
感染対策を励行し、ワクチン接種で自身の身を守り・・・
ワクチン接種は罹っても後遺症を起こりにくくする効果があると考えられています。
以上で終わりのはずだったのですが、
先日、これらのすべてをひっくり返す情報を目にしました。
森内浩幸Dr.のWEBセミナーで紹介されたフランス発の論文。
自己申告で“新型コロナ罹患”した患者さんに対して、
罹患後症状と血清抗体価の関連を統計処理した内容です。
“自分は新型コロナに罹りました”と申告する人に、
血液検査で新型コロナに対する抗体を調べると、
上昇している人と上昇していない人が出てきます。
上昇している人を「真のCOVID-19」
上昇していない人を「偽のCOVID-19」
として統計処理をすると・・・
血清学的診断(新型コロナに対する抗体上昇が証明された真のCOVID-19)と関連があったのは「嗅覚障害」のみであった、
という衝撃的な結論。
他のすべての症状は抗体価と関連がなかったのです。
つまり、嗅覚障害以外の後遺症状は「思い込み」、
言い換えれば「心理社会的ストレスによるもの」という可能性が否定できません。
以前、新型コロナワクチンの副反応の半分は「心理的なもの」という日本の自衛隊の報告もありました。
HPVワクチンによる多彩な副反応も、接種者と非接種者で差がないと証明された「名古屋スタディ」もありました。
事ほど斯様に、人間というものは、様々なストレスに心理的に反応してしまう生物であることを前提に考えるべきなのでしょう。
でないと、科学の進歩が人間の漠然とした不安により妨げられかねません。
<参考>
▢ 新型コロナウイルス感染症診療の手引き:別冊「罹患後症状のマネジメント」