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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

シャントレギュレータとドロッパレギュレータ

2011-05-20 12:05:52 | 電子回路
レギュレータとは安定化装置のことで、電子回路の分野では安定化電源(定電圧電源)の意味になります。ここでは定電圧電源について、シャントレギュレータとドロッパレギュレータのお話しをします。

まず「定電圧」という言葉で誰もが最初に思いつくのはツェナダイオードでしょう。抵抗に電流を流せば(オームの法則に沿って)抵抗の端子間に電圧が発生します。抵抗に流す電流を増やせば端子間電圧は増加し、電流を減らせば端子間電圧は減少します。ツェナダイオードに電流を流せば抵抗と同様に端子間に電圧が生じますが、これはオームの法則に沿いません。流す電流を増やしても減らしても、ツェナダイオードの端子間電圧はほとんど変化しないのです。

この特性を利用して、ツェナダイオードを定電圧電源(安定化電源)として使うことが考えられます。例えば電流を流しているときのツェナダイオード端子電圧(ツェナ電圧)を5Vとし、これにあらかじめ100mAの電流を流しておけば、出力電圧5V、負荷電流0~100mAの定電圧電源になります。つまりツェナダイオードの端子電圧の5Vに抵抗などの負荷をつなげば抵抗に電流(負荷電流)が流れますが、もし負荷電流が10mAであればツェナ電流は90mA、負荷電流が30mAであればツェナ電流は70mA、負荷電流が80mAであればツェナ電流は20mAとなって、この間常にツェナ電圧は5V一定なのです。

このように、負荷側に流れるであろう最大の電流(アイドリング電流)を流しておいて、その範囲内の負荷電流で定電圧を実現する電源をシャントレギュレータといいます。

次にドロッパ電源ですが、シャントレギュレータの出力にエミッタフォロワを取り付ければできあがります。この場合は、外部回路が消費する負荷電流はエミッタフォロワのコレクタから供給されるので、シャントレギュレータのアイドリング電流は少なくて済み経済的です。

シャントレギュレータもドロッパ電源も、元電源よりも低い電圧で安定化させるので、その意味では両者共にドロッパレギュレータですが、慣習に沿って上述のように使い分けています。

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