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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

電子機器組立て 2級 回路解説(アナログ)

2010-09-10 16:35:04 | 電子回路
この回路は焦電型赤外線センサ(P7178)を対人センサとして使い、センサの周囲に人気がなくなれば一定時間後にリレーをOFFするためのタイマー回路(後段のディジタル回路)にトリガ信号を出力する回路です。(人を検出したときにトリガを出力)

では各部の動作点(DCレベル)から見ていきましょう。まずセンサは何も検出していないものとして考えます。センサ出力はDC1V、初段のオペアンプの直流ゲインは×1ですから出力電圧(pin1)はセンサ出力と同じく1Vです。2段目のオペアンプとの結合はC5(47μ)でカップリングされているので、初段の出力は2段目に影響を与えません。

2段目のプラス入力端の電圧はR8とR16との分圧値の1.1Vです。2段目の直流ゲインも×1ですから、出力(pin7)とマイナス入力端(pin5)も1.1Vです。

終段はしきい値の異なる2つのコンパレータ回路です。2段目の出力とこの終段もC7(47μ)でカップリングされているので、2段目の出力は終段に影響を与えません。

上のコンパレータのプラス入力端は2.5V、マイナス入力端は3.75Vですから出力はLoです。下のコンパレータのプラス入力端は1.25V、マイナス入力端は2.5Vですから、これも出力はLoです。この両者の出力をNOR回路(74HC02)が受けて、NOR回路の出力が[SIG]であり、ディジタル回路へのトリガとなります。いまの場合は入力が共にLoですから[SIG]はHiです。[SIG]がLoになるとディジタル回路の入力はトリガされます。

C7のプラス側の電圧は2.5V、マイナス側の電圧は1.1Vですから、C7にはある程度の電荷がたまります。D8は回路電源を落としたときに、この電荷を放電するためのものでしょう。

以上が、センサ無感知状態における各部の動作点です。コンパレータ回路に着目すると、センサが対象を検出することにより、上のコンパレータのプラス入力端が3.75Vを超えるか、または下のコンパレータのマイナス入力端が1.25Vを下回れば[SIG]はLoとなり、ディジタル回路の入力がトリガされます。実際にはR18とC11によって時定数(10mSec)を持たせていますが、これはコンパレータにヒステリシス(シュミットトリガ)を設けていないため、チャタリング防止を目的としてのことでしょう。

続いて交流的な動作を見ていきましょう。初段のオペアンプはバンドパスフィルタを構成しており、通過帯域は0.06~8Hzで、この帯域のゲインは1+R2/R1=40倍です。2段目に1.1Vのオフセットを設けてあるのは、センサは動作点の1Vをニュートラルとして交流信号を出力するので、センサの動作点以下の信号を受けるためです。また2段目も80Hz以上をカットするハイパスフィルタを構成しており、通過帯域のゲインは-R5/R4=39倍です。よって0.06~8Hzの帯域のトータルゲインは1560倍となります。センサの最大出力電圧が10mVとすると、計算値として15.6Vに増幅されます。なお、フィルタの次数はすべて1次です。

ということで、アナログ部の説明はおおむね以上です。
Good Luck!

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コメント (2)
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