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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

ウィーンブリッジ発振回路

2010-09-02 11:03:12 | 電子回路
ウィーンブリッジ発振回路はオペアンプを用いた代表的なCR発振回路で、動作メカニズムの分かりやすい発振回路の一つです。点線より上が発振回路本体で、理屈上はFETも1kΩの固定抵抗でよいのですが、安定して発振を継続させるためには、点線の下の振幅安定化回路が必ず必要になります。これはすべての方式の発振回路について言えることです。

発振回路のアンプ出力はCRのバンドパスフィルタを通過してプラス入力端に入っています。バンドパスフィルタを構成するCRの値が各々同じであれば、ハイパスとローパスのf0が一致し、f0の振幅比は各々-3dB=1/√3ですから、バンドパスフィルタのf0での振幅比は(1/√3)×(1/√3)=1/3となります。またf0での位相はハイパスで45度進み、ローパスで45度遅れますから、バンドパスフィルタのf0での位相差は0(ゼロ)です。

ということはアンプ(非反転増幅器)ゲインを×3にすれば、ループゲインが×1、かつ入出力の位相差がゼロという発振条件が成り立ちf0の周波数で発振します。つまり、22kΩのフィードバック抵抗に対して10kΩと2SK30AのDS間抵抗の直列抵抗値が11kΩになればよいということです。

上記のように、理屈上は11kΩの固定抵抗でよいのですが、実際には温度上昇に伴う抵抗値の変化などでアンプゲインがドリフトし、出力は発散したり減衰したりして、安定した発振を継続することができません。

それで、FETのDS間抵抗を可変抵抗のように使用し、点線より下の回路で発振振幅を検出して、ループゲインが必ず×1になるように自動制御しているのです。具体的には発振出力をダイオード(1S2076A)で整流し、その積分値を2SK30Aのゲート電圧にしています。
(下のオペアンプは完全積分回路)
[2SK30Aについてはこちらを参照してください]

680kΩは振幅調整用抵抗です。この抵抗を小さくすれば、分流電流が増加する分、積分器に入力される電流が減少し、アンプゲインを×3に保つためには、大きな発振振幅が必要になります。つまり、この分流用抵抗を可変抵抗器にすれば、発振振幅を調整できることになりますね。

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コメント (10)
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