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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

相互コンダクタンスとエミッタインピーダンス

2007-11-19 20:01:53 | 電子回路
「相互コンダクタンスgm とエミッタインピーダンス re」

図のようなエミッタ接地増幅回路を考えてみます。(実際にはエミッタ抵抗を入れなければ使い物にならないのですが、まあ理論として考えてみましょう。)一般にトランジスタはiBによってiCを制御する電流制御素子として扱われますが、iBはviによって流れますので、電圧制御素子として捉えることもできます。この場合の増幅度は⊿ic/⊿viになります。右の図を見てください。IC/VBEは指数関数の特性をしているので、動作点をP1に取るか、P2に取るかで⊿ic/⊿viは大きく異なります。この⊿ic/⊿vi (dic/dvi)を相互コンダクタンスgmといい、定義よりic=gm・viです。このように増幅度を表すgmですが、動作点(バイアス)によって大きく異なるのが特徴です。

gm=⊿ic/⊿viの逆数を取ると1/gm=⊿vi /⊿icとなり、右辺に注目すると「電圧/電流」ですから1/gmは抵抗(Ω)であることがわかります。また、ic≒ie ですから1/gmをreで置き換えればre=⊿vi /⊿ieと表せます。このreをエミッタインピーダンスといい、実はなかなかの便利者なのです。定義よりie=vi / reです。そしてエミッタバイアス電流をIEEとするとreはre=26(mV)/IEEと一義的に決まるのです。この26mVはいろいろ複雑な計算を経て得たものですが、ここでは触れません。さて、そうとわかればVEE=1mAの場合はre=26Ω、vi=10mVとすれば、ie=0.38mAとなり、VEE=10mAの場合はre=2.6Ω、vi=10mVとすれば、ie=3.8mAとなります。このようにreを使えばIc=VBE特性を照合することなく、数値計算で増幅度を求めることができるのです。

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