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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

信用するスタンス

2007-08-25 21:49:00 | 安全・品質
管理者が社員に対して次のように言ったとしましょう。
「お前たちはいい歳をした大人だ。何が良くて何が悪いか、どんなことが危険でどうすれば安全か、自分で考え判断できて当然だ。自分の行動には責任を持て。我々が経験上知りえている重点事項や要点は教えよう、それ以外のことはすべて自分で判断して行動せよ。」

さあ大変なことになりました。社員たちのやる気や積極性が一気に活性化する反面、言われた通りではなく自分で判断して行動するのですから、結果に対しては自分が(も)責任を負わなければなりません。これは少なからぬプレッシャーですが、だからこそ社員は真剣に物事を考えるようになります。こう発言した管理者は「社員を信用する」スタンスに基づいています。どのような問題にせよ最終的にはすべての責任は管理者にかかるのですから、信用するスタンスに立たなければ、このように発言することはとてもできません。中には危うい部下もいます。しかしあえて信じてやるのです。驚くべき方法の発想や新技術の出現や、安全レベルの飛躍的向上の可能性はこの中にあるのです。

片や、社員の行動を微に入り細に入りこと細かく指示し、あるいは規制し、僅かなエラーも許さないとする管理方法があります。ルール違反はないか、サボっている者はいないかと、常に目を光らせ、パトロールし、時には個人のロッカーまで空けて中を調べる。このような管理者は「社員を信用しない」スタンスに立っていると言えるでしょう。社員は窮屈には感じても、とにかく言われたことさえやっていれば文句を言われることはないのだから、気は楽です。しかし社員個々の活力は著しく低下し組織全体を沈滞感と閉塞感が占めます。よって言うまでもなく、驚くべき方法の発想や新技術の出現や、安全レベルの飛躍的な向上の可能性は固く閉ざされることになります。

対照的な二つの管理方法とそれにより発現するものの差異。こういったことは安全のみにとどまらず、仕事の取組み方、進め方、会社人としてのあり方等、多くの事柄に通じることでもあります。
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感情のスイッチ

2007-08-25 13:27:17 | Theme
頭の中にはいくつかの感情のスイッチがあります。喜び、悲しみ、怒り、不安、恐怖、等の感情は各々のスイッチがONになることによって発動されるようになっています。またスイッチに対応するボリュームもその隣にあります。喜びや怒りのスイッチがONになってボリュームが最大になれば発生した感情は興奮へと至ります。不安や恐怖のボリュームが最大になればその感情はパニックへと至り、悲しみが最大になれば精神活動の停止へと至ります。

これら全てのスイッチがOFFの状態が平静です。このスイッチ群は必要に応じて自動的にON-OFFするように制御されており、この切り替わりによって人は人らしく表現されているわけです。また全てのスイッチは必要であるからこそ用意されているのです。

普段の日常活動においてはこれらのスイッチはOFF、つまり平静を継続していますが、音楽でも、映画でも、本でも、絵画でもまたテレビのニュースや、あるドキュメントに触れた時など、つまり外からの入力信号によってスイッチがONになりますね。ここがポイント。スイッチは外部入力によってONとなるのです。

ところが何らかの理由によって体内の制御システムが故障した場合、外部入力が無くともスイッチがONとなることがあります。さしたる理由もなく不安になったり、悲しくなったり、腹が立ったりイライラしたり、また逆にウキウキしていたり、ということが起こるようになります。ボリュームも勝手気ままに上下動をはじめます。これは非常に困ったことです。また非常に辛いことです。

多くの精神・神経障害は、このスイッチ群の勝手気ままな振る舞いによって症状として現れ、直接原因はスイッチの故障と考えられます。しかしメカニズムが解明できれば、故障の箇所を修理し正常なメカニズムに戻せるのが人の叡智です。

大きく二つの方法があります。一つは環境改善の方法です。スイッチも構造物ですから過酷な使い方をすれば故障してしまうのも当然でしょう。そのスイッチにとって劣悪な環境を排除し十分な時間をかけて休息させてやればスイッチは自己回復を始めます。もう一つは生理学的方法です。スイッチとは何かとその正体を問うと、脳内の情報伝達物質であることは周知の通りです。スイッチの故障とはこれらの体内物質の不足や過多ということですからそれが適正量を保つように調整してやればよいわけです。これが向精神薬の役割ですね。
コメント (5)
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