ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

日立製作所日立総合病院(日製病院)、地域周産期母子医療センターを休止

2009年03月04日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

日立製作所日立総合病院(日製病院)・産婦人科の常勤医が若手1人だけとなってしまうため、来月から地域周産期母子医療センターを休止することが公表されました。これにともない、新生児科医も順次引き揚げられるとのことです。

院内助産所の開設も検討されましたが、産婦人科医の常勤医が1人だけでは対応が難しいということで、結局は院内助産所の開設を断念したようです。

さらに、この地域の産科1次施設(診療所、助産所など)での分娩取り扱いの維持が、今後だんだん厳しくなっていくことも危惧されます。

日立製作所日立総合病院:産科医1人が残留 分娩を継続へ (毎日新聞)

医師確保険しく 来春産科医0の日製病院

日立総合病院 分娩予約一時中止

****** 朝日新聞、茨城、2009年3月3日

日製病院、周産期センターを休止

 日立製作所日立総合病院は4月以降の当分の間、周産期センターを休止すると2日発表した。産婦人科医4人を派遣している東京大が今月末で3人を引き揚げ、産婦人科医が1人になるためだ。また、新生児科でも、医師3人を派遣している筑波大が5月末までに全員を別の病院に移すため、日製病院のNICU(新生児集中治療室)の機能は事実上停止する。

 医師確保のめどがたたないとして、昨年8月に踏み切った新規分娩の受け付け中止は続ける。医師が確保でき次第、開設する予定だった正常分娩対応の院内助産所は先送りされた。

 懸念される県北での産婦人科や新生児科の救急対応については、水戸済生会と県立こども病院が引き受ける。すでに両病院は「限界」に近い患者を引き受けており、負担はさらに重くなりそうだ。

 県北地域にいる産婦人科医がリスクの高い分娩に迫られた場合は、経験のある小児科医がNICUに対応するとしている。このため、同病院は小児救急について「早めに診療時間内に受診、休日の時間外診療は休日救急診療所を利用してほしい。日製病院を時間外受診する際は事前に電話で問い合わせてほしい」と異例の要望を公表した。

(朝日新聞、茨城、2009年3月3日)

****** 読売新聞、茨城、2009年3月3日

日製病院産科施設を提供

来月以降 緊急手術などに対応

 産科医の確保が難航し、「地域周産期母子医療センター」の機能を4月以降、当分の間休止する日立製作所日立総合病院は2日、県北地域のハイリスク出産に対応するため、日製病院の産科医療施設を近隣の産科病院医師などに提供することを決めた。

 容体が急変した場合は、日製病院で近隣病院の医師が緊急手術などを出来るようにするほか、手術には、日製病院の外科や内科、麻酔科の医師も携わる。日製病院は4月以降、産科医が1人残ることから、正常分娩(ぶんべん)を扱う院内助産所の設置も検討してきたが、「何かあれば1人の医師では対応できない」と見送った。病院に残る1人は、婦人科で外来診療などにあたる。

 一方、早産などのリスクの高い出産に連動する新生児集中治療室(NICU)の機能は維持される。5月末までに日製病院を離れる新生児科の医師全3人に代わり、日製病院と北茨城市立総合病院を合わせて5人の小児科医で対応する。

 4月からは、北茨城市立病院の小児科外来を継続しつつ、時間外の小児科救急と入院診療は日製病院に集約するという。北茨城市立病院の小児科医1人は日製病院に異動する。

(読売新聞、茨城、2009年3月3日)

****** 毎日新聞、茨城、2009年3月3日

日立製作所日立総合病院:周産期センター休止へ 分娩予約中止も継続

 日立市の日立製作所日立総合病院(日製病院)は2日、医師確保の見通しが立たないとして、妊婦の救急搬送を24時間受け入れる「地域周産期母子医療センター」の機能を4月から休止すると発表した。昨年夏からの分娩(ぶんべん)予約中止も継続する。これらを受け、小児科の新生児担当医3人が5月までに全員病院を離れることも決まり、県北地域の新生児医はゼロになる。県は水戸地区の周産期医療体制を強化し、県北地区からの救急搬送の受け入れ対応にあたる。

 07年の日製病院の分娩数は1212件で、県内で最も多かった。センター休止の直接の原因は、新年度の人事で常勤産科医が確保できなかったためだ。今年度初めに6人いた常勤産科医は、派遣元の大学病院の意向で4月から若手1人になる。

 病院によると、センターに付属し、リスクの高い新生児を集中的に治療する新生児集中治療室(NICU)は可能な限り活用する。正常分娩が見込まれ、県北の医療機関にかかる妊婦の容体が急変した場合などは、かかりつけ医が日製病院のスタッフと共に同病院で緊急手術などを行うという。この場合、従来は新生児医が行っていた業務は残りの小児科医が対応する。病院側は年間30件程度の妊婦搬送を想定しているというが、地域の医療機関との連携に課題が残る。

 日製病院は、県や市と共に引き続き医師確保に努める。新たな常勤産科医が確保でき次第、院内の助産師を活用して「院内助産所」を開設し、分娩を再開する予定で「速やかに周産期センターの再開を図りたい」とするが、状況は容易ではなさそうだ。

 日立市の樫村千秋市長は「4月の産科診療の再開に向け、医師確保に努力してきたが、このような結果になり残念。日製病院で安心して子どもが産めるようになることを期待して、引き続き医師確保に努力していきたい」とコメントした。【八田浩輔、臼井真】

(毎日新聞、茨城、2009年3月3日)

****** 東京新聞、茨城、2009年3月3日

周産期センター休止へ 日立総合病院 来月から危険な出産、県央へ搬送

 日立製作所日立総合病院(日立市・岡裕爾院長)は二日、常勤産科医の引き揚げに伴い、出産から新生児医療までを担う周産期センターを四月から当面、休止すると発表した。危険性の高い異常分娩(ぶんべん)だけでなく、正常分娩も原則受け入れを中止する。医師確保のめどは立っておらず、県北地域の危険なお産などは水戸市の病院などに救急搬送されることになる。【伊東浩一】

 日立病院は県保健医療計画で比較的高度な出産、新生児医療を受け持つ県北地域の「地域周産期母子医療センター」に位置付けられている。現在、常勤医が産科に四人、新生児科に三人おり、新生児集中治療室を備える。二〇〇七年には異常分娩から通常分娩まで千二百十二件を取り扱った。

 しかし、派遣元の東京大医学部が三月末で産科の常勤医三人を引き揚げることになり、残る一人では対応ができないため四月以降、一切の分娩を休止することを決めた。

 これに伴い、新生児科も不要となり、常勤医を派遣していた筑波大医学部は三月末で同科の常勤医二人、五月末で一人の引き揚げを決めた。

 このため、県は県北、県央を一つの周産期医療圏と位置付け、危険性の高いお産などを水戸済生会総合病院(水戸市)と県立子ども病院(同)などで受け持つとしている。

(東京新聞、茨城、2009年3月3日)