コメント(私見):
臨床研修制度が大幅に見直されるようです。
現行制度では、内科、外科、救急(麻酔科を含む)、小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療が必修科目となっていますが、今回公表された見直し最終案骨子では、初期研修が2年間であることは今後も維持されますが、必修科目は内科(6ヵ月)、救急(3ヵ月)、地域医療(1ヵ月)の3科目のみに削減され、残りの14ヵ月は自分が将来専門にしたい科目のみを研修することも可能となるようです。現行制度のように多くの科をローテートする方式を選択することも可能のようです。
また、都道府県別に初期研修医の募集定員の上限を設定して研修医を適正に配分し、研修医の地域的偏在を解消する意図もあるようです。
現行の制度では、産婦人科研修が必修になっているので、初期研修医が常に1~2名当科にも回って来ます。現在、当科では、2人の元気満々の男性研修医が6週間の産婦人科必修研修を終えて、さらに追加の産婦人科研修(8週間、12週間)を選択してくれて、毎日、病棟回診、分娩立ち会い、手術の執刀や助手、外来診療などで大活躍中で、本当に大助かりです。しかし、今後は産婦人科研修が必修でなくなるので、研修医マッチングがフルマッチングでも、その中に産婦人科を志望する者がたまたま1人もいない場合は、誰も産婦人科研修には回って来なくなります。元気な研修医がいなくなってしまうと非常に辛いです。個人的には、現行の制度のままでもいいと思ってます。
****** 読売新聞、2009年2月3日
臨床研修医 募集枠に上限
都道府県別に 見直し最終案骨子
厚生労働省と文部科学省は2日、医師不足を招いたとされる臨床研修制度の見直しに向けた最終案の骨子をまとめ、両省が設置した合同の専門家検討会に提示した。検討会は今月18日の次回会合で、見直し案を最終決定する見通し。
骨子は、研修医の都市部集中に歯止めをかけるため、都道府県別に研修医の募集定員の上限を設定。従来、大学病院が担ってきた地域の医師派遣機能を再構築するため、研修病院の募集定員や指定基準を見直す――などとしている。
また、国が定める必修科目は現在、2年間で7診療科・部門となっているが、これを、1年目は内科と救急のみに、2年目は地域医療のみに削減。これにより、病院ごとの研修プログラムを弾力化させ、小児科や産科など医師不足の診療科を目指す研修医が早期に現場に出ることを可能にする。
(以下略)
(読売新聞、2009年2月3日)