ある産婦人科医のひとりごと

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不足深刻な小児・産科医の数、22道府県「把握せず」…厚労省調査(読売新聞)

2006年07月17日 | 地域周産期医療

産婦人科医の総数が減っているのと同時に、産婦人科医のなかで産科医療に従事している医師の割合も減り続けている。従って、実際に産科医療に従事している医師の実数は、厚労省や自治体で想定している推計数をかなり下回っている。各自治体が、産科医不足に対する今後の有効な対策を実施してゆくためには、まずは、現状をきちんと把握する必要がある。

****** 読売新聞、2006年7月17日

不足深刻な小児・産科医の数、22道府県「把握せず」…厚労省調査

 小児科や産科の医師不足が全国各地で問題となっているにもかかわらず、両科の医師数など、基本的データの実態把握が進んでいない都道府県が半数近くに上っていることが、厚生労働省の調査でわかった。

 同省は昨年12月、小児科医と産科医の確保が困難な地域について、中心となる病院に医師を集中させ、24時間体制の小児救急医療などを実現させる「集約化、重点化」の方針を打ち出した。その実施の必要性について、都道府県ごとに今年度中に検討するよう求めており、調査は、今年4月25日現在で、その進展度合いをたずねたもの。

 小児科と産科のある病院と、そこに配置されている小児科医、産科医の数について把握状況を聞いたところ、「既に把握している」が22都県、「小児科のみ把握」が3県だったのに対し、22道府県は「今後把握する予定」「把握していない」だった。

 また、集約化、重点化の必要性の検討を既に始めていたのは、静岡、三重など7県のみ。今後の検討スケジュールが決まっていたのも、奈良、千葉など19府県にとどまり、出足の鈍さが目立った。

 その一方で、同省に対する意見、要望としては、「集約化、重点化に協力する医療機関に対する財政的支援が必要」「小児科医、産科医の育成、確保は全国的な課題であり、国が実効性のある施策を始めるべきだ」などの声が多く、自治体の自助努力に頼る厚労省への不満もにじみでていた。

(2006年7月17日  読売新聞)

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参考:
出産扱う産科は65% 3000施設、常勤医は8000人 学会調査、推計を下回る

<産科医全国調査>04年末比で施設4割、医師数2割減少

全国周産期医療データベースに関する実態調査の結果報告

朝日新聞:全国138病院が分娩休止 出産の場急減

読売新聞:[解説]産科医減少 対策は

読売新聞:深刻な産科医不足 集約化加速